滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

３：ダンジョンクローラーになろう

３９４：美の女神の料理番（シガミー）、星神の花

「おぉ？　こいつぁー、すこし立端たっぱがあって、長物ながものもうまく扱えそうだぜ――♪・」
　ヒュヒュヒュンッ――――がっごぉぉぉぉんっ♪
　独古杵どっこしょ・迅雷ジンライを振りまわし、地を打ち付けた。

　この感覚かんじ、あきらかに――１シガミーよか長ぇ・・・・・・・・・♪

　いよぉし♪
　最初さいしょにガムランの岩場いわばで目覚めざめたときみてぇな――
　襤褸布ぼろぬのを纏まとっちゃぁいるが、そんなものは――
　いまのおれには、造作ぞうさもねぇ――すぽん♪

　襤褸ぬのを収納魔法しゅうのうまほうにしまい――「（迅雷ジンライ、着替きがえを手伝てつだえ！）」

　絵で板エディタを使つかうまでもなく――ぽしゅるん♪
　レイダと揃そろいの一張羅ドレスに、カブキーフェスタのときの、派手はでな帽子ぼうしに垂れ布ぬの。
　各種装備かくしゅそうびを格納かくのうした収納魔法しゅうのうまほう具箱ぐばこが、ビッシリと付いた革かわベルト。
　腕輪うでわと指輪ゆびわと、手甲てっこうに靴くつ。

　その色いろを青基調あおきちょうの、デジタル迷彩柄カモフラに変更へんこうする。
　二歩にほあるく間あいだに――迅雷ジンライの細腕プロダクトアームが、出来できたばかりの服ふくを着せてくれた。

「よしっ♪　いよぉぉぉしっ♪」
　哀あわれな星神ほしがみへの、ちょっとした功徳くどくのつもりだったが――
　かなり良い体からだを、手に入れたぞ！
　元もとの体からだとちがってるのは、頭あたまの中身なかみと手足てあしの長ながさだけだ――ふっふうふふっ♪

　なんて喜よろんでいられたのは、ほんのつかの間だった。
　すでに〝鏑矢かぶらや〟は放はなたれていた――らしい。

　おれに体を返し・・・・、賽さいの河原かわらへとんぼ返り・・・・・。
　そう画策かくさくした〝ホシガミー・・・・・〟が――やりやがった！

「んむぐ!?　ごくん！」
　突然とつぜん、口くちの中なかに飛びこむ――花はなの蕾つぼみ。
　一瞬見いっしゅんみえたこいつは――たぶん、茅の姫ほしがみの頭あたまに咲いてた花やつだ。
　ちくしょうめ、得体えたいの知れねぇ物もんを飲み込んじまった！

　すぐに花それはひらき――おれは昏倒こんとうする。
　倒たおれる瞬間しゅんかん、同おなじように倒たおれていく星神ホシガミーの姿すがたが見――――

　　　§

「ずっはぁぁぁぁっ――――!?」
　あっぶねぇなぁっ！
「また死んだりしたら、死んでも死にきれねぇぞっ！」
　おれは飛びおきた。

「か、カヤノヒメちゃんなのぅ？」
　なんだぁ？
　ほっそい魔法杖まほうつえで、おれを遠とおくから突つつくヤツがいる。

「痛いてぇ、突つつくんじゃねぇレイダ！　だれが〝ホシガミー〟だ！　おれぁ、みんなのアイドル、シガミーさまだぜ！」
　どがんと踵かかとを床ゆかに叩たたきつけ、啖呵たんかを切る。

「わっ、このお行儀ぎょうぎの悪わるさ！　間違まちがいない、元もとのシガミーだっ♪」
　魔法杖つえを投げ捨て、細長ほそながい寝床ねどこに飛びこんでくる、子供レイダ。

「迅雷ジンライクーン？　どーなってるのよぉん？・」
　五百乃大角いおのはらの声こえもする。

「カヤノヒメのユニーク神かミスキルにヨる、霊魂れいコんノ入れ替えが行おこナわわレたと判断はんダんすべキかと・」
　迅雷ジンライの声こえもする。

　すぐ隣となりの寝床ねどこから、誰だれかが起きあがる気配けはい。

「――おはようございます、みなさま？・」
　茅かやの姫ひめの……っていうか、おれの声おれもする。

「やい、ホシガミー・・・・・めっ！」
　そっちを見れば――

「はい、私わたくしは星神ほしがみカヤノヒメで御座ございます。ぐすぐす？・」
　年としの頃ころは十四じゅうし、五歳程度ごさいていどのシガミーおれがべそをかいてやがる。

「（せっかく作つくった、大おおきな体からだだったのによぉ！）」
　くそっ、また体からだをぶん捕られたらしい！

　目尻めじりに涙なみだを浮かべる、おれと瓜二うりふたつのそいつ。

「（まさか、こんなことになってしまうとは、思おもいもよりませんでしたわ――ごめんなさい、シガミーさん）」
　念話ねんわも使つかえるソイツが、うやうやしく首こうべを垂れた。

　がやがやがやがや、どやどやどやどや――――！
　んぁ、外そとが騒々そうぞうしいな。迅雷ジンライ、動体検知アクティブトラッカーはどーしたぁ？

「（立て込んでいるので、敵性てきせいの感かんじられない動体表示トラッカーは非表示オフにしてあります。すべてを表示オンにしますか？・）」
　いや、わかった。表示ひょうじしなくて良いが――何なにごとだぜ、この立て込んでるときによぅ？

「避難ひなんしてたレイド村むらの人ひとたちが、帰かえってきたってさ！」
　ニゲルの声こえに振り向くと、一瞬いっしゅんだけ『►►►トラッカー』が赤あかく光ひかった。
　まて、今いまのは誰だれの殺気さっきだぁ？

「グギャギャァォォォォォォォォオォォォォゥゥ――――!!!」
　なんかとんでもねぇ雄叫おたけびが、外そとから聞こえた。
　けど、その割わりには騒々そうぞうしいだけで、騒さわぎにはなってねぇな？

「ニゲル、外そとはどーなってやがんだ？」
　尋たずねるも、青年せいねんからの返答へんとうはない。
　ヘラヘラとした苦笑にがわらい。
　どーした、煮え切らねぇな？

「ひとまず外そとの様子ようすを見てくるか！」
　おれは浮かんでた独古杵ジンライを手に取った。

「やい茅の姫ホシガミー、戻もどってきたら話はなしを付けるから、おとなしく待っとけ！」
　そう言うと、寝床ねどこに正座せいざした星神ホシガミーが、また首こうべを垂れた。