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3:ダンジョンクローラーになろう

303:仙果到達ルートC、リルゲ互助会のひみつ

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「でっかい木わね……あっ、すっかりわすれてた! おひとりさま三個さんこまでっ!」
 ひろ東屋あずまやはしまで行くと、あたりの様子ようすがみわたせた。
 ここはおか中腹ちゅうふくおか頂上うえには巨木きょぼく

 そっちへスルスルと、まるで幽霊ゆうれいのようにすべっていく五百乃大角いおのはら
 おれもあとをついて、転移魔方陣てんいまほうじんのある高台たかだいからおりる。

三個さんこまで……なんのことかしらん?」
 おれたちのあとにつづいて、階段かいだんを降りてきた王女おうじょ小首こくびをかしげた。

「あのでけぇ木に、実がなってるらしいんだが……聞いたことはねぇでごぜぇますわぜ?」
 こしに手をあてくびを振る、王女おうじょ
 ねんのため、杓子しゃくし間合まあいにははいらねぇように気をつける。

 れいの、ひとりみっつまでもらえるってはなし仙果せんか
 ソレが成る、ご神木しんぼくらしいのがそびえ立っている。
 ココからじゃ巨木きょぼくに、実がなっているかどうかはわからねぇ。
 そのかたわらには、召喚しょうかんとうとかいうやつもあって。
 くずれたとはいえ女神像めがみぞうがあるなら、あっちにも行ってみても良いかも。

リオレーニャ・・・・・・ちゃん、ココはまかせましたよ? ウフフフウケケケケッ♪」
 魔王城まおうじょうに居る御神体ごしんたいだか浮かぶたまを、同時どうじあやつってるんだろう。
 五百乃大角いおのはらうつし身が、なにもないところに向かってそりかえった。
 神々かみがみの、いろんなことを一遍いっぺんすすめるやりかたには、まだ慣れねぇ。

 ふぉん♪
 ちいさい画面がめんあらわれ、あたま猫耳ねこみみを乗せたリオレイニアがうつってる。
 ニゲルの黒耳まっくろちがって、真っしろなソレは――
「なにやってんだアイツらは……まるで白猫しろねこだな」
 とりしろ仮面かめんに、似合にあってた。

「あたくしさまわれいのおいしい果物くだものおー、一足先ひとあしさきにいただいていますので、邪魔じゃましないようにおねがいいたしますよぉん♪」
 ひでぇな、丸投まるなげげか。
 けどおまえさまよぉ、その浮かぶたま……プロジェクションなんたらで――めしが食えるのか?

 ふぉん♪
『>プロジェクションBOTです。
  プライマリデバイス、〝いつも使う御神体〟として登録することで、
  食事をすることが可能になります』
 わからんが、めしが食えるなら邪魔じゃま出来できねぇ。
 あとがこわいからな。

「そ、そんな、あのなかに飛びこんだら――だれかひとり死にますニャン!」
 小窓こまどからじゃなくて、たまから……五百乃大角いおのはらうつし身からも、リオのこえが聞こえてきた。

 目がしろとり仮面かめんかくれていても、もう手に取るように形相ぎょうそうがわかる。
 「ひとり死ぬ」それはたぶん、ニゲルのことだろう。
 本気ほんきのニゲルを目の当たりにしてもなお、そう言えるんだから――
 ウチのパーティーメンバーも、相当だ・・・

「泣きごとわぁー、あ・と・でぇ・聞きまぁすねぇー。じゃぁ、リオレーニャちゃんをおーぉ〝リルゲ互助会ごじょかい〟の副会長ふくかいちょう任命にんめいしまぁすん、総員拍手そういんはくしゅ――♪」
 ぱちぱち、ぺちりっ♪
 はやしたてるな、なぞ軍団ぐんだんつくるなってんだ。

 ふぉん♪
『【リルゲ互助会】
 リオレイニア・サキラテ
 会員No.00002』
 なんかべつ小窓こまどがでた。
 リオレイニアの素顔すがおも添えられてて一瞬いっしゅん、目がとまった。。

「なんだぜ、こいつぁ?」
「これからは異世界生活いせかいせいかつも、アウトソーシングの時代じだいです」
 ふぉん♪
『ヒント>アウトソーシング/外部委託。雇われ、丁稚奉公人』

「はぁ? まぁおれぁ五百乃大角おまえさまのの、やとわれ料理番りょうりばんみたいなもんだが――」
 カリカリと、うしろあたまをかく。
 ただひとつの、迅雷ジンライ居ねぇと・・・・便利べんりなことがコレだ。
 実際じっさいかみが蒸れないようにかぜとおしてくれるから、うしろあたまがかゆくなることもそうそうねぇけどな。

 ふぉん♪
『イオノ>何ひとごとみたいに言ってるの?
     リルゲ互助会の会長は、シガミーなのらん』
 やかましい、ひとをなぞ軍団長ぐんだんちょうに据え置くなってんだ。

