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3:ダンジョンクローラーになろう

399:美の女神の料理番(シガミー)、温泉と下剋上その3

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「(おい、おにぎりどもわぁ、どこにいやがる)」
 視線しせんをさまよわせると、レイド村周辺むらしゅうへん地図ちず大写おおうつしになった。

 いま居るのがげんざいちてんの、むらはずれだろ――?
 おにぎりどもをあらわすしるしが……見当みあたらない。

 ふぉふぉん♪
『>少々お待ちください』
 座布団ざぶとん直立ちょくりつしていたぼうが、すすっと上空うえに飛んでいき――

 即座そくざに『おにぎり』、『ニゲル』、『てんぷらごう』のみっつの現在地点げんざいちてんを、おくってよこした。
 おれも鉄鎧鬼よろいおにアンテナがありゃ、超高速ちょうこうそく移動体いどうたい類推索敵るいすいさくてきくらい出来できるんだが。
 いまあたまに生えてる枝葉えだはみたいなつのじゃ、無理むりっぽい。

 ピヒューゥン、ピョヒュヒュヒュヒュゥーン♪
 あいつらは、レイドむらのまわりをグルグルと、はしまわっている。
 ほとんどかさなってるのは、たぶん子馬てんぷらごうに乗って移動いどうしてるからだろう。
 しかし、あの子馬こうま。見た目とちがって相当そうとうはやさだぜ。

「(むら周囲しゅうい温泉おんせんがあるのか)」
 そういや、ガムランの温泉おんせんまちはし石垣いしがきなか湧いた・・・っけなぁ――

 ふぉん♪
『イオノ>ちょっと、シガミー?』
 五百乃大角いおのはらを見ると、座布団ざぶとんには乗ってなくて。
 茅の姫ホシガミーの手のひらに、乗せられている。

「(なんでぇい、邪魔じゃまするなってんだぜ? おまえさんが、星神ホシガミー軍門ぐんもんくだるってことで、はなしが付いただろーが
「それなんだけどさぁー、なーんかまだ・・問題もんだいがあるみたいよぉん

「あぁん? まだなにかあんのかぁ?」
 うつむく星神ほしがみのまえに、ぽきゅりとすわる。

 ふぉふぉん♪
『ホシガミー>私がこの世界に存在すると、
       せっかく整えた龍脈環境が、
       また歪んでしまいますわ。ぐすぐす?

「(ゆがむと、どうなる)」
 あぐらをかいた両膝りょうひざを、ぎゅっと猫手ねこてでつかみ――
 星神ほしがみかおを寄せた。

 ふぉふぉん♪
『ホシガミー>変異種とミノタウロースが、
       無限に湧き続けますわ、ぐすぐす

みゃにゃぁそいつぁんにゃみゃーにゃんずいぶんとなんぎだな
 かといって、彼岸ひがんおくりかえすのはしのびねぇ。
 綺麗きれい場所ばしょだが三途の川あのばしょは、生者せいじゃが行く場所ところではない。

 ふぉふぉん♪
『ホシガミー>やはり仕方がありません。
       他界することにいたしましょう』
みゃんみゃばかをにゃにゃやーんにゃいうんじゃねぇ!」
 あー、怒鳴どなるとつい猫共用語なきごえが出ちまう。
 せっかくおまえさまも、この世に居るんだぜ!
 うまいものをたらふく食って、すこやかに生活せいかつしてもらう。
 そして、あわよくば猪蟹屋うちのみせ戦力せんりょくになっていただく。

「(五百乃大角いおのはらぁ、なんとかしろぃ)」
「えームリムリっ、そもそも星神ほしがみなんてさぁー、乗ってないよ……ぺらぺらり……攻略本こうりゃくぼんにわぁー
 ちっ、だらしねぇな。
 迅雷ジンライ、なんか手はねぇか?

