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3:ダンジョンクローラーになろう

380:龍脈の回廊、レイド村ギルド支部

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 シュゴォォォォォォォォォォッ――――ヴォッファ、プスプスン!
 ぬううぅぉお!?
 目のまえにせまったとがった建物たてもの(たぶん、ギルド支部しぶ)を、避けようと藻掻もがいたら――
 背中せなか爆発ばくはつしてた大筒おおづつが、詰まっちまった!

 ズドゴォ、ガッシャァン!
 けどおかげで、うまいこと地面じめんに立てたぞ。
 看板かんばんこわしちまったけど、建物たてものこわさねぇで済んだ。

「ぎぃぃいゃぁぁぁぁぁっ――――はーなーしーてぇー!」
 うるせえ、いわれなくてもはなしてやらあぁ。
 そっと手をひらくところがり出る、しろふくおんな
 おおきなたまごを落としそうになって、その場にへたり込む。

 まあいいやな、ニゲルが追ってくるまえに、やることを済ましちまおう。

「えエと、たシか三番何さんバんなんたらってノは、こシニ付いテるはコ――ニャァ
 太刀たちぎゃくこしてつはこをつかんで引っ張ったら――
 そのくちが、カシャリとひらいた。

 なかには、いつだか見たことがある――なんだっけか。
 魂徒労裏こんとろううらとかいうやつに似た――なんていやぁ良いのか。
 つながった生姜しょうが黒板くろいたと引きがねと、あとなわつながってる。

 魂徒労裏こんとろううらは、武者鎧鬼おれ使つかうようなおおきなやつと――
 ひと使つかうような、ちいせぇやつがはいってて――。

「こっチ――ニャァ
 丁度ちょうど、うるせぇしろおんなおなじぐれぇのおおきさの、魂徒労裏こんとろううらを手に取る。
 するすると引っ張り出すと、結構けっこうながさのなわさきには……でけぇ分銅ぶんどう

 これを女神像めがみぞうに、くっ付けりゃ・・・・・・良いらしいんだが――
 女神像めがみぞう地下ちかにある、

 この図体ずうたいじゃ地下ちかどころか、ギルドのなかにすらはいれない。
「しゃアね――ニャッ
 こぶしにぎり――ガキュゥゥン♪
 正面しょうめんとびらに向かって振りかぶる!

「きゃぁぁぁぁっ――――!? まってまって、どうするつもりですか?」
 あたま装備しかぶってた長布ながぬので、たまごをぐるぐる巻きにしてた、わかおんなが――うるせぇ。

「おレぁ、女神像めがミぞうよウがア――ニャァ
「でしたら、こちらからどうぞ! こわされては、益々ますますレイドむら財政ざいせい壊滅かいめつしてしまいます!」
 ぬので巻いた大卵たまごくびに下げた、珍妙ちんみょう格好かっこうおんなが――逃げていく。

 ガシャズン、ガシャズズン。
 あとを付いていくと、でけぇものはこび入れるための、大扉おおとびらがあった。

 ゴンゴンゴンゴンゴロロロロロロロォ――――!
 開けると、「作業場さぎょウばみタいだ――ニャァ
 つくえ刃物はものならんでいて、おくはギルド一階玄関いっかいげんかんへとつづいている。

 きのこ大根だいこん輪切わぎりりが置いてあるところを見ると、ここは捕った獲物えもの解体かいたいする場所ばしょらしい。
 なんにしても、なかはいれたのは良かったぜ。

 良かったんだが――
 でけぇ分銅ぶんどう女神像めがみぞうまでどうやって、はこぶかなぁ。
 なわを置いたら、作業場さぎょうば大机おおつくえなわ一杯いっぱいになった。
 ながさは足りるだろうが。

 このでけぇ分銅ぶんどう女神像めがみぞうがあるらしい階段下かいだんしたへ投げ入れても――
 到底届とうていとどくとはおもえねぇ。

「おマえ、イや、おまエさまにたノみがアるんだが、女神像めがミぞうは、コのしタにどウいうフうニ置かれテるのか、おシえちゃくレねぇ――ニャァ
 ギュギ、ガギュギギ!
 身をかがめ、くびからたまごを下げたおんなを見る。

「こ、こたえるはずもないでしょう? アナタはむらおそった変異種へんいしゅで、かの美の女神めがみ御使みつかいさまの、従者じゅうしゃさまに追われる身です。かくいうわたくしは、美の女神めがみまつるイオノフきょう神官しんかんです」

「美の女神めがみだぁ? そりゃぁ、なんか聞きおぼえがある――ニャァ
 あたまをよぎるのは、なんだったか――大飯おおめしぐらい?
 いやいや、美の・・女神めがみってくらいだから――けっしてしたぱらが、出てたりはするめぇよ?

 こぶしにぎり――ガキュゥゥン♪
 階段かいだんに向かって振りかぶる!

