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3:ダンジョンクローラーになろう
365:龍脈の回廊、イオノファラー紛失
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「一体、何をしていますの!? シガミー探索のためには極力、どなたもおにぎりには近寄らないようにしなければ、ならなかったのではなくって?」
荒ぶるガムラン代表にして、名物受付嬢。
「でもこの際、それはもう良いですわニゲル。驚かないで、お聞きなさい――――こほん、シガミーが見つかりましたわ……たぶんですけれど」
抜けない聖剣を、家宝の宝剣で叩き折り――
赴いた魔王討伐戦では、発見した未知のマジック・スクロールを即使用し――
その場で魔王(生物)を両断せしめた――
曰く付きの、ご令嬢が。
「――――んなっ、邪魔ぁ!? 邪魔って何ですの、ニゲルッ!」
青板を凝視し、激高する。
「話が見えないわねぇーん。結局どういうお話しぃー? カヤノヒメちゃぁん♪」
業を煮やした美の女神が、天女の羽衣(アバター衣装)を揺らめかせ――
年端もいかない子供へ問う。
「お気づきの点が御座いましたら順を追って、ご説明いたしますけれど――いましばらく、お待ちくださいませ♪」
丁寧な返答。この人間が出来ている子供は〝カヤノヒメ〟。
シガミーの体に、惑星ヒースの神的存在が、インクルードされた状態。
その惑星の地中を巡る龍脈を、演算素子のように使い――
あの世とも、この世ともつかぬ場に在るシガミーの精神を、取りもどそうと提案し実行中。
「――リカルルさま。ソチラの板を繋いだままで、少々お貸り出来ますでしょうか?」
小さな手のひらが、ガムラン最凶へ差し出される。
「よくってよ、どうぞ」
半ば放り投げるように、ソレは金髪少女の手の中に収まった。
ソレは通信機器の扱いとしては、適切ではなかったが――
〝ニゲル青年としか繋がらない〟、性能に対する扱いとしては、適切なのだろう。
「では――キューッ、かちかちかちん♪」
カヤノヒメの、こめかみから生えた木の枝のような角。
その三つ編みにされた木の枝から、引っ張り出されたのは――
一本のケーブル。
それは量子光対応の〝TypeDケーブル〟。
ソレを青いスマホ(ニゲル青年のと同型。イオノファラーの時代より相当旧世代のアーキテクチャ)に繋ぐ――ヴユッパァァン♪
ピクリと跳ねる、リカルルの編みあげた髪束。
ふぉん♪
『シガミー構造体複合プログラムが起動しました
龍脈言語<Enabled>
言質となるイオノファラー構造体を接続してください』
「あたくしさま構造体ぃー?」
「いつもながら、神々の仕組みには、ついて行けませんわ」
表示されたアプリ画面に食いつく、リカルルとイオノファラー。
「女神像通信網へノ接続が促されていマすので、御神体のこトと思われマす」
子供と派手と揺らめく天女の間。
頭上から、まっすぐ降りてきた棒が、ヴッと震えた。
「あれ? そういや、あたくしさまのもう一個。仮想環境とかって言うヤツ……どこやったっけ?」
小さなテーブルを取りだし、スマホを真ん中に置く。
ケーブル接続された子供を正面に座らせ、車座になった。
神々たちが各種のアーティファクトを並べだし、口から飛びでるのは、聞いたことのない世界の言葉。
「コレが始まってしまうと、私では太刀打ちできませんわねー」
一人脱落しやれやれと、離れた場所へ座るリカルル。
「――ちょっと、おにぎり! じゃまだよ。リカルルさまと、話が出来なーいーだーろーうー!」
謎のアプリ作動中は、勝手にスピーカーフォンになるらしい。
青年の必死な声が、室内に木霊し――レイド村の状況を伝えてくる。
「ええと……ぼそり……混沌としてきましたわね――「カヤノヒメ名義でイオノファラーさま方をCTRL+S」!」
少女が――ぱちんっ♪
指を鳴らすと――
「キュピピピッ――!?」
柱横のサイドテーブルの上――がちゃ、ごろん!
