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4:龍撃の学院

503:ネネルド村奇譚、大陸間弾道たまごの正体

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「きゃっ――ひかりのたてよ!」
 ヴォォォォォォォッン!
 見方みかたによっては、なんと言うか――
 まるでルガばちかおのように、見えないこともない――
 〝魔眼殺まがんごろVerバージョン2〟、周囲しゅうい景色けしきうつし込む眼鏡かがみ

 それを掛け、さらにに研ぎ澄まされた高等魔術ひかりのたてはなった――
 リオレイニア・サキラテ。

 ヴァチヴァチヴァチヴァチィ――――――――ッ!
 落ちてきた丸いの・・・は、ひかりのたてにぶち当たり――
 ゴガァァァァァンッ――――!

 ブォォンッ――――ドガァァァンッ――――ドゴゴォォォォンッ――――バキバキバキキィィィ――――!!!
 ゆかにあたりかべに跳ねかえり、はしら粉砕ふんさいして――

「ぎゃぁぁぁぁぁっ――――!」
「うひゃぁぁぁあっ――――!」
「みゃにゃぎゃぁっ――――!」
「ひひひひぃぃんっ――――?」
 老若男女ろうにゃくなんにょねこ、そしてうま――――てんぷらごうはらをかすめた。

 阿鼻叫喚あびきょうかんのネネルドむら

「っきゃやややややぁぁぁっ――――ドゴゴガガァァン!」
 いまこえ学者方がくしゃかたの、ふわふわもこもこした頭突ずつきおんなか!?
 おれとリオをかすめ、湖面こめんへ飛んで行く巨大きょだいまるなにか。

 頭突き・・・はじかれた卵型それが――――ぽこぉん♪
 水面すいめんから出ていた蛸足たこあし見事みごと命中めいちゅう、ぷぎゅりゅりゅりゅとキャッチされた。

「ぷぎゅぎゅりゅりゅーぅ?」
 巨大な蛸たこのすけによって、桟橋さんばしに置かれる丸いの・・・

「こりゃぁ、ゲイルが持ってきた……あの卵・・・おなじ――だよなぁ!?」
 がやがやぎゃぎゃややや、わざわざざざわざざわわ?

これが上から・・・・・・落ちてきた……と言うことは――」
 ギュギュギュィィィィンッ――!
 ギュギュィィン――!
 チチチィ――!
 魔法具まほうぐやアーティファクトの作動音さどうおんが、うるせえ!

 学者方がくしゃかた何人なんにんかとミャッド、そしてシュッとした魔眼殺しVer2スポーツサングラスを掛けたリオレイニアが――上空うえを、直上ちょくじょう枝葉を・・・見上みあげている。

 ヴュュュゥゥゥゥンッ♪
 チチチチィ――――おれの視界しかい拡大かくだいされ、大写おおうつしになる。
 太さ・・が10シガミーはありそうな、小枝・・さき
 かなりの上空じょうくうしげる枝葉えだはなかに、よく見れば〝ゲイルをねらった灼熱しゃくねつたまご〟が何個なんこか、ぶら下がってた。

「ちっ、なんで気づかなかった!?」
全天ぜンてんスキャンノ解像度かいぞウどでハ、卵形状たまごけいジょう判別はんベつするマでに時間じかンガ掛かりま
 ああ言やぁ、こうかえしやがって。

「まさか!?」
「「ひょっとして!?」」
 ざわつく学者方がくしゃかたども。

「「「このたまごって――!?」」」
「「「「たまごじゃなくて――――!?」」」」
「「「「「この大木たいぼくのぉ――――――!?」」」」」
 拡大かくだいして目で見て確認かくにんした連中れんちゅうが、核心かくしんせまった。

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「たねぇ――――――――――っ!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
 うるせぇー、学者がくしゃどもめっ!

おどろいたニャァ! たねと言うより――木の実・・・かニャ?」
「ということは、あの紅蓮ぐれんほのお大木たいぼくの木のの……〝果肉・・〟ということになるのでしょうか?」
 困惑こんわく顧問氏こもんし秘書ひしょ

 ぎしぎしぎしっ――――!
 そのとき桟橋さんばしが、おおきなおとを立てた。
 かたむ橋桁はしげたから、「みずに落ちてはたまらん」「もどれ、もどれ」と、学者方がくしゃかたが逃げていく。
 対魔王結界ししがにや惨状さんじょうを知るものも、「ほのおに巻かれてはたまらん」「逃げろ、逃げろ」ともどっていく。

