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3:ダンジョンクローラーになろう

317:惑星ヒース神(シガミー)、狐と狸

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「まばたきするたびに、姿すがたが変わりますわっ!?」
 身をまもるようにあとずさり、目をこらして近寄ちかよ令嬢れいじょう

「あらぁ懐かしいぃ。江戸えどの夜おぉ-闊歩かっぽした、下級かきゅう妖怪変化ようかいへんげにー。こぉんなのがぁ居ましたわねぇー、ケェッタケェタケェタケタタケタケタケタタタタタッァッ!!!」
 ぶわっさわっさと、ふと尻尾しっぽを振りまわす夫人ふじん

「で、コイツさぁ、なんなのぅ迅雷ジンライくん
 いた小腹こばらたされたのか、食器さらかさねていく女神めがみ
蘇生そせイシたシガミーの現状げんジょうかカわりがアることしか、マだわかっていませ
 浮かぶぼうがカチャカチャすぽすぽんと、テーブルのうえ片付かたづけていく。

「じゃぁコイツが居たから・・・・ぁ、ルリーロちゃん家宝かほうがぁ、使つかえなぁかったってぇこーとーぉー
「そノ可能性かのウせいが、たカいデ

「ウチの家宝かほう先回さきまわり――つまりわぁーぁー、家宝まほう使つかえなくしている…………こぉん?」
 ちいさな部屋へや天井てんじょうに埋め込まれたあかりの魔法具まほうぐ
 ゆかに落ちる、夫人ふじん影中かげなかで――
 まるでひとみのように、みひらかれ双眸そうぼう

二例にレいのウちの一例いチれいシか判断材料はんだんザいりょうがありマせんが、ソう言う解釈かいシゃくもなりタちま
 テーブルよこ花畑はなばたけが、波打なみうつ。

「じゃぁさぁー、ひょっとしたらなぁんだけぇどぉさぁー。このぉめまぐるしいの・・・・・・・がぁ、あの良い子ちゃん・・・・・・のシガミーの中身・・・・・・・・ってことぉ
「そノ可能性かのウせいヒくいでスが、ゼロではありマせ

「なんだか、ややこしいですのね?」
 はげしく揺らめきだした夫人ふじんかげから、距離きょりを取る令嬢れいじょう

「リカルルちゃん、イオノファラーさま、これわぁ由々ゆゆしき大問題だいもんだいですぅわぁぁん」
「そうわのぉー

まんいちにもぉ、化け狸にでも・・・・・・化かされた・・・・・とあってわぁー――――伏見本社ふしみほんしゃ顔向かおむけけがぁぁ出来できませんわぁぁなぁぁぁぁっ――――コココココォォォォォンッ!!!」
 ゆかを埋めつくす、妖狐ふじんかげ

「ひぃぃっ――――!?」
 椅子いすへ飛び乗る、妖狐の娘れいじょう

「化けだぬきぃー? ……きつねたぬきってぇやっぱりぃー、なかがぁわるいのぉん
 女神めがみうつし身が――ゆかうごめ双眸そうぼうを避けるように、浮かびあがった。

   §

「ケッタケタケタケタッ――まずぅわぁー、厄介やっかいごとおーぉ切りわけまひょか――♪」
 巫女服みこふく裏地うらじから、ちょいちょいとほつれたいとを抜く。

「おかあさまの口調くちょうが、へんですわ――?」
 テーブルのうえ座布団ざぶとんを敷き、すわ冒険者ぼうけんしゃギルド制服姿せいふくすがた

「化けだぬき……宿敵しゅくてきのことをーおもいだしてぇー、むかしのぉーはなしぃかたにぃーもどっちゃったぁみたいねぇーん
 テーブルうえ10センチに、ひざかかえてすわ映し身びのめがみ
 ぎんぼうをヒュヒュヒュと、振りまわしている。

京言葉きょウことば――モと使ツかわレていた、古代言語ふるいこトば
 美の女神イオノファラー眷属けんぞく銀の棒ジンライが振りまわされながら説明せつめいする。

「クツクツクツクツ、ほな、いきまひょか――!」
 朱色の細糸ほつれいと自分じぶんくびをくくる、巫女装束ばけぎつね

「「「?」」」
 くびをかしげた女神めがみと、眷属ぼうと、令嬢れいじょうの目のまえで――

 シュガッ――――グザッ!
 巫女夫人みこふじん突然とつぜん――
 とりだした匕首あいくちで、自分じぶんくびを切りつけた。
 くちからくびから、大量たいりょうの血。