 ふぉふぉん♪
『>イオノファラー。類推による高速な思考形態を、
  使用してもよろしいでしょうか?」

 ふぉん♪
『イオノ>え、何で聞くのぉん? どんどんやっっちゃってぇー!』

 ふぉふぉふぉふぉん♪
『>では〝特撃型10号改〟と〝鉄鎧鬼〟を含む、全システムの精査と、星神茅野姫との共存方法を類推、模索します』
 おう、〝おおいそぎ〟でたのむぜ。

 おれも、もうすこしのあたまの冴えがありゃぁ、良い頓知とんちも浮かびそうだが。
 ぽこん――ギュガッチャゴゴォォン♪
 だれも居ないところをみつめ――
 ニゲルが言うには〝ロボットプラモ〟――
 〝鉄鎧鬼よろいおに〟を取りだした――――ドゴズズゥゥン!

 地が揺れ、たおれる星神おひがみ御神体びのめがみ

 バッシャ――ガシャガシャガシャ!
 ひらいた背中せなかからあらわれたのは、まるでうまくらのような座席ざせき
 ぽぎゅぽぎゅぎゅむむ――這いつくばるように、なかに乗り込んだ。

 ギュギュガッチャコン、ギュギュギュギチギチギチ――――ピピピピプヒュゥ――ン♪
 特撃型おれおもさでへこんでいた〝くらのようなかたち〟。
 それが波打なみうち――かたくなった。

 カヒューィ、ガゴゴンッ!
 隔壁ハッチが閉じられ――ヴュパパパパパパパパッ♪
 積層化せきそうかされた巨大きょだいモニタが、目のまえにひろがった!

「こいつぁ、すげぇ。これなら、さっきのあれが出来でき――ニャァ
 ガキュンッ――おれはアンテナに手をかざした。
 こわれたり曲がったりしてた、多種多様たしゅたよう複合マルチロッドアンテナを――生身おれのスキルで修理しゅうりした。
 同時どうじに――電波減衰サイクルフェージング回析限界かいせきげんかい利用りようした、高分解能化ハイデフか成功せいこう

 精度せいどを増した〝動体検知トラッカー〟が、はしまわ子馬こうまてんぷらごう〟の軌跡きせきを――
 詳細しょうさいにトレースする。

 ピュピピピピピピピッ――――――――♪
 とうとうむらなかまで、はいって来やがったぞ?
 どうも、おれたちが居るあたりを中心ちゅうしんにして、はしまわってるみたいだ。
 こりゃ高確率こうかくりつで、このへんから温泉おんせんが出そうだぜ。

 積層化せきそうかされたモニタは、おれの思考しこう追従ついじゅうして――
 めまぐるしくいろかたちを、変えていくが――
 まるで騒々そうぞうしくかんじない。
 ふう――やっぱり、おれのあたまが冴えわたってやがる。
「どうだぁ迅雷ジンライ――ニャァ

 ふぉふぉふぉん♪
『>INTタレットの演算単位を100と評価した場合、この鉄鎧と特撃型をあわせての演算単位評価は20です』
 まえに聞いたのと、変わらねぇのか。

 ふぉふぉん♪
『>変わりませんが拡張されたシガミーを、
  INTタレットのサブシステム、
  INTシガミーとして運用すれば、
  その類推思考は幾何級数的に高速化する、
  可能性があります』
 澄みわたったいまのおれのあたまでも、わからん。

 ふぉふぉん♪
『解析指南>INTタレット迅雷を、最大長まで伸ばしてください』
 はぁ? そりゃ迅雷ジンライは、おれの・・・からだながさまでなら自在じざいに伸びるが。

 ガッシャ、ガッキュゥーン♪
 上空うえから降りてきた、爪楊枝つまようじみてぇな相棒ジンライをつまんだ。
 カシャカシャカシャカシャ、シュッカァァン――――!!!
 ほそなが針金はりがねのように、独古杵ジンライが伸びた瞬間しゅんかん

「そもさ――ニャァ
 そんな言葉ことばが、くちをついて出た。
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