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3:ダンジョンクローラーになろう

296:ゴーレム製造工場にて、収納魔法具箱と転移魔方陣

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ちょっとみゃにゃこっち来いみゃにゃぁん
 王女おうじょからはなれて、若草色おにぎりを呼びつけた。

「みゃがぁー?」
 おにぎりが、特撃型こぶんを引きつれてやってくる。

 もう、いいやな。
 央都おうとゆかりのお偉方えらがたらしいし、無下むげにも出来できねぇからってんで――
 なりゆきのまま、相手あいてをしちまったけど。

 おれぁ、ひまじゃねぇんだったぜ。
 大樹たいじゅ果物くだものだかを採って、いそいでまちもどって――
 家宝かほうつくって、おおさめしなきゃならねぇんだ。

おまえはみゃにゃんどっからみゃがぁー連れてこられたにゃみゃがぁー?」
 まさか、女将おかみさんのところを抜けだして、魔王城まおうじょうくんだりまでノコノコやってきたわけじゃねぇだろう。
 そもそもおりを飛びだして、ドコに行くつもりだったんだ?

「にゃんにゃぁーみゃん♪」
 うん、何言なにいってるかわからねぇ。
 けど、ぽきゅりと、若草色わかくさいろゆびさしたのは――真上まうえ

 んぁん? うえかいになんかあんのか?
 階段かいだんは――見当みあたらねぇ。
 ソコの通路つうろさきにでも行きゃ、みつかるか?

 王女様おうじょさま様子ようすを、そっとうかがう。
 作業台つくえにかじり付いて、図面ずめんたたかってる。

 ふくにぶら下がる、〝ぬの出来できうまとかひと人形にんぎょう〟――
 スグ呼びだせるゴーレムが、かずを切らしてる。
 向こうの武器ぶきはせいぜい、杓子しゃくしひとつ切りだ。

「(逃げるにしても、この工房こうぼう調しらべるにしても)――いましかないみゃみゃみゃぎゃ!」
 ぽきゅ……ぽきゅ……ぽきゅ――ぅぅぅん。
 うるせぇ、この服シシガニャン本当ほんとうにうるせぇ!

 けどどうにか、通路つうろはいり込めた。
 ぽきゅ……ぽきゅ……ぽきゅ……ぽきゅ……ぽきゅ――――。
 まだ、十号しっぽのさきは――王女おうじょの目にはいるところをあるいているだろうが。
 かまうか。もう知らん。とっととずらかる。

 けどなんか気になるから、通路つうろならぶドアを開けて、なかをのぞき見しとく。
 ガチャリ――最初さいしょのドアは、開けるんじゃなかったぜ。

 人形ひとがたのゴーレム……しかもひとふくを着せられたヤツが、50ぴきくらい居やがった。
 なんてぇ、気色きしょくわりぃ。

 気を取りなおして、さぁつぎだ。
 ふたつ目のドアは、ゆかが掘ってあって――そうとうひろい。

 ここは資材倉庫しざいそうこだな。
 めずらしそうなものが、ところせましとならんでる。
 突然拐とつぜんかどわかされた埋め合わせに、なんかをもらっていきてぇところだが――
 いまのおれは二号にごうを脱ぐことも、迅雷ジンライ収納魔法しゅうのうまほうをつかうことも出来できねぇ。

 ぽきゅ――ぽこん♪
 いてぇ、いたくはねぇが――ぶつかるんじゃねぇやい!

 おにぎりを振りかえる。
 おれの真似まねをして、特撃型三号はでなニャンさんごうを振りかえったりしてる。
 背中せなかはこを、こっちに向けて――気楽きらくなもんだな。

 まったく……背中せなかはこ
あっみゃ!? おにぎりにゃみゃ……これ仕舞ってみろみゃにゃぁぎゃにゃ?」
 入りぐちそばに積んであった、木箱きばこのひとつを――ポンとたたく。

 ヴッ――すぽん♪
収納魔法にゃんにゃや使えるじゃねぇーかっみゃやーにゃんみゃ!」
 仕舞しまえるってことは、取りだせる・・・・・ってことだ。

 迅雷ジンライほどじゃなくても、おにぎりの収納魔法具箱しゅうのうまほうぐばこには、結構けっこう種類しゅるいものを入れてあるのをおもい出した。

あーにゃー今さらだけどにゃにゃみゃ――黒板の一枚でもみゃみゃんにゃーや入ってねぇかにゃみゃにゃ?」
 猫語ねこごやくせりゃ、はなし出来できらぁ。
 そうすりゃ、おれがガムランちょう子供こどもで、伯爵令嬢リカルルの知りあいだってこともつたえられる。

 ぽこぎゅにゅ――!?
 あーあー、もーせめぇ!
 こんなせめところで、つぎからつぎへとグルグルグルグルおどりやがって。
 邪魔じゃまにもほどがあんだろが!

