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3:ダンジョンクローラーになろう

307:仙果到達ルートC、ラプトル王女との対話(非公式)

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「と、とととととと、とにかくダメぇ――」
 む、コッチが譲歩じょうほしてるのに、ダメだという理由りゆう説明せつめいすらしねぇ――すぅぅぅぅっ。

ぁっーーーーっ!!!」
 また五百乃大角いおのはらこわれるといけねぇから、ちいさくだが――
 はつをくれてやった!

 ふるえる子供シガミーからだ
 瓦礫がれきがすこし落ちてきたが、くずれるほどじゃねぇ。
 五百乃大角いおのはらばりの仁王立におうだちで――にらみ付けてやる。

「ぴゃぎゃらんっ――!?」
 二号ジンライ背中せなかかくれる王女殿下ラプトルひめ

「まアまあ、シガミー。カりにモ一国いっコく王女相手おうじょアいて――」
 ふぉん♪
『>ガムラン町を含むコントゥル伯爵領と、
  央都自治領一大勢力との戦争になりかねません』

「やかましい迅雷ジンライ! 王女おうじょさまも良く聞け! ニゲルはおれの友達ともだちだ!」
 おれの怒声どせいに身をすくめる、二号ジンライ王女おうじょ

「ニゲルのためにならねぇことなら、たとえ相手あいて央都おうとまるごとでもおれぁ引かねぇって言ってるんだっあ!」
「ぴゃぁぁぁっ――そ、そんなのっ――わ、わたたたたた、わたくしも、ニゲルさまのためをおもっていますらぁん!」
 んぅ? やっとはなしすすんだような、気がしないでもねぇ。

 ふぉん♪
『>シガミーには詳細を伝えていませんでしたが、
  彼女はゴーレムを使って、ニゲルを襲撃した嫌疑があります』
 はぁ?
 それじゃぁ、やっぱりはなしすすんでねぇじゃねーか!

「ぴゃぁぁ、ぴゃぁぁ、ぴゃらぁらぁぁぁぁん!」
 あぁ、いけねぇや。泣き出しちまったぜ。

「(ニゲルがこの杓子王女しゃくしおうじょさんを、相当嫌そうとうきらってるのはたしからしいが――どうしたもんだぜこりゃあ)」
 ガリガリとあたまをかいて、二号にごう木板きいたを見る。

「……迅雷ジンライおとだせおと!」
 せめて、あいつらの様子ようすこえだけでも聞いて、気を落ち着ける。

 ちょうど書き換わった、木板きいたの絵には――うつくしい女性じょせい姿すがた
 とてもおおきな……もも
 そんななにかをかかえ、よだれを垂らす……うつくし……い?

「――なにこのおおきさっ! さすがにコレじゃぁ、あたくしさまでもぉ、おひとつで十分じゅうぶんわよっ!?――」
 その木の実(?)のおおきさは――五百乃大角いおのはらうつし身とおなじくらいあった。

「絵とおとがまちがってんぞ!」
 こりゃ五百乃大角いおのはらの、様子ようすだろーが!

 ぽたきゅりと、たおれる二号ジンライ
「おいこら迅雷ジンライ、なにやってる?」
 王女おうじょまで一緒いっしょに、ひっくりかえっちまっただろーが。

 ふぉふぉん♪
『>同一エリア内で女神像#0が検出されました
  同期を開始しますか? Y/N』

   §

「ひっく、くすんくすらん」
「あー、わるかったよわぜ。ひとまず泣き止んでくれてたすかるぞわ」
 コクリとうなづく、第一王女だいいちおうじょ

「まず、聞いておきてぇことがいくつも有るんだが――こたえちゃくれねぇか? とても大事だいじなことなんだぜ」
 瓦礫がれきをどけて、椅子いすとテーブルを出した。
 うごかなくなった二号ジンライも、椅子いすすわらせてやる。

「わ、わかりました。わたくし央都おうとラスクトール自治領じちりょう代表だいひょうするものですらん。何なりと聞いてください、ケットーシィガミー」
 なみだ指先ゆびさきぬぐい――おれを真っ直ぐに見据みすえる第一王女ラプトルおうじょ

決闘死けっとうし……決闘けっとうして死ぬみたいに聞こえるから、ぜひシガミー・・・・と呼んでくれ。ガムランちょうのシガミーだぜ」
 木の葉のような、ちいさな手を差しだす。
「それは失礼しつれいいたしました、シガミー。わたくし央都おうとのラプトル・ラスクトールですらん」
 きゅっと手をにぎりあう。
 いろんな不運ふうん見舞みまわれた、不幸ふこう出会であいだった。
 ここから、仕切しきなおす。

「まず、最初さいしょから聞くが……魔王城まおうじょうなにをしてたんだ?」
「ゴーレムの素材集そざいあつめですらん。ケット……シガミーたちはなにをしていたらん?」
火龍かりゅう寝床ねどこ攻略こうりゃくしたついでに、この大木たいぼくのあるおか目指めざしたら……かわながされてな」
「この場所ばしょは、王家おうけ転移魔方陣てんいまほうじんとおらなければ、たどり着くことは出来できません。その転移先てんいさき明後日あさってには、べつ土地とちに切り替わりますらぁん」
「切り替わる?」
「はい。この神聖しんせい召喚しょうかんとうまもための、術式じゅつしきですらん」
 わからん。

