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4:龍撃の学院

497:ネネルド村奇譚、料理番の実力

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「あれっ? ひょっとして、やろうっていうのぉぉん? このあたくしさまぁとぉぉー
 御神体ごしんたいのやろうが、生意気なまいきにも――『(Θ_Θ)カシャッ
 浮かぶたまを、追加ついかしやがった。

 ひとつのたまに乗り、のこりのふたつを――ヴォォヴォォヴォォォォン♪
 ぐるんぐるんと、はべらした。
「ウケケッケケケケケケケッ――――
 マジ・・で、やりあう気らしいぜ。

 ったく、馬鹿神ばかがみさまめ。
 殿とのさんまで来てるときに、わざわざ喧嘩けんかをふっかけて来やがって!
 このさい本気ほんき退治たいじしちまうのも有りかもしれなくね?
 あとは野となれやまとなれだ。

「シガミーちゃんに……うぅーん、よしっ300!」
 当然とうぜんのように、王子殿下おうじでんかが賭けるこえが聞こえてくる。
村人むらびとたちに賭けごとひろめるのは、気が引けますららぁぁん!」
 困惑こんわく王女殿下おうじょでんか少女しょうじょメイド・タターの手前てまえ村人むらびとへの配慮はいりょわすれてはいないようだが――

「む、それもそうだな……じゃぁ、ぼくはこの〝タコォ〟の〝オスーシ・・・・〟を賭けよう!」
「それは良いかんがえですね、わたくしも賭けますららぁぁん♪」
 なんだと!?
 秘蔵ひぞうの〝しょうが〟を、きざんで載せてやったのに!

 わわわわい、がやややい♪
 騒然そうぜんとする、タコゥパ会場しゅうかいじょ

「まダ桟橋さんばシニ置きっパなしの蛸足たこアし見た目フォルムが、物議ぶつギかモシ出しているよウで
 見た目が〝魔物まもののなかの魔物まもの〟ってかんじで、食べる習慣しゅうかんがないんだろうが――

「おれも!」「わたしも!」
「わしも!」「あたしも!」
「ぼくも!」「あたいも!」
 大好物だいこうぶつ豪語ごうごしてたネネルド村村民むらそんみんまでさらを、厨房おれのまえのだいテーブルに置いてくのは――どういうわけだぜ!?

ワレは、食べる」
わたしも食べる」
「おれも喰うぞ、ガハハハッ♪」
 わわわわい、がやややい♪

わたくしは、様子見ようすみです」
「レーニアおばさんがそう言うなら、わたし様子見キープで」
 リオレイニアが止めてくれん。

 わわわわい、がやややい♪
 ガチャガチャ、ガチャチャチャッ♪
 だいテーブルがたこ寿司すしで、埋め尽くされた。

「くそう、奇祭タコゥパにぎやかしになればとおもって、たこ寿司すしつくってやったのに!」
 垂らした醤油しょうゆが、かわいちまう!

「その、タコゥパ・・・・ってなんわのっ!? エウロパ・・・・じゃないんだからさっ!」
 ふぉん♪
『ヒント>エウロパ/太陽系第五惑星である木星の第二衛星。生命の痕跡が発見されている【地球大百科事典】』

 ついさっき収得しゅうとくした神々かみがみ言葉ことばや、神々かみがみ世界せかい事柄ことがらがわかるスキル。
 さっそく役立やくだってくれているが……つまるところ、おれが死んだのちの日のもと一切合切いっさいがっさいなんて――
 死んじまったおれの、あずかり知るところではない。

「わからんことを言うなーっ! 寿司すしのこともふくめて、なんだかはらに据えかねたぞ!」
 目のまえに浮かぶたまひとつくらい、二つにしても・・・・・・ばちは当たらんよなぁ――!
 ヴッ――おれは小太刀こだちを、取りだした。

 ふぉん♪
『>シガミー、自重してください。現在ネネルド村には央都とガムラン町の、最重要人物が集結しています。万が一のことがあれば、猪蟹屋の存続が不可能になります』

 あ、わすれてたぜ。
 五百乃大角いおのはらの〝丸い球の方・・・・・〟は、おにぎりたち・・にひっぱたかれて大爆発だいばくはつしたんだった。
 そのいきおいは、すさまじくて――
 王族おうぞく管理かんりしてた〝召喚しょうかんとう〟と、ちかくに生えてた〝ご神木・・・〟。
 そして〝おれのからだ〟まで、木っ端微塵ぱみじんになった。

 ふぉん♪
『イオノ>ご自分の死因を忘れるなんて、プークス♪
     悪鬼羅刹と恐れられた僧兵猪蟹も異世界暮らしで、
     焼きが回っちゃったんじゃないのー?』

 まるたまから――ガチャコン♪
 まるあなの空いたぼうが、突き出た。
 それはまるで銃口ひなわのようで――
 キュキュゥ――カキン♪
 こっちに、ねらいをさだめた。

