滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

文字の大きさ
上 下
373 / 741
3:ダンジョンクローラーになろう

373:龍脈の回廊、女将と果実と鉄棍と見えない敵

しおりを挟む
「これが、シガミーだって!?」
 おく厨房ちゅうぼうから駆けつけたのは、木さじ食堂しょくどう女将おかみ
 応接室おうせつしつ中央ちゅうおう、ニゲルと対峙たいじする〝巨大きょだいプラモ〟をゆびさす手がふるえている。

「なぁんかねぇー、そーらしーのよねぇーん
 映像プラモを見あげる、女神御神体イオノファラー

「はい、間違まちがいありませんわ、くすくす
 あたま立木こだちが引っ込んで、すっかり身軽みがるもどった少女しょうじょカヤノヒメ。
 ふくみのあるわらいも復活ふっかつ

「けど、一体いったいどうするおつもりですの?」
 少女しょうじょかたをつかみ、真剣しんけん面持おももちの家主リカルル
「どうするの、とは
 くびかしげる星神の少女カヤノヒメ

「ひそひそ……アナタが借りている・・・・・、シガミーののことですわ」
 こえをひそめ、問いただす。

「そうだね、どーせみんなカヤノヒメには女神メガミさまに似たちからがあるって、気づいてるんだし――このさい、はっきりしてもらおうじゃぁないかい?」
 こしに手を当て、しずかにいきを吐く、コッヘル夫人ふじん
 面倒見めんどうみの良い彼女かのじょは、猪蟹屋ししがにや二号店にごうてんはたらくカヤノヒメのもとへ――
 足繁あししげかよっていた経緯けいいがある。

 つまりは、お行儀ぎょうぎわるいシガミーのことも、目のまえに居る品行方正ひんこうほうせいなカヤノヒメのことも――
 おなじくらいに、心配しんぱいしているのだ。

「そのことでしたら、どうとでもなりますわ。こうして〝神木しんぼく果実かじつ〟も余分よぶんに手にはいりましたし、うふふ
 少女しょうじょの手には、ふたつの――生毛うぶげが生えた奇怪な果実・・・・・

「あらそれぇー、あのときのももぉー? すっごくおいしそうねぇー
 などと大口おおぐちひらき、目をかがやかせる御神体メガミ
 それをよこからギュッとつかまえる、伯爵夫人ルリーロ

「イオノファラーさま、おたわむれお? ――こぉん♪」
 ぼぉぼぉぼぉぼぉぼぅわっ♪
 青白あおじろほのお発火はっかし、テーブルの周囲しゅういただよう。
 シガミーがかかえる問題もんだいを、解決かいけつする糸口いとぐちらしい果物くだものを――
 食べられては大変・・・・・・・・と、威嚇いかくしているのだ。

 普段ふだん女神イオノファラーと似たような口調くちょうで、ふざけ気味ぎみ彼女ルリーロが――
 ほど真剣しんけんかおをしていた。

   §

「シガミィーなのかぁーい!? ぼくだよぉー、ニゲルだよぉー!」
 なんかあたまから動物けものみみを生やしたヤツが、かたりかけてくる。
 死神シガミってのはなんだったか。
 いまいままでおぼえてたんだが、このよろい動かす度に・・・・・――どわすれしちまうぜ!

 それと「逃げる・・・」ってのわぁ、なんだ?
 じっと見てたら――キュキュィィー♪
 そのかお大写し・・・になった。

「なンでぇいなんでぇい、ソの時化シけつラ――ニャン
 なんとも覇気はきのねぇ野郎やろうだが――

 おまえさまも、化けねこなのか?
 おれもついさっきまで、化けねこ姿形なりをしてたんだが――

 そう考えた途端・・・・・に――
 目のまえにせんが引かれ、甲冑姿かっちゅうすがた武者むしゃえがかれた。
 この見方みかたは知ってる。
 おれが化けねこ時分ときには、ちゃんと化けねこが見えてた。

「するってぇー――ニャン
 どうもおれはいまよろい着込きこんで――いくさにでも出かけるところだったらしい。

 あたりを見わたせば――もりなか
 ここはどこだぜ?
 さっきまで居た部屋へやなかでも、洞窟どうくつなかでも、しろ地面じめんつづ場所ばしょでもなけりゃ、つきがあったくら場所ばしょでもねぇ。

 フォォォォォ――――――サワサワササッ。
 かぜが吹いて――木が揺れる。
 おもかたよろいつつまれたからだが――
 かってになびく。

 からだかぜまかせる立ちかたは――
 だれかにならった、気がするな。
 それは――

 おれの師匠ししょうみてぇなやつからおそわった――んじゃぁねぇな。
 どうにも、かんがえがまとまらねぇ。

 あたまをよぎるのは――草原そうげん
 さびたけんに――おに
 おに一本角いっぽんつのひかって――金剛力こんごうりき使つか光景こうけい

 おもい出さねぇといけねぇことがおもい出せなくて、どうでも良いことばかりがあたまなかながれていく。

 ゴゴゴォォン!
 吹くかぜに、身をまかせてたら。
 手にしたぼうが、ちかくの木にぶつかった。

 大木たいぼくよかふとさがある、白金はっきんぼう
 このはがねいろにも、見覚えがあるぞ・・・・・・・

 にぎったかんじわぁ、まるで――おれが使つかってた錫杖しゃくじょうだ。

 ピピピピピ、ピピピピピプゥ――――――――♪
 耳元みみもとで聞こえる、とり甲高かんだかい鳴きごえ

 ふぉん♪
『▼▼▼』
 正面しょうめんあかい、三角印さんかくがあらわれた。

 こいつぁ、なにかがこっちへ向かって来てるって合図あいずだ。
 どうしてだかわからねぇが、わかるもんは仕方しかたがねぇ。

 正面しょうめんには、すこしひらけた地面じめんしかない。
 なにも居ねぇが、なにか来てる。

 探すな・・・
 くびを振るひまで、気配けはいなぐれ!
 ブゥウゥゥゥッォォオォォンッ――――――――!

 ばきばきばきばきばきぃぃぃぃっ!
 手近てじか大木たいぼくを、なぎたおし――――ガッギュギィィンッ!!
 何かを・・・はじいた!

「ッチィィィィイィィイイイェェェェェェェェェイイイィィィイッ――――!!!」
 なにかがはっした〝はつ〟。
 おれはぼうかんじた衝撃てざわりたよりに――鉄棍ぼうを投げ捨てた!
 ザッギィィィィィィィィイィン――――――ギャキギャキギャキキュキャッ!

 良質りょうしつ鉄製てつせい
 とんでもねぇふとさの、かてはしらを――

「あっぶねー――ニャァ!?
 幹竹割からたけわりにしたのは――
 さっきまで間合まあいの、そとに居たはずの――

「ニゲェルゥー、てめぇ! すこしは手加減てかげんしろってぇんだ――ニャン
 またくちをついて出た、言葉ことば
 そうだ、こいつぁ――たしかニゲルだ。

 あたりをもう一度探いちどさがすが、その姿すがたはどこにもない。
 おれのなかべつのおれが、見えねぇ敵ニゲル危険視きけんししてやがる。

 おれはこしを落とし――ガッキュゥゥンッ!
 親指おやゆび大刀たちを――ガチリと開けた・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話

六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。 兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。 リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。 三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、 「なんだ。帰ってきたんだ」 と、嫌悪な様子で接するのだった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

処理中です...