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3:ダンジョンクローラーになろう
367:龍脈の回廊、マンドラゴーラ粉砕
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「どうぞ、ご心配なく。一時的な高負荷演算による物ですので、くすくふぅ」
メキメキョと角枝を伸ばしていく、自称星神。
その微笑みには、普段の輝きも含みも感じられない。
「どうしたんだい!? おかゆでも食べるかい?」
木さじ片手に不安げな表情を見せる、エプロン姿の女将。
「お花には、お水が必要だよね」
サイドテーブルに水挿しを、取りに行く子供。
「迅雷、女神像ネットワークの保全とぉー、カヤノヒメちゃんっていうかぁシガミーの体のぉRNA修飾サイクルリストおぉー厳密化ぁ――!」
小さなテーブルの上を、跳ね回る御神体。
「――機能別データセットへのぉ重複おぉー禁止ぃしてねぇーん、おろおろおろっ!」
空中をグルグルと旋回する、プロジェクションBOT。
「了解しまシた。カヤノヒメ、演算対象へノフィードバックを禁止シた上デ、演算の一部ヲ肩代わりしマしょうか?」
謎の呪文のような神々の言葉。独古杵と戯れる、御神体と女神映像。
「いいえ、ソレには及びません――ですが、あの暖炉の上の調度品への物理的介入を厳禁してください。くすくふぅ」
メキョメキョ――枝葉が、枝垂れ落ちる。
「バトラー、今すぐ神官と僧侶の手配を。私は邸宅内の蘇生薬を、かき集めてきますわぁ――!」
「お嬢さま、蘇生薬はコチラに用意してあります!」
心配し、右往左往する面々。
「「「「「「「「オヴォボヴォヴォゴゴボボボゲゲゲゲボヴォヴォヴォガビャビャビャ――――!!!」」」」」」」」
室内へ間断的に響きわたる、怪しい叫び声。
「まったくもう、バカニゲル! こんな時に、なんて騒音を聞かせるんですのっ!」
謎の『シガミー構造体復号プログラム』が稼働中。
強制的にスピーカーホンになってしまうため、通話先のレイド村の惨状がだだ漏れになっている。
カツカツカツッ――響きわたる靴音。
家主の手が、テーブルの上の怪音源にのびる。
「リカルルさん、駄目です。説明は難しいのですが、シガミーさんとの縁が切れてしまったら、私でも再接続できかねます――はぁはぁ――メキメキョ、ぱぁぁぁぁ♪」
接続したケーブルを引き、スマホをたぐり寄せる。
体を動かせば、ますます花に埋もれる――シガミーの体。
水挿しを手に立ちすくむ子供。
「もう! シガミーはどこに居るの!」
一斉に見つめるのは――暖炉の上の剣士の置物。
§
ソレは直上からの急降下。
落下の衝撃でマンドラゴーラを粉砕、即座に格納。
ぽっきゅぽぽぉぉぉぉぉぉぉぉんっ――――――――♪
ふたたび上空へ。
「なるほど、アイツらは真上が死角になるから――!」
などという青年の解説を、聞いていたのか――
バタバタバタバタドサドッサ!
大根たちが、一斉に仰向けに倒れた!
「「「「「「「「オヴォボヴォヴォゴゴボボボゲゲゲゲボヴォヴォヴォガビャビャビャ――――!!!」」」」」」」」
森へ響きわたる、怪しい叫び。
直撃を喰らった鳥が、ぼたぼたと落ちる。
それは、「「「「「「「「オヴォォ――!?」」」」」」」」
間接的ではあるが、村人たちへ作用しだした。
「ぐっ、ジワジワと体に響くなコレ――ウヴォッ!」
青年は口を押さえつつ、手近な大根から――
スパスパと切り刻んでいく。
「ふにゃみゃごぉー、ごぉにゃぁぁー!」
ゴムボールのように攻撃と離脱を繰りかえしていた、自律型シシガニャン一号おにぎりが――
直接的に、マンドラゴーラの会話攻撃に晒される。
――――――――ォォォォオォォォォヴォォォォォォッ!
「けどオマエなら、そんな音くらい弾きかえせるだろ?」
スパスパスパスパスッパスパ――ザギィィィンッ!
「みゃがっ――――!?」
ぼっきゅりゅぶ――――ぼぎゅ!