 フォン♪
『【リルゲ互助会】
 シガミー
 会員No.00001』
 なんかべつ小窓こまど
 いつ描かれたかわからねぇ、寝起ねおきの締まらねぇつら
 ほんとやめろ。

「ムリだよ。あのなかはいったら死んじゃう!」
無理ムリなんてないの。レーダニャンは、リルゲ互助会ごじょかい副会長補佐ふくかいちょうほさ任命にんめいしますん♪」
 かさなっていく小窓こまど会員かいいんナンバーは00003。

「ムリだよ。あのなかに入ったら死んじゃう……シシガニャン二号にごうをアタシにくれたら、出来できそうな気がするけどぉ?」
 小窓こまどなか猫耳を乗せた子供レーダニャンわるかおで、そんな催促さいそくをしやがる。
 まだ、あきらめてなかったのか。

「なら、ゲールニャくんをつけてあげますから。きみわぁ、〝かりゅうのねどこ〟番頭ばんとうだけでなく、リルゲ互助会ごじょかい副会長ふくかいちょう補佐代理ほさだいり兼任けんにんしてもらいますん♪」
「しかとウケタマワろう。しかし、ワレはナニをすれば良いのだ?」
「どっちが勝ってもかどが立つからさぁ、キッチリ引き分けにして・・・・・・・ちょうだい♪」
 そんな無理難題むりなんだいを――

「わかった、善処ゼンショしよう」
 ――気安きやすく引き受けるなってんだ。
「こら、ゲール! そういうのを安請やすううけ合いって言うんだよ? ウチのおとうさんがいっつもソレで、かえりがおそくなるんだからっ!」
 小窓こまどごしに――両肩りょうかたをつかまれ揺さぶられる、猫耳を乗せた少年ゲールニャ

問題モンダイない。戦地センチオモムきはせず、ホノオアヤツカタカンして助言ジョゲンするつもりだ」
 ほのお? 狐火ほのおか。
 たしかにゲールが火龍かりゅう姿すがたで吐いた爆炎ばくえんは、すさまじかったからな。
 存外ぞんがい妙案みょうあんかもしれん。

「さぁ、厄介やっかいごとわぁみんなにまかせて――あたくしさまたちだけでも、おさきに邪気じゃきはら果物くだものとやらをいただくわぁよぉう♪」
 ヴォヴヴォゥン――――♪
 だから仁王立におうだちのまま……飛んでくの止めろ。
 昼日中ひるひなかから幽霊ゆうれいを見てるみてぇで、怖気おぞがすらぁ。

「というわけでなぁ、おれたちはあの木のふもとまで行ってみるけど――王女おうじょさまはどうするんだ?」
「そうですわね、わたくしはあちらの〝召喚しょうかんとう〟の様子ようすでも見にいこうかしららぁん♪」

 先頭さきがけ浮かぶ球いおのはら
 つぎがおれ。
 そのうしろを王女おうじょが、杓子しゃくしを振りまわしながらついてくる。
 そんなことしてて、ふもとまで持つのか?
 結構けっこうとおいぞ?

「そういや、ゴーレムは王女おうじょさまのお付き・・・なんだろぅ? 蹴り飛ばして置いて来ちまって、平気へいきなのか?」
問題もんだいないのらわぁーん。ケットーシィガミーちゃんだって、お付きのケットーシィたちをポコポコなぐり飛ばしてるじゃないのらぁん?」
 そういうことでも、ねぇんだけど――
 あんじょう、20歩もあるかないうちに王女おうじょたおれた。

「ふぅ、おにぎり……はこんでやってくれるか?」
「みゃにゃん? にゃごっ♪」
 ぽっきゅむん♪
 むねたたいたいきおいで、ゴロゴロとおかを落ちていく一号おにぎり
 ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅ――――ごろごろごろろろろろっ!
 追従ついじゅうする、〝特定作業用とくていさぎょうよう突撃用強化服とつげきようきょうかふく特撃型とくげきがたシシガニャン〟三号さんごうから十号じゅうごうまで。

「おい、迅雷ジンライ
 ふぉん♪
『>なんでしょうか、シガミー』
「いっそのことオマエが、二号にごうを着てはこんでやれねぇか?」

 ふぉん♪
『>女神像との通信スループットが、
  理論値を維持していますので、
  可能かも知れません』
 言ってみるもんだな。

 じゃあ、やってみてくれ。
 ヴッ――ぽきゅぽん♪
 強化服二号きょうかふくにごうを出した。

「ジンライ……ららん?」
 かたいきをしながらキョロキョロと、あたりを見わたす王女おうじょ

 ヴッ――ぽきゅぽきゅぷぷぅん♪
 たおれそうだった二号にごうが、あしを出して踏みとどまった。

はジめまシて、央都おうトラスクトール自治領じチりょう第一王女だいいチおうじょラプトル・ラスクトールひメさマ。ご機嫌麗きげンうるわシいようでうレしクゾんじマす。わタしINTインテリジェンスタレット、形式けいシきナンバーINTアイエヌティーTRTTティーアールティーティー01ゼロワン迅雷ジンライでス。以後イご、オ見知みシりりおキ
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