いっそのこと全部みゃみゃにゃんみゃ仕舞っちまうかみゃぎゃーにゃぎゃ?」
「にゃみゃぎゃぁー♪」
 三号さんごうに抱きつき、くびよこに振る一号おにぎり

あれふぎゃ? 仕舞えねぇにゃぎゃみゃぎゃ?」
 そうか――おれの言うことを聞いたおにぎりが、収納魔法しゅうのうまほう使つかってる。
 つまり、おにぎりが嫌だと言えば・・・・・・――収納魔法しゅうのうまほう使つかえねぇ。
 迅雷ジンライが居りゃ、このへんこまかいこたぁ、気にする必要ひつようがねぇんだが。

 ぽぎゅぽぎゅぽぎゅむぎゅ――♪
 うごめくな、うるせぇ。

   §

 黒板くろいたはなかったがまえつくった、シシガニャンの猫語ねこご共用語きょうつうご文字もじにして見せる木板きいたをみつけた。
 よーし、これを一号いちごうくびにさげておこう。
 ん、もう一枚出いちまいでてきやがった。
 じゃあ、こっちは二号おれにさげとくか。

なんか言えやみゃんにゃやー
 ふぉん♪
 いたを持ちあげ、読む。
『>何か話してみてよ』
 まぁ、意味いみはわかる。

「みゃにゃがぁ、ひゃにゃ♪」
 ふぉん♪
『>いやだよ。ソレは出来ないよ』
 って話してる・・・・じゃねーか。

ひとまずにゃんにゃこれで良いぜみゃがにゃが♪」
 さて折角せっかくだから、突きあたりの階段かいだんを上がってみるか。
 ここから出られそうなら、そのまま逃げりゃ良いしな。

 階段かいだんを上がる。
 猫耳ねこみみをさきに突き出し、左右さゆうに向ける。
 おとはしない。つぎにあたまを出す。
 ソコはなにもなくて、ただひろいだけの場所ばしょだった。
 ゆかには――転移魔法てんいまほう曼荼羅まんだらみたいなのが描かれてる。

なんだぜここわぁにゃにゃにゃみゃん下手に足をみゃんにゃー踏み入れたらみゃにゃぎゃ――どこに飛ばされるかみゃぎゃやーみゃわかったもんじゃみゃんにゃんにゃやねぇぜぎゃにゃ
 もどもどれやぁ――――ぽぎゅりん♪

 あーばかめ。つぎからつぎへと階段かいだんあがってくるんじゃねぇやい!
 ぼこぽぎゅ、すてころりん♪
 ころぶ一号いちごう、おにぎり。

 ころぶ三号さんごう。ころぶ四号よんごう
 ころぶ五号ごごう。ころぶ六号ろくごう――ぽっぎゅむっ!
 七号しちごうからさきが、いっせいになだれころんだ。

 ぽぽぽぽぽぉぉぉぉぉぉん♪
 このおと、聞いたことがあるぞ。
白線はくせんのぉ~内側うちがわにさがってぇ~、お待ぁちぃ~くだぁ――――――」
 足下あしもとをなにかしろもの――白線はくせんはしり抜けた。

 キラキラキラキラキラキラ――――ひかり奔流ほんりゅう
 ああもう、曼荼羅ゆかひかはじめちまったじゃねぇーか!

うわぉわひゃにゃみゃにゃぎゃ?」
 魔法まほう神髄しんずいが、カラダを幾重いくえにも縁取っていく・・・・・・

 シュゴォォォォォォォ――――――――ン♪
 これは、転移魔法てんいまほうだ。
 建物たてものそとからじゃ、おおきな女神像めがみぞうなんて見えなかったんだが。
 地下ちかにでも、埋まってたのかもなっ!

 こうなりゃ、はらをくくるしかねぇ。
 案外あんがい、もとの魔王城まおうじょうか――下手へたしたらガムランちょう超女神像ちょうめがみぞうもどれるかも知れねぇしな。

「ぎゃっ――ネコチャーン! どこいくのーっ!?」
 涙目なみだめ第一王女だいいちおうじょが、ひとゴーレムにおぶられ、階段かいだんを上がってくる。
 ちっ、見つかっちまったか!

 ゴーレムは片足かたあしだけ、魔方陣まんだらに踏みこんでいる。
 ソコで、止まるんじゃねぇー!
 輪切り・・・になったら、どーする!

 おれは錫杖しゃくじょうを取りだし――ヴッ!
 じゃりぃぃん――ゴーレムに差し出した♪

「みゃにゃぁー、みゃにゃがみゃぁー♪」
 ふぉん♪
『>ソコに居ると、危ないよ?
 >この棒を、しっかりとつかんで!』
 つかんだらゴーレムごと、引っぱってやる!

 ゴーレムはなにおもったのか――バッキュゥン!
 くちから火を噴き――錫杖しゃくじょうを、ぶち折りやがった。
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