上 下
399 / 739
3:ダンジョンクローラーになろう

399:美の女神の料理番(シガミー)、温泉と下剋上その3

しおりを挟む
「(おい、おにぎりどもわぁ、どこにいやがる)」
 視線しせんをさまよわせると、レイド村周辺むらしゅうへん地図ちず大写おおうつしになった。

 いま居るのがげんざいちてんの、むらはずれだろ――?
 おにぎりどもをあらわすしるしが……見当みあたらない。

 ふぉふぉん♪
『>少々お待ちください』
 座布団ざぶとん直立ちょくりつしていたぼうが、すすっと上空うえに飛んでいき――

 即座そくざに『おにぎり』、『ニゲル』、『てんぷらごう』のみっつの現在地点げんざいちてんを、おくってよこした。
 おれも鉄鎧鬼よろいおにアンテナがありゃ、超高速ちょうこうそく移動体いどうたい類推索敵るいすいさくてきくらい出来できるんだが。
 いまあたまに生えてる枝葉えだはみたいなつのじゃ、無理むりっぽい。

 ピヒューゥン、ピョヒュヒュヒュヒュゥーン♪
 あいつらは、レイドむらのまわりをグルグルと、はしまわっている。
 ほとんどかさなってるのは、たぶん子馬てんぷらごうに乗って移動いどうしてるからだろう。
 しかし、あの子馬こうま。見た目とちがって相当そうとうはやさだぜ。

「(むら周囲しゅうい温泉おんせんがあるのか)」
 そういや、ガムランの温泉おんせんまちはし石垣いしがきなか湧いた・・・っけなぁ――

 ふぉん♪
『イオノ>ちょっと、シガミー?』
 五百乃大角いおのはらを見ると、座布団ざぶとんには乗ってなくて。
 茅の姫ホシガミーの手のひらに、乗せられている。

「(なんでぇい、邪魔じゃまするなってんだぜ? おまえさんが、星神ホシガミー軍門ぐんもんくだるってことで、はなしが付いただろーが
「それなんだけどさぁー、なーんかまだ・・問題もんだいがあるみたいよぉん

「あぁん? まだなにかあんのかぁ?」
 うつむく星神ほしがみのまえに、ぽきゅりとすわる。

 ふぉふぉん♪
『ホシガミー>私がこの世界に存在すると、
       せっかく整えた龍脈環境が、
       また歪んでしまいますわ。ぐすぐす?

「(ゆがむと、どうなる)」
 あぐらをかいた両膝りょうひざを、ぎゅっと猫手ねこてでつかみ――
 星神ほしがみかおを寄せた。

 ふぉふぉん♪
『ホシガミー>変異種とミノタウロースが、
       無限に湧き続けますわ、ぐすぐす

みゃにゃぁそいつぁんにゃみゃーにゃんずいぶんとなんぎだな
 かといって、彼岸ひがんおくりかえすのはしのびねぇ。
 綺麗きれい場所ばしょだが三途の川あのばしょは、生者せいじゃが行く場所ところではない。

 ふぉふぉん♪
『ホシガミー>やはり仕方がありません。
       他界することにいたしましょう』
みゃんみゃばかをにゃにゃやーんにゃいうんじゃねぇ!」
 あー、怒鳴どなるとつい猫共用語なきごえが出ちまう。
 せっかくおまえさまも、この世に居るんだぜ!
 うまいものをたらふく食って、すこやかに生活せいかつしてもらう。
 そして、あわよくば猪蟹屋うちのみせ戦力せんりょくになっていただく。

「(五百乃大角いおのはらぁ、なんとかしろぃ)」
「えームリムリっ、そもそも星神ほしがみなんてさぁー、乗ってないよ……ぺらぺらり……攻略本こうりゃくぼんにわぁー
 ちっ、だらしねぇな。
 迅雷ジンライ、なんか手はねぇか?

 ふぉふぉん♪
『>イオノファラー。類推による高速な思考形態を、
  使用してもよろしいでしょうか?」

 ふぉん♪
『イオノ>え、何で聞くのぉん? どんどんやっっちゃってぇー!』

 ふぉふぉふぉふぉん♪
『>では〝特撃型10号改〟と〝鉄鎧鬼〟を含む、全システムの精査と、星神茅野姫との共存方法を類推、模索します』
 おう、〝おおいそぎ〟でたのむぜ。

 おれも、もうすこしのあたまの冴えがありゃぁ、良い頓知とんちも浮かびそうだが。
 ぽこん――ギュガッチャゴゴォォン♪
 だれも居ないところをみつめ――
 ニゲルが言うには〝ロボットプラモ〟――
 〝鉄鎧鬼よろいおに〟を取りだした――――ドゴズズゥゥン!

