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3:ダンジョンクローラーになろう

362:龍脈の回廊、女神像と女神像

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「にゃみゃごにゃみゃ――ニャ?」
 ここは、どこでぇい?

「ふにゃみゃごにゃ――ニャ?」
 見覚おぼえがあるような、ねぇような?

 あたりはえらく、ゆがんでいたが――
 ここは、間違まちがいなくうつつだ。
 気持きもち、あたまおくがハッキリしてきた気が……しないでもない。

 がやがやがや、ざわざわざわ。
 なんかいろんな色形いろかたちの――ふくか?
 そんなもんがズラリとならんでいる。
 どうやら、ここは呉服屋ごふくやらしい。

「――――いぃーえっ、レイダちゃんにわぁー、ぜぇーったい、コッチのぉピンクいろのドレスがぁにぃーあぁーいぃーまぁーすぅーわぁー!」
 小柄こがらおんなが、ふく一着いっちゃく子供こどもに押し当てている。

「――――たしかに、ピンクいろでレイダちゃんには、良く似合にあうとおもいますらぁん! けれどここは、あえてコチラのあわいブルーも捨てぇーがぁたぁーいぃーのぉーでぇーすぅーらぁん?」
 給仕服きゅうじふくを着て眼鏡めがねを掛けたおんなが、べつふく子供こどもに押し当てている。

「あのぅ、わたしには立派りっぱななドレスが、ひとつ有るから――」
 そうだなぁ、おれと揃いのやつ・・・・・があったよなぁ……。

「…………まてまて、おれはコイツを知って――ニャァ?」
 僧兵そうへいのおれがぁ? こんな生意気なまいきそうな子供がきを?
 いやまて、そりゃぁむかしはなしか?
 いまのおれは、こうして立派りっぱな化けねこに――

 自分じぶん姿すがたを見たいけど――くびうごかねぇ!?
ふにゃみゃごにゃぁどうなってやがる!?

 ふと子供がきが、コッチを振りかえった。
「なんでもいいやな――おれぁココだぜ! ココに居――ニャッ!」
 こえを張ってみたが、おれのこえは聞こえねぇらしい。

「どうしたの、レイダちゃん?」
 子供こども一番歳いちばんとしちかそうな、給仕服きゅうじふくを着たおんな
 そいつが子供こどもはなしかけた。
 っていうか、みんな給仕服きゅうじふくを着てやがるな。

「えっとね、いまシガミーのこえがしたような?」
 くびひね子供こども視線しせんはコッチを見ちゃいるが――

「おぉーい、おまえさんには、聞こえてるの――ニャ?」
 おおおぉーい、おれぁココに居るぞぉー!
 シガミーてぇのわぁ、なんだかわからねぇがぁなぁー!

「きっと、レイダちゃんのことを、とおくから見守みまもってくれているんですよ♪」
 言いあらそおんなたちから子供こどもを引っぺがしたわかおんなが、見当違けんとうちがいの方向ほうこうゆびさした。
「うん、そうだよね!」
 ああーぁ、子供がきかおが、まるで見当違けんとうちがいの方向ほうを向いちまったじゃねぇーか!

「ピンクいろーぉ!」
 やかましい、いまそれどころじゃねぇー!
あわいブルーらん!」
 だから、やかましい!

「レイダにゃあわいブルーが似合にあうに、決まってるだろうが・・・・・・・・・――ニャ!」

 んぁ、なんか。くちをついて出たぞ。
 そうだ、あの生意気なまいき子供がきは〝レイダ〟だ!

「お客様きゃくさまぁー、お決まりにならないのでしたらぁ、当店自慢とうてんじまん判定機はんていきをお使つかいになってはいかがでしょーうか?」
 みせおくから手もみでやってきた、みょうこしひくい女。
 しゃらあしゃら・・・・・・・が行き過ぎて、くねくね・・・・してやがる。
 こいつぁ――呉服屋ごふくや番頭ばんとうだな。

「「「「判定機はんていき?」」」」
「はいー、コチラのイオノファラーさまのぞうには、コーディネートでおなやみの淑女しゅくじょをおたすけする機能きのう搭載とうさいされていまーす♪」
 おれをゆびさす、こしひく番頭女ばんとうおんな
 おれは、五百乃大角いおのはら大耳ぞうなんかじゃねぇぞ!