「――で、ですが、アナタは変異種へんいしゅにしては、こうしてはなし出来できますし――なにより、わたくしをひきころさずにたすけてくれました。女神像めがみぞう場所ばしょくらいはおしえて差しあげてもよろしいですわっ!」
 そう言って、スタタタと階段かいだんを降りていくおんな

 降りたさきよこを向き「このまままっすぐ行って、突き当たりをみちなりにすすめば女神像めがみぞう御座ございますわ」

 結構けっこう入り組んでやがるのか。
 分銅ぶんどうを振りまわして投げ込みゃぁ・・・・・・良いとおもってたが、ソウもいかなくなった。
 このおもたい分銅ぶんどうを、このおんなが持てるわけもねぇし。

 なやんでたら、分銅ぶんどう車輪くるまが付いてるのに気が付いた。
「こりゃ、ひょっとし――ニャァ
 分銅ぶんどう階段前かいだんまえに置き、魂徒労裏こんとろううらの真んなか丸いのを・・・・押し込んだ。

 すると、魂徒労裏こんとろううらに付いたちいさな黒板くろいたに、なにかがうつった。
 一瞬いっしゅん、おれのかおのまえにうつる〝画面がめん〟が、もともどったのかとおもったが――
 そうじゃねぇらしい。
 ヒントも地図ちずも、なにも出ねぇ。

「こりゃ、目のまえの階段かいだん――ニャッ
 ためしに、魂徒労裏こんとろううらちいさなぼうを押してみた。

 すると、キュウルルルラララッラッ♪
 騒々そうぞうしいおとを立て、分銅ぶんどう階段かいだんへ飛び込んだ。

 ドガッシャァァァァァン――――!!!
 あ、やべぇ!

「たっ、たまごが割れたらどうするんですのっ! それに、ひび割れたゆか修繕費しゅうぜんひに、一体いったいいくら掛かるとおおもいですか!!」
 飛びのいてことなきを得た神官しんかんさまが、おに形相ぎょうそうもどって来やがった。
 どうも、自分てめえいのちよりも、たまごむら財政ざいせいほう心配しんぱいらしい。

「しゃアねぇだろうが、おレぁこの図体ずうタいだかラな――ニャァ
 胡座あぐらをかき、魂徒労裏こんとろううら操作そうさする。

 あちこちぶつかりながらも、通路つうろ最奥おく
 ひとおおきさの女神像めがみぞうに、やっとのことで取り付いた(分銅ぶんどうが)。

 チチチチチキピ――――――――♪
 耳元みみもととりが出た。

 ヴユパパパパパパパパパパパァァァァ――――!
 お? なんでが画面がめんが出やがったぞ?

 いろんな文字もじが出て、地図ちずが出て――
姿勢制御しせいせいぎょフレームワーク、再起動さいきどう。ジャイロマスターオンライン復旧ふっきゅうしました。」
 金切かなぎごえが混じらねぇ、流暢りゅうちょうおんなこえ――わからん。

 ふぉふぉん♪
『ヒント>外部アンテナ復旧、女神像FWを収得しました』
 お? なにかがすすんだらしいことを、文字もじつたえてきた。

 ふぉふぉん♪
▲▲▲ピピピッ♪
『ヒント>動体検知、敵性67%』
 赤文字あかもじだ、早速来さっそくきやがったな!

「(ナーフさーん!)」
「やっパりだ、ニゲルのこエ――ニャァ
 くびかしげる神官おんな
 よし、ならまだ、距離きょりがあるぞ。

 おれは魂徒労裏こんとろううらを投げ捨て、大扉おおとびらこわさねぇようにくぐった。

 シュゴォォォォォォォォォォッ――――
 大筒おおづつをぶっぱなし、ひくく飛び上がった!
 よし、大筒おおづつなおってる。

変異種へんいしゅさーん、はなせばわかってくださいますよー?」
 ばか言うな! ニゲルにゃぁ毎度毎度まいどまいど問答無用もんどうむようで切られてんだぜ!
 あの神速しんそくからニゲルにゃ、姿すがたが見えるまえに、ずらかるしかねぇ!!

「うルせぇ、おレぁ逃げルぜ! あト、ソの卵落たマごおとすンじゃねーぞ、あとデ分けてもらいニ来るかラな――――ニャァ!!

 ゴォッヒュゥゥウゥン――――ズッザザザザザァァァァ――――バギバキバキィィィィィッ!!!!
 投げたやりみてえに山なりで、もりなかに飛び込んだ。
 これならたおれた木を見て、あとを付けられることもねぇだろ。
 ほんのすこしでも、時間稼じかんかせぎになりゃ良い。

 ふぉふぉん♪
『ヒント>女神像FWの入手に成功しました。
     スマート仕込み直刀(ホーミング機能付き)の、
     組み立てを開始しますか?』

 ズゴゴゴゴゴォォォォ――――ドッゴガァァン、ガギギギギィィィン!
 木々きぎを薙ぎはおしながら――せいぜい逃げる。

いソいでヤってくれや――――ニャン
 ニゲルのことだから、一瞬いっしゅんで追いかけて来やがるだろうからな!
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