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4:龍撃の学院

468:央都猪蟹屋プレオープン、少年とたまご

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「いや、オスだが?」
 ごそごそと、こしかわベルトをはずしにかかる火龍かりゅう少年しょうねん
「あー、見せんで良い、見せんで。たまご、落っことすぞ?」
 こいつぁ子供こどもに見えても火のりゅうだし、たしか200さいを超えてる――
 いまは魔物境界線まものきょうかいせんにある砦住とりでずまいで、まだまだひとまちには馴染なじんでいない。

 ふぉん♪
『人物DB>火龍ゲートルブ
      元魔王軍第一エリア統括。
      現猪蟹屋三号店〝かりゅうのねどこ〟店長(内定)』
 二号店にごうてんがまるで手つかずのまま、王都おうとに来ることになっちまって。
 ゲイルこいつには、わるいことをしたが――

店主殿マスターよ。なんでも手練テダれの修験者シュゲンジャアラワれたと聞き、こうしてサンじたワケだが――こんなセマトコロ本当ホントウタタカえるのか?」
 こいつぁ、奥方さまルリーロ遠出とおでをするときには、かならず引きつれられてるな。
 奥方さまかのじょ護衛ごえいである黒騎士エクレア当然とうぜんとしても、わざわざ火龍かりゅうのおまえさんをなんでまた?

 ふぉん♪
『解析指南>〝火龍ゲートルブ〟の保有する熱量を、〝ルードホルドの魔法杖〟の燃料にするためと思われます』
 あっ、そういや少年ゲイル姿すがたになってるってこたぁ――
 あの〝燃える蜥蜴・・・・・〟が、どっかそのへんに……居る様子ようすはねぇ。

 子細しさいわからんが、少年ゲイルからそこそこのねつかんじる。
 粗熱あらねつを取るのに一人ひとりだけ、そとで待たされていたのかもな。
 黒の騎士エクレア人間にんげん出来できやつだから意味いみもなく、(224さいとはいえ)子供こども一人ひとりきりにするとはおもえんし。

「あーうん。ひろ場所ばしょは、みせ地下ちかにあるんだ。こっちはただの倉庫そうこだぜ」
 木箱きばこタン・・たたいてみせる。
「ぬぅ、そうであったか。ではワレもそちらへ」
 たまごをかかえなおし、倉庫そうこをあとにしようとする少年ゲイル

「まてまて、そいつ・・・はどうしたんだぜ?」
「むぅ、コレか? これはココへ飛んでくる途中トチュウそらから落ちてきたから店主殿マスターへの土産みやげにとおもい、持ってきたのだ」
「こんなでけぇたまごを、差し出されてもなぁ」
 どーするかな。
 おれはいま寝てることになってるから、ゲイルこいつみせに連れて行くわけにもいかねぇし。

 ふぉん♪
『シガミー>迅雷ジンライ、そっちはどうだ?』
 ふぉふぉん♪
『>議論が白熱し、現在、汎用エディタを起動。シガミーに似合うドレスの作成を開始しています。』
 まるで寝るつもりがねぇな。

 ふぉふぉふぉん♪
『シガミー>わかった。折角、楽しそうにしてるんだ、お前を取りかえすのも忍びねぇ。こっちはそいつらが寝てからで良い。ただし、おれのドレスを作るなら動きやすく、戦いに支障が出ねぇようにしてくれ。それと鍋を振るから、油汚れに強い素材にして置いてくれ』
 ふぉん♪
『>了解しました。シガミーの現在地点、倉庫内部に熱源を感知しましたが、異常はありませんか?』

 ふぉん♪
『シガミー>大丈夫だ。ゲイルが店と間違えて、入りこんだだけだ』
 ふぉん♪
『ホシガミー>あら、それはそれは。ではいま、おむかえに上がりますね、くすくす
 本当ほんとう使つかえるやつだな、星神ほしがみさまはよ。

「ゲイル。いまあの〝おれそっくりな奴・・・・・・・〟がむかえに来るから、みせに行っててくれ」
 ゲイルは茅の姫ほしがみと、何度なんどか会ってる。
「むぅ、わかった。では土産ミヤゲは、ドコへ置けばよいか?」
 見れば見るほど、でけぇんだが。

土産それなぁ。絶対ぜったい魔物まものたまごだよな? しかもそらうえから落ちてきたってことわぁ、おまえさんみたいな飛ぶ種族しゅぞくが落としたんだろーなぁ?」

「たぶんソウだろう。ルリーロの魔法杖マホウツエに振り落とされたからリュウ姿スガタモドり、王都ココへ向かっていたら、コレがあたまに当たったのだ」
 やっぱりつえで、飛んで来たらしい。
 そうしたらいくら黒の騎士エクレアでも、火龍たにん心配しんぱいをしてる余裕よゆうなんてない。

 あたまを押さえたから、そのあたりをさわってみると――
 たしかに、たんこぶ・・・・出来できていた。

 火龍かりゅう怪我けがを負わすいきおいでぶつかっても、割れない卵・・・・・
 それはたまごとは言わない。
 かるたたいてみたら――ごごごぉん♪
 超硬ちょうかてえ。まるでいしだぜ。

「おれぁ、いまから仕事しごとがあるし――どのみちおれの手には負えそうもねぇ。星神ほしがみわたしてくれ」
「わかった」

 がらがらららー!
「ゲイルさん、こんばんわ。うふふ
 ちょうと星神ほしがみかやひめが来た。

 がたがたがたがた、ごとごとごとごと――
 ぷしゅしゅしゅぅ、ぐわんぐわんぐわんぐわわん。
 同時どうじに、地下ちか工房こうぼう動き出した・・・・・
 おにぎりたちが、来たらしい。

「おれぁ、このした工房こうぼうに居るから、なんかあったら呼んでくれや。あと、おれは寝てることになってるから、リオレイニアたちにはうまいこと言っとけよ」
 ねんのため、くぎを刺しておく。

「わかった」
「わかりましたわ。ではゲイルさん、お手伝てつだいいたしますわ
 たまごじゃなくて……いしかかえた人外じんがい少年少女こどもたちが、よたよたと倉庫そうこを出て行く。

「さて仕事しごとをしねぇと、あさまでに間に合わんぞ」
 おれは無人工房むじんこうぼうへ、引きかえした。
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