置かれた水挿しの影から、転がり出る御神体。
「そ、そんな所に居たのねぇー? アバター表示に集中しすぎぃてぇー、危うくー無くすー所だったわぁー、危ない危なぁい♪」
よちよちと立ちあがる、小さな御神体さまへ――
揺らめく映像(浮かぶ球)が駆けよる。
複数操作することは、神々にとって日常だ。
「イオノファラー、ゴ自身のオ体ヲ無くすトとか。ゴ自重……ご自愛なさってくだサい」
ヴォヴォォォン――カチャカチャカチャ♪
細い機械の腕で御神体をつかみ上げる、INTタレット迅雷。
「ごめんごめぇん♪ コッチの生活も、長いからさぁ――失敗、失っ敗ぃ♪」
迅雷に持ちあげられた、全長十数センチが頭を掻いた。
神々の世界の日常も、日々塗り替えられていくのだろう。
「い、イオノファラーさま? もう一体の、バーチャルな御神体さまは、どちらへ置き忘れ……行かれましたか?」
動揺の星神。メキメキョと三つ編みが成長し、小さな蕾をつけた。
いまイオノファラーには、三体のデバイスが存在している。
人の姿を映し出せる、プロジェクションBOT。
そして女神御神体(視認可)と、仮想化女神御神体(視認不可)。
イオノファラーの影のように、存在していた御神体。
それが、居なくなったことが判明した。
「困ったことになりました。最終的に、この体の中へシガミーさんを受容する手はずだったわけで――その鍵がありません!」
カヤノヒメ(シガミーの体に、星神の心)が取り乱していた。
その様子に、ただならぬものを感じたのか――ぱぱぱん♪
「執事並びに侍女隊へ伝令! 見えないイオノファラーさまを、ただちに探し出して! それと、レーニアを今すぐ呼び戻して!」
有事の体制へ移行する、コントゥル家邸宅。
「ぽぎゅぽぎゅむ、ふにゃみゃごぉー! ぐわぁぁぁぁっ――――!?」
スマホからも、ただならぬ音声が。
「こ、これ以上の混沌はシガミーさんの精神構造に――多大な影響おろおろろろろ――!?」
惑星ヒース神カヤノヒメが顔を押さえ、その顔を青ざめさせていく。
メキメキョメキメキョ――――三つ編みが解け、ぱぱぁぱぁぁぁぁぁっ♪
大量の花が咲いた。
荒ぶるガムラン代表にして、名物受付嬢。
「でもこの際、それはもう良いですわニゲル。驚かないで、お聞きなさい――――こほん、シガミーが見つかりましたわ……たぶんですけれど」
抜けない聖剣を、家宝の宝剣で叩き折り――
赴いた魔王討伐戦では、発見した未知のマジック・スクロールを即使用し――
その場で魔王(生物)を両断せしめた――
曰く付きの、ご令嬢が。
「――――んなっ、邪魔ぁ!? 邪魔って何ですの、ニゲルッ!」
青板を凝視し、激高する。
「話が見えないわねぇーん。結局どういうお話しぃー? カヤノヒメちゃぁん♪」
業を煮やした美の女神が、天女の羽衣(アバター衣装)を揺らめかせ――
年端もいかない子供へ問う。
「お気づきの点が御座いましたら順を追って、ご説明いたしますけれど――いましばらく、お待ちくださいませ♪」
丁寧な返答。この人間が出来ている子供は〝カヤノヒメ〟。
シガミーの体に、惑星ヒースの神的存在が、インクルードされた状態。
その惑星の地中を巡る龍脈を、演算素子のように使い――
あの世とも、この世ともつかぬ場に在るシガミーの精神を、取りもどそうと提案し実行中。
「――リカルルさま。ソチラの板を繋いだままで、少々お貸り出来ますでしょうか?」
小さな手のひらが、ガムラン最凶へ差し出される。
「よくってよ、どうぞ」
半ば放り投げるように、ソレは金髪少女の手の中に収まった。
ソレは通信機器の扱いとしては、適切ではなかったが――
〝ニゲル青年としか繋がらない〟、性能に対する扱いとしては、適切なのだろう。
「では――キューッ、かちかちかちん♪」
カヤノヒメの、こめかみから生えた木の枝のような角。
その三つ編みにされた木の枝から、引っ張り出されたのは――
一本のケーブル。
それは量子光対応の〝TypeDケーブル〟。
