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3:ダンジョンクローラーになろう

315:惑星ヒース神(シガミー)、ギルド長そして死なない紐

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 なぞ小物こもののまえに、鑑定結果かんていけっかが焼き込まれたいたが置かれる。
『角ウサギの心臓
 所持すると、魔力を押さえる効果がある。
 ただしMPが10万以上ないと、効果は発揮されない』

「んニャ? つのウサギには見えないし、またガラクタミャ!?」
MPエムピーが10万以上まんいじょうてのはぁ、魔王まおうとか変異種へんいしゅくらいだろ?」
「うーん、場合ばあいによっては使つかみちが……ありそうですわよ?」
 伯爵令嬢はくしゃくれいじょうがひとりだけ、そんなことを言う。

「そうわねぇ――どーおもうーぅ、ルリーロちゃぁん
「ひとまず金庫きんこ保管ほかん……いえ、超厳重ちょうげんじゅうにぃー封印ふういんしまぁすぅ!」
 そのかおは、あおざめているように見えなくもなく。
 一同いちどうはもういちど、つのウサギには似ても似付につかない――
 見方みかたによっては、からだまるめたひとのようなかたち
 そんなふうに見えなくもないソレを――じっと見つめた。

「やっぱりつのもないし、ウサギには見えないコォン?」
 うんうんと、うなづき合う。

「じゃぁつぎわぁねぇー、これっ! きのこふた種類しゅるい、さぁ一体いったいどんなお料理りょうりが合うのぉんっ!? 鑑定かんていして
「おいそぎでシたら、わタし鑑定かんていしテも、よろしいでスが

「バカねっ、野暮やぼなことを言うもんじゃありませんよ。こうやって、みんなで献立こんだてかんがえるのが――たのしいんじゃないのよっ
 口元くちもとのよだれをぬぐう、半透明な制服姿イオノファラー

「そうですねぇ、それとその鑑定機かんていき鑑定かんていすると、いつでもあとで見返みかえすことが出来てきるから便利べんりなんですよ♪」
 いつの間に、ソコに居たのか。
 ギルドの制服せいふく。そのうえから、橙色だいだいいろぬのをまとっている。

「「「「「ギルドちょう!?」」」」」
 両目りょうめまるいガラスいたを張りつけた男性だんせいが、「やぁ」と手をあげた。

「あら、もうフェスタの収支決算しゅうしけっさんは、お済みになられたのですか?」
「もうすこしだよ。けど魔王城まおうじょうからドロップしたアイテムがあると聞いたもので、居ても立っても居られず――おや、その曲がったつるぎなんだねぇ――ギュギュギィイ――!?」

「あー、あれは――折れた剣・・・・でしたわ」
 ギルドちょうのまえに立ちふさがり――うしろ手を「はや仕舞しまえ」と振る伯爵令嬢リカルル

「そっちのはもや、小物こものは――?」
 かれかおに張りつくガラスいた――眼鏡めがねささえるには、ツマミ・・・が付いていて――ギュギュギュギュッツギュィィィ――――!?
 せわしなく、うごきはじめた。

「そ、そちらわぁ、壊れた小物入れ・・・・・・・と、ただの石・・・・でしたわぁ!」
 身を乗りだす眼鏡男メガネを、押しとどめる狐耳令嬢きつねみみ

 ヴォヴォヴォヴォッ――――すぽすぽすぽん♪
 ガラクタと鑑定板かんていいたを、仕舞しまいこむ――女神めがみ眷属けんぞく浮かぶ棒ジンライ

戦利品せんりひんなかでめぼしいものと言えば、この茸数本きのこすうほんとマジックスクロールだけですわっよ!?」
 よこへ退くと――

 ――――かしゃん♪
『モルト・トリュフリュ【木陰の宝石】
 ちいさな茸。鍋に入れるととてもおいしく、
 あまりのおいしさに天啓を授かるとか授からないとか。
 追加効果>適切な調理をすれば、食後一時的にMPが減らなくなり、
      INT、AGR、LUKのいずれかが恒久的に上昇する。
      ただし調理には熟達の料理人による、最高の仕事が必須。
      失敗した料理を食した場合、HP最大値が大幅に減少する。』

 ――――かしゃん♪
『ラゴラゥ・マツタゲ【凶夢】
 焼いて食すととてもおいしく、特に酒のおつまみに最適。
 追加効果>適切な調理をすれば、食後一時的にHPが減らなくなり、
      STR、DEF、LUKのいずれかが恒久的に上昇する。
      ただし調理には熟達の料理人による、最高の仕事が必須。
      失敗した料理を食した場合、MP最大値が大幅に減少する。』

「このきのこはたしか……書庫しょこ調理工程ちょうりこうていが書かれたほんを、見たことがありますよ?」
 ギュギュィィーン♪
「はい、ははぁーい! ソレっ、とってもお、興味きょうみがあるのでぇー、あとでおしえてくださぁい
「では書庫担当者しょこたんとうしゃに、つたえておきましょう」
 ギュイィン♪