「「っきゃぁぁぁぁぁあっ――――!?!?」」
 ギラギラしたひかりが、ひとみからうしなわれ――
 ゆかうごめいていたかげが、消失しょうしつした。

 姿勢しせいくずし、たおれる巫女ルリーロ
 ッシュワァァァァアアッ――――ァン♪

「っすっはぁぁぁあっ――――!」
 すんでのところで――ズザッ!
 草履ぞうりゆかを踏みしめる。

「ギャァァ――い、生きかえった!? まさか、そのいとってぇ――!?」
「そおどすぇ、この巫女装束みこしょうぞく使つこてるいとわぁー、ぜんぶ〝追憶ノットオブの結び紐リメンブランス〟とぉおなもんやからなぁー♪」
 チャキリと、匕首あいくちさやおさめる血塗ちぬ巫女みこ

「そ、それにしたってっ! なんで突然とつぜん命賭いのちけなのっ!?
 眷属ぼうをかまえ、ギルド職員リカルルの背にかくれる半狂乱イオノファラー

「ことが化けだぬきとぉー天狗てんぐにぃーかんすることどしたらぁ――――このいのち、おやすぅしときまっせぇ――――仁侠にんきょうに賭けてやぁ!」
 啖呵たんかを切った巫女みこが、口元くちもとぬぐうと――着物きものから血が、ひかりあわになって消えた。

「こっわっ――――江戸時代えどじだい仁侠にんきょう、こっわっ!?」

   §

現在げんザい、カヤノヒメは就寝中しゅウしんちゅうでス。イオノファラーノ御神体ごしンたい胸元むナもと密着みっチゃくしているノで――超音波音声ちょうオんぱおんせいにヨる無意識下むいシきかへノ質疑応答しつぎおウとうヲ、試行可能しこウかのう
 まるでうつらなくなった『死後の世界』。
 その周囲しゅういただよう――アーティファクト迅雷ジンライ

 テーブルのうえ、かすかなおとを立てる『シガミー(カヤノヒメ)健康状態』。
 テーブルよこ、濃淡のうたんでしかない『死後の世界』。
 そんな画面がめんが、ひかりすじでつながれている。

「ふーん。それでぇー、ルリーロちゃん? 家宝かほう問題もんだいわぁ、解決かいけつしたのぉよねぇぇん?」
 まだ受付嬢リカルル背中うしろに、かくれている女神イオノファラー

「はぁぁい、おはずかしぃーところおー、お見せしましたぁー――ココォォン♪」
 照れるようにかおかくす、巫女みこ周囲しゅういに――――ぼぉうぼぉうぼぼぉうぅわ♪
 狐火きつねびが立ちのぼる。

うつらなくなったぁ化けだぬきわぁ、ひとまずぅーおいとくとぉーしてぇー。問題もんだいわぁー、シガミーの中身・・よねぇぇん?」

「ガタン――そうですわね、自分じぶんかみだとか言わなければ――非の打ちどころのない立ち振る舞いでぇ、まるで女神めがみさまのようなのだけれど――」
 椅子いすすわりなおした受付嬢うけつけじょうリカルルが、溜めいきをついた。

 テーブルのうえ、のこされた半透明はんとうめいの美の女神めがみ
 ふところから持ち手のついた円筒えんとうが、取り出される――カチリ。

「ザザッ――あー、あー、シガミーに告ぐ、シガミーに告ぐ! 無駄むだ抵抗ていこうは止めて、もとのシガミーにもどりなさーい!」
 濃淡のうたん映像えいぞうに向かって、交渉こうしょう(?)が開始かいしされた。

「ヴュザザザッ――――はいっ……てまぁ……す」
「「「なんか返事へんじきたっ!」」」

「ザザッ――あなたわぁ、シガミーなのう?」
「ヴュザザザッ――――いいえ、わたくしはかみです……惑星わくせいヒースのかみです」

 ぱしり――♪
 持ち手のついた円筒えんとうを、よこからひったくる夫人ふじん
「ザザッ――じゃぁ、化けだぬきでわぁーなぁーいーのぉーでぇーすぅーねぇー?」

「はい、わたくしは……惑星わくせいヒースのかみです」
 ひとりむねを、なで下ろす夫人ふじん

 ぱしり――♪
 持ち手のついた円筒えんとうを、とりかえす半透明めがみ
「ザザッ――じゃぁ、シガミーわ――もともと、そのからだなかにいたがさつな口調・・・・・・おんなの子わぁぁ、ドコに行ってしまったのですかぁー?」

「ヴュザザザッ――――現在げんざいお聞きのチャンネルは……4・53Hzヘルツです。サブチャンネルを、お聞きになりたい場合ばあいには――付属ふぞくのロッドアンテナを接続せつぞくしてください」

「なにこれ? どーゆーことー、迅雷ジンライクーン?」
「シガミーに付属ふぞくアンテナは、付属ふぞくしていません」
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