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4:龍撃の学院

420:初等魔導学院、詠唱魔法具と拠点その3

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いまさらだが、この指輪ゆびわ――どーいう仕組しくみになってるんだ?」
 この指輪ゆびわには、錫杖しゃくじょう小太刀こだちを入れてある。
 迅雷ジンライがいつもそばに居るとは、かぎらねぇから――
 肌身離はだみはなさず、持ちあるいてたが。

「ひかりのたまガハっすル活力マナ、そレを作動さドうトリガーにシた小型こガた収納魔法具しゅうのうまホうぐ
 うん、だから迅雷おまえ収納魔法しゅうのうまほうと、どこがちがうんだ?
収納しゅうノうさレたアイテムノ格納かくノう展開てんカいつかサどる、簡易的かんイてきなファイリングシステムガ搭載とうサいされてイま
 うん? おもってたよりは複雑ふくざつだな。

「じゃぁ、猪蟹屋うちの売りもん収納魔法具しゅうのうまほうぐセットも、おなじ仕組しくみなのか?」
「いいえ、指輪ゆビわニは格納かクのうシた物体ぶっタいノ、再構成さいコうせいアルゴリズムガふクまれていマすの――」
「折られたけんも、元どおりになる・・・・・・・わけだな」
 寸断すんだんされたぶん、どんどんみじかくなるけど。

「えっ? そうわのぉん
 「あたくしさまには、そんなアルゴリズムふくまれてないんですけど」と、くびかしげる根菜こんさいさま。
 やい、御神体うつけさまよぅ。
 うつくしさにかけちゃぁ、リオレイニアにかないようもねぇんだからよ。
 せめて、神々かみがみ技術みわざってぇやつくらい、ちゃんとしようぜ。

前々まエまえかラオもってイましたが……シガミーテい姿見すがタみはありまシたよね
 あれ? いっしょに美の女神いおのはらわらい)の〝美しさ・・・〟を揶揄やゆしてくれるのかとおもったら。
 矛先kほこさきがおれに、向きやがったぜ?

きゅうにどーしたぁ? おれぁ、リオにおこられねぇように、ちゃぁんと寝起ねおきだけはくしを入れてるぞ?」
 そうしねぇと毎朝まいあさおこしに来やがるからなアイツ。

「ぶっちゃけアンタさぁ……とてもそうはおもえないけどさぁ……すくなくとも見た目だけわぁさぁ……この央都おうとでだってさぁ……一番いちばんカワイイ・・・・のよぉ
 ふぉん♪
『イオノ>なんせ、あたくしさまがよりによりを掛けて、
     偶然作った愛くるしさなんだからさっ♪』

偶然ぐうぜんなんじゃねーかよ。それにカワイイ・・・・ってぇーのは、〝ビビビー〟とか〝ルコル〟みたいなやつのことを……言うんじゃねーのか?」

「あー、たしかにあの狐耳君きつねみみくんわぁ、ちょぉーっと可愛かわいいわねぇーん
「シガミーはルコル少年しょウねんノ30バいホど、愛嬌あイきょうがアり可憐かレん人心じンしんウったえかケる美ノ才能さいノうがアります。すコしズつでも自覚じかクしてくダさ

「んー? さっきからなんはなしを……してやがるんだぜ?」
 パキパキ、ペタン♪
 こまかな部品パーツを、二枚にまい薄板うすいたではさんで――完成かんせい

「シガミーハ、ルコル少年しょうネんノ1000バいくラいガサツなノで、総合評価そうごうヒょうかとシては――ルコル少年しょウねんほウがカワイさデ15パーセントホどマさってイると言ウはナしでスが
 そりゃそーだろう。おれとくらべたらレイダだって、すごく可愛かわいらしいからな。
 なんせ正真正銘しょうしんしょうめい、この地に棲まうわらしだ。

「うむ。よくわからんがぁ、完成かんせいしたぜ。ひとまず、こんなもんでどうでぇい?」
 試作品一号プロトタイプには、迅雷ジンライが描きなおした――リオレイニアの肖像画しょうぞうが
 町中まちなか普段着ふだんぎ駆ける・・・、あまり見たことのない姿すがただ。
 この行儀ぎょうぎわるさは、あとで描きなおさせられるだろうが――
 はじける笑顔えがお仮面かめん)と瑞々みずみずしさは、なかなかわるくない。

 ヴォヴォンゥォー、ズダダダダッダダッダンッ♪
 かなでられるうたは、もと歌声うたごえをそのまま。
 神々かみがみの棲まうまち恋愛模様れんあいもよううたったらしいと、説明せつめいされても――
 正直しょうじきところ、まるでわからん。

「リオレーニャちゃんのぉ、ご要望ごようぼうにぃーそってるんじゃぁなぁいのぉぅ
 げひひひひっ、ウケケケケッ――――♪
 御神体いおのはら両目りょうめに、財宝ざいほうが見えかくれしてやがる。