地に落ちる、御使いさま。
彼もしくは彼女の体内には、空気が詰まっている。
音波を遮断するはずの〝極所作業用汎用強化服〟、シシガニャンの体は――
超音波を増幅するには最適な、まさに苗床だった。
ぼっぎゅりゅりゅりゅりゅりゅっ――――――――――――――――ッパァァァァァァァァンッ!
膨れ上がった黄緑色の短毛。
それはジタバタと藻掻いていたが、抵抗むなしく破裂した!
「えっ!? わぁぁぁぁぁっ!? おっ、おにぎりー!!!!!!」
爆発霧散した黄緑色の服を、かき集める青年!
「「「「「「「「「「みっ、御使いさまがぁー!」」」」」」」」」」
戦慄の村人一同。
マンドラゴーラたちは、ほぼ壊滅。
砕かれなかった数体も、散り散りに森へ帰っていく。
そのとき――――ボゴォォン!
天高く跳びあがったのは、一個の切り株。
その位置は、青年たちがレイド村住人と邂逅したあたり。
「ギギギギギギギギギギギギィィィイッィィィィィイッ、ギャァァァァァァァォォォウゥウゥ――――――――!!!!」
その叫びは、マンドラゴーラのものではない。
度重なる振動により、揺り起こされたのは――!?
「カンカンカンカンカンカンカンカンッ!」
鳴らされる早鐘。
「――ニゲル! おにぎりの収納魔法具箱を回収してっ! それと、その辺におっきな卵がもし落ちてたら、それも拾っておいてねぇぇん!」
女神に言われるままに、四角い魔法具箱についたショルダーハーネスを両肩に掛けた。
神官ナーフが「従者さまぁ! 卵を見つけましたぁー!」
「それっ――食べないでねー! おにぎり、御使いさまの卵だからぁー!」
ごぼぼばごばっばっばごっ――――――――!
おおきな水音が、空から近づいてくる。
ばしゃばしゃざざざぁぁ――――!
それは木々の合間から、姿を現した。
ザラついた鱗に、屹立する背びれ。
巨大すぎる瞳から迸るのは――殺意。
鋭利な大口から迸るのは――炎。
それは空を飛び、口から火を吐く。
ネズミザメ目ネズミザメ科ホホジロザメ属の――
「ほ、ホオジロザメだぁ――――!!!」
叫ぶ青年の顔が、恐怖にゆがむ。
伝承のとおり、変異種の九体目は――
魚だった。
メキメキョと角枝を伸ばしていく、自称星神。
その微笑みには、普段の輝きも含みも感じられない。
「どうしたんだい!? おかゆでも食べるかい?」
木さじ片手に不安げな表情を見せる、エプロン姿の女将。
「お花には、お水が必要だよね」
サイドテーブルに水挿しを、取りに行く子供。
「迅雷、女神像ネットワークの保全とぉー、カヤノヒメちゃんっていうかぁシガミーの体のぉRNA修飾サイクルリストおぉー厳密化ぁ――!」
小さなテーブルの上を、跳ね回る御神体。
「――機能別データセットへのぉ重複おぉー禁止ぃしてねぇーん、おろおろおろっ!」
空中をグルグルと旋回する、プロジェクションBOT。
「了解しまシた。カヤノヒメ、演算対象へノフィードバックを禁止シた上デ、演算の一部ヲ肩代わりしマしょうか?」
謎の呪文のような神々の言葉。独古杵と戯れる、御神体と女神映像。
「いいえ、ソレには及びません――ですが、あの暖炉の上の調度品への物理的介入を厳禁してください。くすくふぅ」
メキョメキョ――枝葉が、枝垂れ落ちる。
「バトラー、今すぐ神官と僧侶の手配を。私は邸宅内の蘇生薬を、かき集めてきますわぁ――!」
「お嬢さま、蘇生薬はコチラに用意してあります!」
心配し、右往左往する面々。
「「「「「「「「オヴォボヴォヴォゴゴボボボゲゲゲゲボヴォヴォヴォガビャビャビャ――――!!!」」」」」」」」
室内へ間断的に響きわたる、怪しい叫び声。
「まったくもう、バカニゲル! こんな時に、なんて騒音を聞かせるんですのっ!」
謎の『シガミー構造体復号プログラム』が稼働中。
強制的にスピーカーホンになってしまうため、通話先のレイド村の惨状がだだ漏れになっている。
カツカツカツッ――響きわたる靴音。
家主の手が、テーブルの上の怪音源にのびる。
「リカルルさん、駄目です。説明は難しいのですが、シガミーさんとの縁が切れてしまったら、私でも再接続できかねます――はぁはぁ――メキメキョ、ぱぁぁぁぁ♪」
接続したケーブルを引き、スマホをたぐり寄せる。
体を動かせば、ますます花に埋もれる――シガミーの体。
水挿しを手に立ちすくむ子供。
「もう! シガミーはどこに居るの!」
一斉に見つめるのは――暖炉の上の剣士の置物。
§
ソレは直上からの急降下。
落下の衝撃でマンドラゴーラを粉砕、即座に格納。
ぽっきゅぽぽぉぉぉぉぉぉぉぉんっ――――――――♪
ふたたび上空へ。
「なるほど、アイツらは真上が死角になるから――!」
などという青年の解説を、聞いていたのか――
バタバタバタバタドサドッサ!