「おぉーい! レイダとかいうやつ! おれだ、おれはココに居――ニャッ!」
 ちからかぎりにさけんでみたが――やっぱり聞こえちゃいない。
 コッチを見てても、おれを見てるわけじゃねぇ。

「ソチラに立って――はーいそう、そしてコッチのまるいのを押してくださいまーせ♪」
 おれの目のまえで、なんかはじまった。
「コレを押せば良いの? 押す、超押ちょうおしたい! 力一杯押ちからいっぱいおしたい!」
 あー、おまえさんはそういうのを、スグやりたがるよ――ニャァ。

 ふぉふぉん♪
『御神託デバイス#007944906ーβ>彼女に、お似合いの服を選んでください』
 なんか化け猫おれのまえに、文字もじがでたぞ?

 ふぉん♪
『A――ピンク色のドレス』
 ふぉん♪
『B――淡いブルーのドレス』

 一切合切訳いっさいがっさいわけがわからねぇし、皆目見当かいもくけんとうが付かねぇが――
 コレだけは・・・・・ハッキリしてるだろうが!

 おれは『B』の文字もじをペチリとたたく。
 そのとき子供がきが、またおれをみた。

「そんな不安ふあんそうなつらを、するなってん――ニャ!」
 得心とくしんした。おれが、もうすぐそっちかえることになる予感よかんがある。
 こえは聞こえちゃいねぇみてぇだが――

「もうすぐ、ソッチにもどるから、それまでみんなのことをたの――ニャァァ♪」
 おれのさけびは――ひかりとなり。
 子供レイダみぎかかげられた、あわ青色あおいろふくに降りそそいだ。

   §

「にゃみゃごにゃみゃ――ニャ?」
 ここは、どこでぇい?

「ふにゃみゃごにゃ――ニャ?」
 見覚みおぼええがあるような、ねぇような?

 あたりはえらく、ゆがんでいたが――
 ここは、間違まちがいなくうつつだ。
 気持きもち、あたまおくがハッキリしてきた気が……しないでもない。

 がやがやがや、ざわざわざわ。
 なんかいろんなやつらが、右往左往うおうさおうしてやがるぜ。
 随分ずいぶん立派りっぱ部屋へやだが――だれいえだぁ、ここわぁ?

「イオノファラーさま、お支度したく出来できまして――――!?」
 随分ずいぶん派手はで格好かっこうおんなが、部屋へやに飛びこんでくる。

「はぁぁい、こんなので本当ほんとうに良いのぉー? かわいいけどさぁ――
 ヴォォォォンッ――――!

 べつとびらを開けてはいってきたヤツは――
 なにみょうだった。

 ヴュザジジ――!
 その姿すがた時折透ときおりすけて、ぶるぶると波打なみうつのだ。
 狐狸妖怪こりようかいかっ――!?

 けどまて、おれぁコイツにも見覚えがあるぞ・・・・・・・
 ひらひらした天女てんにょ羽衣はごろものようなふくにも、手にした白金はっきんつえにも見覚みおぼえはない。
 ないが、あの見えかくれする下っ腹したっぱらだけは――わすれようがねぇ。

「イオノファラー、暖炉だンろウえ調度品ちょウどひんにバックドアヲ検出けんシゅつしまシた
 白金はっきんぼうが、切りむすんだかたなおとみてぇな――ガチャガチャしたこえを出した。
 あれ、このぼうこえには、聞き覚えがあるぞ・・・・・・・・

 そういや、なんか――さっきつかんだ、伸びちじみする仏像じくに似てやがるな。
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