「リオレイニアさんが、あのたまごを撃ち落としたの?」
 余計よけいなことに、いつも気づく子供レイダ

「いえ、普通ふつうひかりのたて・・・・・・使つかっただけですが――」
 おずおずとすすみ出る、美の権化リオレイニア
 もっとも〝スキル〟はいま魔導光学的まどうこうがくてきにかつてないほど相殺そうさいされている。
 つまり、等身大とうしんだい妙齢みょうれい淑女しゅくじょが、そこに立っていた。

「レーニアおばさん――じゃない!? ひと魔物まものっ!?」
 黒頭巾くろずきんは脱ぎさられ〝はちかお眼鏡めがね〟を掛けた彼女リオは、ひとの目には――

「それ知ってる、魔神まじんって言うんだよね……あれ? 魔王まおうだっけ?」
 子供レイダめ。
 おれも迅雷ジンライも、まさか――こうなるとは、ゆめにもおもわねぇ。

ひと魔物まもの!?」
 ざわざわざわわわっ!?
魔王まおうって、絶滅ぜつめつしたはずじゃ!?」
 がやがやがやややっ!?

 まるで猫の魔物おにぎり初めて見たときの・・・・・・・・人々ひとびとのようなやり取りだぜ。
 この作法さほうだか茶番ちゃばんだかは、一度いちどやらないと――
 どうしてもはなしさきに、すすまねぇらしい。

 「様子ようすを見るぞ」「そウしましょ
 なんて後手ごてまわったのが、裏目うらめに出た。

   §

「なに!? 魔王まおうとな?」
 とうとう一番いちばんのおえらいさんである、コントゥル辺境伯へんきょうはくさまがやってきちまった。

伯爵はくしゃくさま、ここは危険きけんかも知れません! お下がりください――ひかりのたてよ!」
 護衛エクレアたちをしたがえたお館さまとのさん奥方さまルリーロを、まもるように駆けよった給仕服姿メイドすがた魔王・・うたがい)は――ヴォォォォォォォッン!
 三度目さんどめの〝邪を弾く聖なる盾MAGIC・SHIELD〟を展開てんかいした。

 ふぉん♪
『シガミー>猫の魔物は〝決闘死〟とやらで、人の魔物は〝魔王〟だったか?』

 ぽこふぉん♪
『イオノ>ちょっと何よ、この騒ぎ?』
 ひと口アイコンサイズの五百乃大角いおのはらが、画面インベントリの中にあらわれた。

 ふぉん♪
『ホシガミー>ちょっと目を離すと、すぐに面白いことに、プークス?』

 魔神まじん再来さいらい再来さいらい再来さいらい、リオレイニア・サキラテ。
 彼女かのじょが〝MAGIC・ひかりSHIELDのたて〟を展開てんかいしたということは――
 それは、お館さまとのさん奥方さまルリーロまもりが、万全ばんぜんになったことにほかならない。

 ふぉん♪
『>イオノファラーが温玉にさえしなければ、あの物体が熱を発することは無いと思わ――▼▼▼ピピピッ♪
 また真上うえからなんか、来るっ!?

 ヴッ――パシッ、ガキッ!
 ふたたび小太刀こだちを取りだし、鯉口こいくちを開ける!

 それは・・・やっぱりまるくて、まるで卵みたいな形・・・・・・をした――
 巨木きょぼく木の実・・・推定すいてい)だった。

 ヴァチヴァチヴァチヴァチィ――――――――ッ!
 木の実それ魔神まじんリオレイニアの、高等魔術ひかりのたてふせがれ――ゴガァァァァァァァァン!
 こんどはそら彼方かなたへと、飛び去った。

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「辺境伯けんきょうはく夫妻ふさいがぁ、狙われたぞー・・・・・・!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
 駆けよる村人むらびとたち。

「ふぅ、あぶないところでした。伯爵はくしゃくさまに奥方おくがたさま、お怪我けが御座ございませんか?」
 颯爽さっそうと振りかえるのは、ルガ蜂のような・・・・・・・つら

 その轟雷おれ両目メインカメラのような姿形デザインが、この世に出てくるまで・・・・・・には。
 日のもとで言うなら600ねん必要ひつようだったのだ。

 おれが居たころの日のもとより、随分ずいぶん後の世のすすんだ来世このせかいでも――
 両目りょうめ鏡で出来ていたら・・・・・・・・、そりゃぁ――

 魔神まじん間違まちがわれても、仕方しかたがねぇだろう。
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