「では、きのこかんしてはそのように。マジック・スクロールにかんしては……」
 迅速じんそく会議かいぎをすすめる、ガムラン代表だいひょう受付嬢うけつけじょう

 ――――かしゃん♪
『マジック・スクロール【魔法習得】
 索敵系のレア魔法を、ひとつ覚える』

 ――――かしゃん♪
『マジック・スクロール【スキル収得】
 精神作用系のレアスキルを、ひとつ覚える』

 ――――かしゃん♪
『マジック・スクロール【スキル収得】
 報酬倍化スキルを習得できる
 クエスト報酬や魔物が落とす金貨の枚数が倍になる。
 ただし、攻撃魔法を一切使えなくなる』

「ふぅむ――こちらのスクロールにかんしては、リオレイニアやルリーロさまにおまかせすれば、まちがいはないでしょう」
 ギュィ♪

「あら、ざんねぇん。戦利品せんりひん仕分しわけも済んでしまいましたわぁねぇー」
 一刻いっときもはやく、この場を解散かいさんしたいという意図いとがみえみえで。
 どこか空々そらぞらしい伯爵令嬢はくしゃくれいじょう態度たいどを、とがめるものは居ない。

「そうですぅか――――なにか面白おもしろでも見つからないかと……おもっていたのですが」
 落胆らくたんのギルドちょう

「そういえばレイダはシガミーと、となりのへやでお昼寝中ひるねちゅうですわよ」
「そうですぅか、ではおそくならないうちにかえるようにと、つたえてください」
 そういって、トボトボと会議室かいぎしつを出ていくギルドちょう

「あ、あぶなかったですわぁー。あのままアーティファクトを見つかっていたら、冒険者ぼうけんしゃギルドの業務ぎょうむ完全かんぜん停止ていししてしまうところでしたわ……」
 「ふぅ」と、ひたいあせをぬぐう一同いちどう

「じゃあ、このマジック・スクロールは――レーニア……リオレイニアにあずけてしまってもよろしいかしら? スキル・スクロールにかんしては、本当ほんとうならシガミーに見せたいところでしたけれど――」
異議いぎありませーんわぁ」
「おなじく、ないでぇー
おれもねぇぜ」

すべての戦利品せんりひんはその価値かち算出後さんしゅつご均等きんとう参加者さんかしゃ分配ぶんぱいされますが――そうですねぇー、一週間いっしゅうかんほどいただくことになりま――――」
 のこっていた数名すうめいも――会議室かいぎしつから出て行った。

   §

 猪蟹屋2号店ししがにやにごうてんのどこか。ちいさなつくえ椅子いす
 ちいさな部屋へやにはドアもまどもなく、あかり取りの魔法具まほうぐからソヨソヨとかぜながれている。

 ピーッピーッピーッピーッピーッピーッピーッピ――――♪
 かすかなおとは、かべうつしだされたシガミー(カヤノヒメ)の、健康状態けんこうじょうたいあらわしている。

 リカルルとルリーロと、イオノファラーとその眷属けんぞく
 かおをつきあわせ、じっと見つめるテーブルのうえ――

『シガミー LV:38
 薬草師★★★★★ /状態異常無効/生産数最大/女神に加護/七天抜刀根術免許皆伝
 追加スキル /遅延回収/自動回収/自動回復/体力増強/上級鑑定/自爆耐性/解析指南/超料理術
 ――所属:シガミー御一行様』

 置かれているのは冒険者ぼうけんしゃカードと、それをくびから下げるためのひも
ヒもいロかンシては目立めダたナいように変えてアりますが、効果こウか影響えいきょウはないはずデ

 コトリ――
『追憶の結び紐【消費アイテム】
 身につけた者の命を一度だけ保護する』
 置かれた薄板うすいたには、ひも鑑定かんていした結果けっかが、焼き込まれている。

「ふぅ、ニャミカさんに鑑定箱かんていばこを、使つかってもらいましたけれど――」
 深刻しんこくかお伯爵令嬢リカルル
「この鑑定結果かんていけっかならぁー、わたくしのぉー羽織はおりたすきおなじくぅー――死をまぬがれる効果こうかがあるはずですわぁ――」
 おなじく、神妙しんみょう面持おももちの伯爵夫人ルリーロ

「まぁ――なんとか生きかえったんだしさ、あんまり気にしないでさぁ――!?
「いエ、イオノファラー。これハそういうはなシデは無イとおモわレま

当家とうけ家宝かほう性能せいのうは、ただしいものであらねばなりません――」
「死なないひもくびに掛けていたシガミーが、死んでしまったこの事実じじつ――」
「コントゥル家の総力そうりょくを持って、原因究明げんいんきゅうめいしなければなりませんわっ!」
 ゴゴゴゴォォォォォォ――ぼぅわっ♪

「あれ? ルリーロちゃんの目がわらってない……おひめちゃんも、そ、そんなこわかおして狐火きつねびだすのやめよぅ? ――ぁれ

類推るいスいデすがイオノファラー。こノけんかンシて対応たいオうあやマルと伯爵領はくしゃクりょう、ひイてはガムランちョうのアりかタかカわルほどの大事おおごトニ、発展はっテんすル可能性かのウせいがありマ
 自分じぶん眷属けんぞくのそんな真剣しんけん言葉ことばに、半透明はんとうめい制服姿せいふくすがたが――背筋せすじただした。
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