 こいつ一枚いちまいにつき、どれだけの歩合ぶあいか知らんが――
 取りぶんすべては結局けっきょくところ食費しょくひにあてることになる。
 出来できることなら万一まんいちときのために、かねは貯めておきたいが。

「じゃぁ、仕事しごとはここまでにして――コイツ・・・相談そうだんをするぞ?」
 ヴッ――ぱさり♪

 取りだしたのは、あざやかな紫色むらさきいろ
 測定魔法具そくていまほうぐこわしてしまった原因げんいん
 魔力量まりょくりょうを〝10(固定こてい)〟だけ上げる、鉢巻はちまきを取りだした。

「こレは我々わレわれ進退しンたいカかわりかネない、火急かキゅうかツ極秘ごクひ案件あンけんでスの――」
 そうだぜ。こういう秘密ひみつこと試す場所・・・・は、どうしたって必要ひつようになる。
 ゆくゆくはここ央都おうとにも、猪蟹屋ししがにやをかまえ――
 その地下深ちかふかくにでも――秘密ひみつ工房こうぼうを建てよう。

 けど、さしあたって――「どうしたもんかなぁ?」
「ウケケケケッ♪ 秘密ひみつ場所ばしょならやっぱり――あそこ・・・でしょ?」

   §

▼▼▼ピピピッ――♪』
 気づいたときには、おそかった。

「やぁやぁやぁ、こんばんニャァ♪」
「くすくすくす、こんばんららぁん♪」
 暗闇くらやみなかから、そんなこえが聞こえた。

 カカカァァッ――――!!
 大女神像だいめがみぞう煌々こうこうと、魔法具まほうぐあかりで照らされた。
「ちっ、たばかられたぜっ!」
 だれもいない深夜しんやに、ちょっとガムランちょう超女神像ちょうめがみぞうまで、飛んでかえろうとおもったんだが――

 暗闇くらやみまぎれていたのは――モサモサ神官しんかんが、ザッと30にんくらい。
 モサモサしてない神官しんかんも、やっぱり30にんくらい。
 ギ術開発部じゅつかいはつぶ顧問こもん秘書ひしょに、第一王女だいいちおうじょ殿下でんか

「ごめんね、シガミー――ふわぁぁっ♪」
 王女殿下ラプトルひめのうしろから、ねむそうな顔を出したのは――
 給仕服姿きゅうじふくすがた少女しょうじょ・タターだった。

 いたくちを閉じられずに居たら――
 ゴドン――ガチャガチャガチャガチャチャチャチャチャッ♪
 大女神像だいめがみぞうあしに付いたドア複雑に開き・・・・・なかからねむそうな子供こどもあらわれた。

「ふぅわぁぁぁふぅ♪ やっぱり来――すやぁ♪」
 あられるなり、くずれ落ちるレイダ。
「あらあら、ずっと頑張がんばって起きていたのだけれど――」
 そのおくからもうひとり。
「ふふふ、シガミーさん。こんばんわ」
 変わらぬ様子ようす学院長がくいんちょうが、レイダをやさしくかかえあげた。

「まさか本当ほんとうに、来るなんて――♪」
 うわっ――ぎょっとした。
 ビビビーのやつが、やっぱり動体検知モーショントラッカー検出けんしゅつされずに、すぐよこに立ってた。
 ふぉん♪
『人物DB>ヴィヴィエラ・R・サキラテ
      初等魔導学院一年生』
 いちいち出すな、こいつはビビビーだ。

 迅雷ジンライ――どうなってる!?
▼▼▼ピピピッ――♪』
 おせぇ。
 この世界せかい連中れんちゅうを、舐めすぎていたらしい。

 ふぉん♪
『ヒント>暗視装置、正常に作動中。
     熱源、音源、活力源、全ての量子映像チャンネルに、
     敵影は感知できませんでした』

「シガミー、どちらへお出かけですか?」
 あきれがお給仕服リオレイニアに、正面から・・・・捕らえられた。

「(シガミー。サキラテ一族いチぞく隠密術おんミつじゅつ看破かンぱできマせ)」
 そんなのも有ったぜっ!
 本当ほんとうに有りと有らゆる手段しゅだんで、待ち伏せされた・・・・・・・ってわけだなっ!

 ぽこ――こぉん♪
 かるい処理落しょりおち。
 てちり――おれのあたまうえに降りたつ、御神体いおのはら
「はぁい、降参こおさん♪ 投降とうこおするからぁ、お夜食やしょくぉー要求ようきゅうしまぁすぅ

 見知みしったかおが、勢揃せいぞろいだ。
 さすがに、蹴散けちらすらすわけにもいかねぇ。
 おれは迅雷ジンライから、手をはなした。
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