「じゃぁ、ここに来るまえの、焦げくさい……工房こうぼうがあった場所ばしょなんだ?」
「じつはあの〝中間の場所・・・・・〟については、まだ良くわかっていません」
「わからねぇところに、大事だいじ工房こうぼうかまえたってのか?」
「はい。わたくしにとって大事だいじなのは、ゴーレムの素材そざいとなる魔物まもの生息地せいそくちへ〝どうやってたどり着くか〟ですからん」
「たどりつく? 転移魔法てんいまほうで行き来、できるんだろう?」
「ええ、けれど……わたくし自由じゆうあるけるのは、央都おうと城壁じょうへきなかだけですものらん」
城壁じょうへき……内堀うちぼりなかか? おれぁ一度いちど央都おうと出向でむいたことがある。飯屋めしや宿屋やどや道具屋どうぐやなんかが、そこそこ立ちならんでたな」

「ええ、わたくしにあたえられた自由じゆうは、そのなかだけですもの――とても魔物まものが居るところへなんて……」
 すこし、込み入ってきたぞ?
「んうううううん? 魔王城まおうじょうと、このとう場所ばしょをつなぐ――あいだ工房こうぼうがあった場所ばしょは、ひめさん……ラプトルひめさん以外いがいには、知られてねぇ・・・・・・ってワケだな?」

「はい、つまりはそういうことですらん。王城おうじょう地下ちかにある秘密ひみつ転移陣てんいじんではなく――わたくし複写した・・・・転移陣てんいじんから転移てんいすると、あのあかく焼けた土地とちへと転移てんいするのですらん」
「うーんぅ、そりゃ言ってみりゃ事故じこだろ? そのとき護衛ごえいは? 良く生きてたな?」
「そうらぁん、まさにわたくしの、ゴーレム最強伝説さいきょうでんせつはじまりでしたらん♪」
「なんかながくなりそうだな……一言ひとことで言うなら?」
おそい来る魔物まもの襲撃しゅうげき必死ひっしふせいでくれた、ちいさな人形型にんぎょうがたゴーレムの……残骸ざんがい……」
 やっぱりながく、なりそうだなー。

 椅子いすすわる、二号ジンライかおを見る。
 かおに浮かび出たまるが、ほんのすこし欠けた。
 このまる全部消ぜんぶきえると、龍脈りゅうみゃくだかがつながって――

 なんだっけ?
 女神像めがみぞうなんかが、使つかえるようになって――
 色々便利いろいろべんりになる。

 五百乃大角いおのはらがこの場に居ねぇからか、ちょっと欠けたきり、まるで減らねぇ。
 ってことは、まるですすんでねぇってコトだ。

 どうせ、それまで出来できることもねぇし。
 もうすこしだけ、聞いてやるか。

わたくしの、この万能工具ばんのうこうぐ――伝説でんせつ職人しょくにん使用しようしたと言われる――」
 取り出した杓子しゃくしをかるく振ると・・・――杓子しゃくしやっとこにかわった!
「うを――!? そいつぁ、杓子しゃくしじゃなかったのか!?」

百徳ひゃくとくロッド――わたくし相棒あいぼうですらぁん♪」
 やっとこがこんどは、金槌かなづちに変わった。
 かなり上等じょうとうなアーティファクトだ。
 はなしをする気配けはいはねぇけど、迅雷ジンライみたいなものか?

「ふぅ、おどろかされちまったぜ。けどそれひとつで、どーやって生きのびた?」
最強さいきょう戦闘用せんとうようゴーレムを、つくりあげたに決まってるじゃありませんらぁん♪」
 やめろ、杓子しゃくし舐めあげるな・・・・・・
 けどこれで、だいたいのはなしが聞けた――かぁ?

「じゃあ最後さいごだ。もう一回聞いっかいきくぞ? ニゲルが婿殿ってのは・・・・・・、どーいうはなしなんだぜ?」
 ひじを突きだし、かおを寄せてみせた。

 ぎゅっ――とん!
 にぎったこぶしをテーブルに置き、意をけっした王女殿下おうじょでんかラプトル。

「ゆ――、勇者召喚ゆうしゃしょうかんおこえるのは――わたくしのお父様とうさまわたくしだけですのらぁん♪」
 脇目わきめもふらずにはなしはじめ、ほほやおでこやみみさきまでがあかく染まっていく。
「はぁ?」
「この世界せかいすくってくださった、ゆ、勇者様ゆうしゃさまにぃ! 身もっこころもさヒゃげるノわぁ――と、とおぜんらのれすらぁぁん!!!」
 また杓子しゃくしにもどったソイツ・・・を、振りまわすんじゃねぇやい!
 危ねぇだろうが!

「きゃぁぁ言っちゃったぁぁらぁぁん! あぁぁあぁぁ、ニゲルさまっ!」
 んぅ? ニゲルさま……なぁ?
 ひととの出会であいは、一期いちご一度いちどだ。
 けどやっぱり、なんか……さま・・ってがらじゃねぇよな。

ねんのため聞くが、ニゲルに会ったことは?」
「も、もちろん何度なんども、お会いしましたらぁん♪」
 だーよーなーぁ。
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