大根たちが、一斉に仰向けに倒れた!
「「「「「「「「オヴォボヴォヴォゴゴボボボゲゲゲゲボヴォヴォヴォガビャビャビャ――――!!!」」」」」」」」
森へ響きわたる、怪しい叫び。
直撃を喰らった鳥が、ぼたぼたと落ちる。
それは、「「「「「「「「オヴォォ――!?」」」」」」」」
間接的ではあるが、村人たちへ作用しだした。
「ぐっ、ジワジワと体に響くなコレ――ウヴォッ!」
青年は口を押さえつつ、手近な大根から――
スパスパと切り刻んでいく。
「ふにゃみゃごぉー、ごぉにゃぁぁー!」
ゴムボールのように攻撃と離脱を繰りかえしていた、自律型シシガニャン一号おにぎりが――
直接的に、マンドラゴーラの会話攻撃に晒される。
――――――――ォォォォオォォォォヴォォォォォォッ!
「けどオマエなら、そんな音くらい弾きかえせるだろ?」
スパスパスパスパスッパスパ――ザギィィィンッ!
「みゃがっ――――!?」
ぼっきゅりゅぶ――――ぼぎゅ!
地に落ちる、御使いさま。
彼もしくは彼女の体内には、空気が詰まっている。
音波を遮断するはずの〝極所作業用汎用強化服〟、シシガニャンの体は――
超音波を増幅するには最適な、まさに苗床だった。
ぼっぎゅりゅりゅりゅりゅりゅっ――――――――――――――――ッパァァァァァァァァンッ!
膨れ上がった黄緑色の短毛。
それはジタバタと藻掻いていたが、抵抗むなしく破裂した!
「えっ!? わぁぁぁぁぁっ!? おっ、おにぎりー!!!!!!」
爆発霧散した黄緑色の服を、かき集める青年!
「「「「「「「「「「みっ、御使いさまがぁー!」」」」」」」」」」
戦慄の村人一同。
マンドラゴーラたちは、ほぼ壊滅。
砕かれなかった数体も、散り散りに森へ帰っていく。
そのとき――――ボゴォォン!
天高く跳びあがったのは、一個の切り株。
その位置は、青年たちがレイド村住人と邂逅したあたり。
「ギギギギギギギギギギギギィィィイッィィィィィイッ、ギャァァァァァァァォォォウゥウゥ――――――――!!!!」
その叫びは、マンドラゴーラのものではない。
度重なる振動により、揺り起こされたのは――!?
「カンカンカンカンカンカンカンカンッ!」
鳴らされる早鐘。
「――ニゲル! おにぎりの収納魔法具箱を回収してっ! それと、その辺におっきな卵がもし落ちてたら、それも拾っておいてねぇぇん!」
女神に言われるままに、四角い魔法具箱についたショルダーハーネスを両肩に掛けた。
神官ナーフが「従者さまぁ! 卵を見つけましたぁー!」
「それっ――食べないでねー! おにぎり、御使いさまの卵だからぁー!」
ごぼぼばごばっばっばごっ――――――――!
おおきな水音が、空から近づいてくる。
ばしゃばしゃざざざぁぁ――――!
それは木々の合間から、姿を現した。
ザラついた鱗に、屹立する背びれ。
巨大すぎる瞳から迸るのは――殺意。
鋭利な大口から迸るのは――炎。
それは空を飛び、口から火を吐く。
ネズミザメ目ネズミザメ科ホホジロザメ属の――
「ほ、ホオジロザメだぁ――――!!!」
叫ぶ青年の顔が、恐怖にゆがむ。
伝承のとおり、変異種の九体目は――
魚だった。
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