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4:龍撃の学院

501:ネネルド村奇譚、守銭奴の矜持と人物DBについて

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「シガミーさん。おにぎりさんが嘔吐えずいていますが?」
 茅野姫ほしがみに手を引かれた、強化服一号おにぎりが――

「むにゃ、ごにゃ、みゃぎゃぁー
 すぽん――ごとん、ごろろろん♪
 くちからはこをテーブルのうえに、吐き出した。

「にゃみゃーぁ、ぎゃぎやーぁ
 むねを押さえ、いきをととのえる猫の魔物おにぎり
 ひと真似をする・・・・・のは、かまわんけど――
 おまえ呼吸いきする必要ひつようなんて、ないだろうが。

「ごめんなさいね、おにぎり」
 黒頭巾リオレイニアは、猫の魔物おにぎりにもやさしい。
 背中せなかを撫で、撫でかえされている。

「あ、そうでしたわ、シガミーさん。さきほどの虹色にじいろ魔石ませき無事手ぶじてに入れましたわ
 さっき物議ぶつぎかもしていた、おおきな魔石ませき
 おにぎりが吐いたはこよこへ、ごとんと置かれたそれは――
 ギラギラと光彩こうさいはなつ、まる魔石いし

 ププークスクスと、それはそれは上機嫌じょうきげん様子ようすで――背後はいごを振りかえる星神ほしがみ
 その視線しせんさきでは顧問氏ミャッド秘書マルチヴィルが、うらめしそうにこっちを見つめていた。
 わるいことをしたかもしれん。

「そりゃ、お手柄てがらだが結局けっきょく、いくらで買い取ったんだぜ?」
 この丸石ませきがどれほどのものでも、女神像めがみぞうやおにぎりの代わりになる〝酢蛸SDK〟で無いのなら――
 それほど必要ひつようではない。

「10キロの串揚くしあげセット入り収納魔法具しゅうのうまほうぐ、それを30ぽん交換こうかんをさせていただきましたわぁ、クスクスプークス
 なるほど。
 いきなり代金分だいきんぶんの300キロの串揚くしあげをわたしても、食べきれずくさらせてしまうだろう。
 ということで、アレの出番・・・・・ってわけだ。

 そう猪蟹屋ししがにやと言えば、収納魔法具しゅうのうまほうぐだ。
 串揚くしあげ盛り合わせを入れた収納魔法具しゅうのうまほうぐと、交換こうかんしたらしい。
 しかも、このところずっと、無人工房むじんこうぼうでひたすら作り置き・・・・していたから――

 収納魔法具しゅうのうまほうぐ原価もとでは、すでに無いようなものだ。
 このこまやかな物々交換ぶつぶつこうかんへの采配さいはい星神カヤノヒメ小商い精神・・・・・を、さらに満たせただろう。

 ふぉん♪
『>概算で67パケタ相当。日本円で約100万円になります』
 やすくはねぇ……小商こあきないとしての矜持きょうじも、まもってるようだ。

「それでわぁー、クースクス
「みゃにゃんやー
 またおにぎりの手を引き、屋台やたいもどっていく茅野姫かやのひめ

ねんのため、あとでミャッドの御機嫌伺ごきげんうかがいにいくぞ」
 くわしいはなしを聞いて、星神ほしがみさまが守銭奴しゅせんどなやりくちでも使つかったようなら――
 おれが手ずから退治たいじ……もとい説教せっきょうをくれてやらんとな。

「そうしまシょう《・》」
 迅雷ジンライおおきな魔石ませき仕舞しまい、はこがテーブルにのこされた。

「そのはこっていうか、腕時計うでどけいはリオにやる。あとで使つかってみてくれ」

   §

「まえ使つかってた白い眼鏡・・・・は、使つか心地ごこちはどうだった?」
 聞いてみる。

「はい、あの眼鏡型めがねがたのものは目立たなくて・・・・・・、とても快適かいてきでしたよ」
 うん。〝簡易型魔眼殺かんいがたまがんごろし〟は、問題もんだいなく使つかえていたようだ。
 そのまえに使つかってた〝しろとり仮面かめん〟は、さすがに目立めだってたからなぁ。