 地が揺れ、たおれる星神おひがみ御神体びのめがみ

 バッシャ――ガシャガシャガシャ!
 ひらいた背中せなかからあらわれたのは、まるでうまくらのような座席ざせき
 ぽぎゅぽぎゅぎゅむむ――這いつくばるように、なかに乗り込んだ。

 ギュギュガッチャコン、ギュギュギュギチギチギチ――――ピピピピプヒュゥ――ン♪
 特撃型おれおもさでへこんでいた〝くらのようなかたち〟。
 それが波打なみうち――かたくなった。

 カヒューィ、ガゴゴンッ!
 隔壁ハッチが閉じられ――ヴュパパパパパパパパッ♪
 積層化せきそうかされた巨大きょだいモニタが、目のまえにひろがった!

「こいつぁ、すげぇ。これなら、さっきのあれが出来でき――ニャァ
 ガキュンッ――おれはアンテナに手をかざした。
 こわれたり曲がったりしてた、多種多様たしゅたよう複合マルチロッドアンテナを――生身おれのスキルで修理しゅうりした。
 同時どうじに――電波減衰サイクルフェージング回析限界かいせきげんかい利用りようした、高分解能化ハイデフか成功せいこう

 精度せいどを増した〝動体検知トラッカー〟が、はしまわ子馬こうまてんぷらごう〟の軌跡きせきを――
 詳細しょうさいにトレースする。

 ピュピピピピピピピッ――――――――♪
 とうとうむらなかまで、はいって来やがったぞ?
 どうも、おれたちが居るあたりを中心ちゅうしんにして、はしまわってるみたいだ。
 こりゃ高確率こうかくりつで、このへんから温泉おんせんが出そうだぜ。

 積層化せきそうかされたモニタは、おれの思考しこう追従ついじゅうして――
 めまぐるしくいろかたちを、変えていくが――
 まるで騒々そうぞうしくかんじない。
 ふう――やっぱり、おれのあたまが冴えわたってやがる。
「どうだぁ迅雷ジンライ――ニャァ

 ふぉふぉふぉん♪
『>INTタレットの演算単位を100と評価した場合、この鉄鎧と特撃型をあわせての演算単位評価は20です』
 まえに聞いたのと、変わらねぇのか。

 ふぉふぉん♪
『>変わりませんが拡張されたシガミーを、
  INTタレットのサブシステム、
  INTシガミーとして運用すれば、
  その類推思考は幾何級数的に高速化する、
  可能性があります』
 澄みわたったいまのおれのあたまでも、わからん。

 ふぉふぉん♪
『解析指南>INTタレット迅雷を、最大長まで伸ばしてください』
 はぁ? そりゃ迅雷ジンライは、おれの・・・からだながさまでなら自在じざいに伸びるが。

 ガッシャ、ガッキュゥーン♪
 上空うえから降りてきた、爪楊枝つまようじみてぇな相棒ジンライをつまんだ。
 カシャカシャカシャカシャ、シュッカァァン――――!!!
 ほそなが針金はりがねのように、独古杵ジンライが伸びた瞬間しゅんかん

「そもさ――ニャァ
 そんな言葉ことばが、くちをついて出た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私のスローライフはどこに消えた??  神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!

魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。 なんか旅のお供が増え・・・。 一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。 どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。 R県R市のR大学病院の個室 ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。 ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声 私:[苦しい・・・息が出来ない・・・] 息子A「おふくろ頑張れ・・・」 息子B「おばあちゃん・・・」 息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」 孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」 ピーーーーー 医師「午後14時23分ご臨終です。」 私:[これでやっと楽になれる・・・。] 私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!! なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、 なぜか攫われて・・・ 色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり 事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!! R15は保険です。

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす
ファンタジー
 病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。  時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。  べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。  月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ? カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。 書き溜めは100話越えてます…

異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~

結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は 気が付くと真っ白い空間にいた 自称神という男性によると 部下によるミスが原因だった 元の世界に戻れないので 異世界に行って生きる事を決めました! 異世界に行って、自由気ままに、生きていきます ~☆~☆~☆~☆~☆ 誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります! また、感想を頂けると大喜びします 気が向いたら書き込んでやって下さい ~☆~☆~☆~☆~☆ カクヨム・小説家になろうでも公開しています もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~> もし、よろしければ読んであげて下さい

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

悪役令嬢の騎士

コムラサキ
ファンタジー
帝都の貧しい家庭に育った少年は、ある日を境に前世の記憶を取り戻す。 異世界に転生したが、戦争に巻き込まれて悲惨な最期を迎えてしまうようだ。 少年は前世の知識と、あたえられた特殊能力を使って生き延びようとする。 そのためには、まず〈悪役令嬢〉を救う必要がある。 少年は彼女の騎士になるため、この世界で生きていくことを決意する。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

魔法少女のなんでも屋

モブ乙
ファンタジー
魔法が使えるJC の不思議な部活のお話です

処理中です...