ソレを青いスマホ(ニゲル青年のと同型。イオノファラーの時代より相当旧世代のアーキテクチャ)に繋ぐ――ヴユッパァァン♪
ピクリと跳ねる、リカルルの編みあげた髪束。
ふぉん♪
『シガミー構造体複合プログラムが起動しました
龍脈言語<Enabled>
言質となるイオノファラー構造体を接続してください』
「あたくしさま構造体ぃー?」
「いつもながら、神々の仕組みには、ついて行けませんわ」
表示されたアプリ画面に食いつく、リカルルとイオノファラー。
「女神像通信網へノ接続が促されていマすので、御神体のこトと思われマす」
子供と派手と揺らめく天女の間。
頭上から、まっすぐ降りてきた棒が、ヴッと震えた。
「あれ? そういや、あたくしさまのもう一個。仮想環境とかって言うヤツ……どこやったっけ?」
小さなテーブルを取りだし、スマホを真ん中に置く。
ケーブル接続された子供を正面に座らせ、車座になった。
神々たちが各種のアーティファクトを並べだし、口から飛びでるのは、聞いたことのない世界の言葉。
「コレが始まってしまうと、私では太刀打ちできませんわねー」
一人脱落しやれやれと、離れた場所へ座るリカルル。
「――ちょっと、おにぎり! じゃまだよ。リカルルさまと、話が出来なーいーだーろーうー!」
謎のアプリ作動中は、勝手にスピーカーフォンになるらしい。
青年の必死な声が、室内に木霊し――レイド村の状況を伝えてくる。
「ええと……ぼそり……混沌としてきましたわね――「カヤノヒメ名義でイオノファラーさま方をCTRL+S」!」
少女が――ぱちんっ♪
指を鳴らすと――
「キュピピピッ――!?」
柱横のサイドテーブルの上――がちゃ、ごろん!
置かれた水挿しの影から、転がり出る御神体。
「そ、そんな所に居たのねぇー? アバター表示に集中しすぎぃてぇー、危うくー無くすー所だったわぁー、危ない危なぁい♪」
よちよちと立ちあがる、小さな御神体さまへ――
揺らめく映像(浮かぶ球)が駆けよる。
複数操作することは、神々にとって日常だ。
「イオノファラー、ゴ自身のオ体ヲ無くすトとか。ゴ自重……ご自愛なさってくだサい」
ヴォヴォォォン――カチャカチャカチャ♪
細い機械の腕で御神体をつかみ上げる、INTタレット迅雷。
「ごめんごめぇん♪ コッチの生活も、長いからさぁ――失敗、失っ敗ぃ♪」
迅雷に持ちあげられた、全長十数センチが頭を掻いた。
神々の世界の日常も、日々塗り替えられていくのだろう。
「い、イオノファラーさま? もう一体の、バーチャルな御神体さまは、どちらへ置き忘れ……行かれましたか?」
動揺の星神。メキメキョと三つ編みが成長し、小さな蕾をつけた。
いまイオノファラーには、三体のデバイスが存在している。
人の姿を映し出せる、プロジェクションBOT。
そして女神御神体(視認可)と、仮想化女神御神体(視認不可)。
イオノファラーの影のように、存在していた御神体。
それが、居なくなったことが判明した。
「困ったことになりました。最終的に、この体の中へシガミーさんを受容する手はずだったわけで――その鍵がありません!」
カヤノヒメ(シガミーの体に、星神の心)が取り乱していた。
その様子に、ただならぬものを感じたのか――ぱぱぱん♪
「執事並びに侍女隊へ伝令! 見えないイオノファラーさまを、ただちに探し出して! それと、レーニアを今すぐ呼び戻して!」
有事の体制へ移行する、コントゥル家邸宅。
「ぽぎゅぽぎゅむ、ふにゃみゃごぉー! ぐわぁぁぁぁっ――――!?」
スマホからも、ただならぬ音声が。
「こ、これ以上の混沌はシガミーさんの精神構造に――多大な影響おろおろろろろ――!?」
惑星ヒース神カヤノヒメが顔を押さえ、その顔を青ざめさせていく。
メキメキョメキメキョ――――三つ編みが解け、ぱぱぁぱぁぁぁぁぁっ♪
大量の花が咲いた。
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