 ふぉふぉん♪
『>全部で216枚の積層構造からなる本式の、
  〝白狐の面〟の解析は、既に終了しています』
 なら〝簡易かんい〟じゃない〝魅了の神眼まがん殺し・・つくるか。

 絵で板エディタを、もう一度立いちどたち上げる。
「ちょっとくらいな――作業さぎょうをするのに、良い場所ばしょはねぇか?」
 あかるすぎずくらすぎない場所ばしょが、絵で板エディタ使つかうのにちょうど良い。
 リオレイニアの仮面かめん相当細そうとうこまかいから、よーく見えるところで作業さぎょうをしたい。

 おれは黒頭巾姿のメイドリオレイニアの手を引き、集会所しゅうかいじょから連れ出した。
「ふぅ、本当ほんとうなら卵の件を明らかに・・・・・・・・しないと、いけないのに」
 そんなことを言われてもな。

 〝火龍ゲイル巨大卵きょだいたまごを、ぶち当てた犯人・・・・・・・〟。
 それをさがしに来たんだから、そりゃたしかに大事だいじだぜ。
 けど猪蟹屋うち一番人気いちばんにんき見てくれも・・・・・大事だいじなんだよ。

「お、このへんが良さそうだぜ」
 桟橋近さんばしちかくまで来ちまったが――
「あら良いかぜ、うふふ♪」
 あぶねぇ、自然しぜんにそんなやさしいこえを出されたら――
 いくらおれがおんなわらしでも、しんぞうがバクバクいうだろうが!

 よかったぜ。今彼女いまリオはどこからどう見ても――からとおいところに居る。
 迅雷ジンライ式隠しきかくみのは、その電磁気的特性でんじきてきとくせいとかなんとかいうこと以前いぜんに――
 見てくれ・・・・が、死んでる・・・・
 さっきまでかぶってた頭陀袋ずだぶくろくらべたら、相当そうとうマシだがそれでもだ。

 彼女リオ美しさ・・・もってしても、ここまで残念ざんねんなことになる頭陀袋ずだぶくろ黒頭くろずきん巾は――
 装備品そうびひんとしてかんがえたら――もはや〝呪い・・〟のいきたっしている。

 ふぉん♪
『>まるでフォチャカの呪いのローブのようです』
 そうだな。

 ふぉん♪
『人物DB>フォチャカ・モソモソ
      炎系魔術を行使する冒険者』

迅雷ジンライ、この人物DBじんぶつデータベースですが――」
 黒頭巾くろずきん裏側・・にはそと景色けしきかさねて――
 おれたち五百乃大角いおのはらぜいみてる・・・――
 文字・・映像・・が、うつし出せるようになっている。

 人物じんぶつDBなんたら表示ひょうじが、黒頭巾リオレイニアにも見えちまったらしい。
 見られてこまものでもないからかまいやしないが――どうも気を抜いてたぜ。

 おれやニゲルが日のもとから〝死後・・召喚された・・・・・〟と言うことは、あまり気持ちの良いはなしでは無いから、秘密ひみつにしてる。
 そっちがバレねぇように、気をつけよう。

なニ問題もんダいがありまスか
「フォチャカさんはたしか〝深遠しんえんささやき〟という冒険者ぼうけんしゃパーティーに、所属しょぞくしていたとおもうのですが。それを併記へいきすることは、可能かのうですか?」
 よくおぼえてやがるな。

「なルほど、冒険者ぼうけンしゃパーティーなドの情報じょウほう開示かいジされてイる場合ばアいニは、羅列らレつしタほウ便利べンりでス
 くるんと、ひっくり返る迅雷ジンライ
 この飛ぶぼうに、上下じょうげ向き・・は無い。

 ふぉん♪
『人物DB>フォチャカ・モソモソ
      炎系魔術を行使する冒険者
      B級冒険者パーティー:深遠の囁き』
 黒頭巾リオ意見いけんが取り入れられ、人名表示おぼえがきがより便利べんりになった。
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