本気ほんきでやろうってぇのかぁー?」
 ふん、かまわねぇが、位置取いちどりりがまずい。
 いま場所ばしょだと、流れ弾が・・・・ひとに当たらぁ。

 おれはあごななめまえへ、くいと突き出す。
 そっちで立ち合え・・・・という、意思表示いしひょうじだ。

「いいわよぅ――あたくしさまの撃った弾丸たまが、からだに当たったらシガミーの負け・・だからぁねぇぇ
 『(ΘoΘ)ガチャッ』『(ΘoΘ)ガチャッ』『(ΘoΘ)ガチャッ
 たこみてぇな銃口くち一斉いっせいに、おれにねらいを付けなおす。

「おう――からだに当たるのをふせいだら、おれの勝ち・・だからな?」
 カキッ――小太刀こだちの鯉口を切るをあけた

   §

「死にさらぁせぇー
 バッゴォォ――ン!
 なんか火縄ひなわ弾丸たまよかおおきなのが、撃ち出された!

「――チィェェェェェェェェィッ!」
 ガッギュモギュッィィンッ!
 よし、斬ってやった!
 ――ボゴン、ボコララッ♪
 うしろのかべに当たった、弾丸たまおとがおかしい。
 鉛玉なまりだまじゃねぇところをみると、おれに怪我けがをさせるつもりはねぇみてぇだが――

「あたれあたれぇ
 バッガボッゴォォ――ンッ!
 見たら・・・喰らう――やつが引きがねを引く気配に・・・合わせろ・・・・

「――ッチェェェイ、ェェィッ!」
 ガッギュギッ、ガガチュキュゥゥンッ!
 あっぶね!
 一発いっぱつあしを、ねらって来やがった!

 バッガッボッガガァァン――!
 ガガガッギュギィィン、ギャギギャギギィィンッ!

 『(>x<)カキン』『(>x<)カキン』『(>x<)カキン
 浮かぶプロジェクションBOTかおが、一斉いっせいに吠えづらをかいた。

「っはぁぁっ――どうした、もうしまいかぁ!?」
 スゥゥゥゥ、ガキン!
 小太刀こだちを、鞘に収めるとじる

 ふぉん♪
『>そのようです。プロジェクションBOTの暴徒鎮圧用ゴム弾は、総弾数三発。再装填のためには、一度格納する必要があります』
 よし、おれの勝ちだ――が。

 ふぉん♪
『シガミー>おい、五百乃大角』
 ふぉん♪
『イオノ>なによ、バカシガミー!』

休戦きゅうせん休戦きゅうせん。おれたちはネネルドむらへ、なにしに来た?」
「ばかね、そんなの〝タコパしに来た〟に決まってるでしょ
阿呆あほうか、そりゃおまえさんだけだぜ! 特産とくさんのムシュルがいを買い付けに来た決まっ――――むぎゅっ!?」

寝言ねごとを言うのは、このくちですか? いつもいつも――」
 頭陀袋ずだぶくろをかぶったやつに、くちを摘ままれ小言こどとを言われた。
 来世らいせいにも、生きてみるものだぜ。
 こんなに突拍子とっぴょうしもない目に、遭うんだからなぁ。

「ゲイルを狙撃そげきした犯人はんにん正体しょうたいさぐることが、今回央都こんかいおうとから飛んできた目的もくてきでは?」
 そう、そうだったぜ。

「リオレイニアちょっと……ひそひそ……あのでけぇ木、どうおもう?」
 折角せっかくそばに来てくれたことだし、おもったことを聞いてみた。

随分ずいぶん立派りっぱで、とても一日いちにちで生えて来たようには見えませんが?」
 そうだぜ。どう見ても、あの木は普通の木じゃねぇ・・・・・・・・

「あの木は魔王城まおうじょうから飛んださきの、結界けっかいに生えてたご神木・・・にそっくりじゃねぇかぁ?」
 ふふふ、おれは最初さいしょに見たときにおもったことを、言ってやった。

 がやがやがややや。
 わやわやわややや。
 そうだろうそうだろうとも。
 衝撃しょうげき事実じじつみな驚愕きょうがく――してねぇ。

「シガミー! タコォのぉオスーシっ、すっごくおいしぃーよぉー!?」
 なんで、そこに・・・おどろいてやがる?
 女神めがみさまの料理番りょうりばんを、舐めるなよ。
 うまいに決まっとるだろうがっ、なんだぜいまさら!

 じゅるぅり
 レイダたちがむらがるだいテーブルへ、ふらふらと飛んで行こうとする御神体めがみざまをひっつかんだ。

休戦きゅうせんだと言っただろう。向こうのかわいちまった寿司すしを食わせるわけにもいかねぇから――ここでちょっと待ってろ」
 厨房いたば作業台つくえすみさらを置き、そのうえ根菜こんさいさまを載せた。

たこやーらかい、おねぎおいしぃっ♪」
 出来できたてのたこ寿司すしを、十貫じゅっかんくらい食わせたころ・・・・・・
 根菜めがみ機嫌きげんが、ようやく直った。
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