滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~

スサノワ

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3:ダンジョンクローラーになろう

289:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、玉座のわなと錫杖の鉄輪

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 キュギュゥゥゥウゥ-ン!
 ギュギギギギイギチチチチッ――――ピピピピピピピピッ♪

▼▼▼ピピピッ――――♪』
「(接触せっしょくまで1びょううえから来ます)」
 それは――鉄塊てっかい

 ガシガシン、ガシガシン――――ビビビビビビビビッビビビビィィィィィィィ――――――――――――!!!

▼▼▼ピピピッ――――♪』
「(接触せっしょくまで0・5びょう左右さゆうからも来ます)」
 いや――うでか?

 椅子いす天井まうえだけじゃなく、左右さゆうかべからも――
 おそろしくふとくて無骨ぶこつな、うでが生えた!

 ゴォオォォォォォッ――――――――うえから落ちてくる鉄塊うで
 ゴォオォォォォォッ――――――――ひだりから伸びてくる鉄塊うで
 ゴォオォォォォォッ――――――――みぎから伸びてくる鉄塊うで

▼▼▼ピピピッ――――♪』
「(接触せっしょくまで0・2びょう正面まえからも来ます)」
 わかってる。
 正面しょうめんゆかに空いたあなから、ガシャガシャガチャガチャ!
 どこまでも、はいでてくる太腕ふとうで

 ゴォオォォォォォッ――――――――かまくびをもたげる鉄塊てっかい

 せまるてつうで。真っさきには、無骨ぶこつ拳骨げんこつが付いている
 うでかたちはどこか、迅雷ジンライ細腕かいなと似ていたが――きしみをあげる出来の悪さ・・・・・からして、まるで別物べつものだ。

 とにかくとんでもなく不格好ぶかっこうで、なんて言ったら良いのか――
 みていたらいかりまで、こみ上げてきた。

「(迅雷ジンライ――!)」
 うでつぶされる寸前すんぜん――「(はい、シガミー)」

 ヴヴヴヴッ――――じゃじゃじゃり、じゃりぃぃぃぃぃぃぃぃんっ♪
 錫杖しゃくじょう四本ぜんぶとりだした。
 せまり来るよっつの鉄塊てっかいを、1シガミーの鉄棒ながさ×4よんほんしのぎきる!

 錫杖ぼうあたまに付いた鉄輪てつわ
 それをたばね――右手みぎてでつかむ。
 ちからを込めると四方しほうにばらけていく、ジンライ鋼製こうせい鉄棒てつぼう

 ゴギャギュゴギュイィィィィイィッ――――まずうえ
 ゴギャギュゴギュイィィィィイィッ――――つぎにひだり
 ゴギャギュゴギュイィィィィイィッ――――さらにみぎ
 ゴギャギュゴギュイィィィィイィッ――――とどめの正面しょうめん

 四つの鉄塊てっかいこぶしに、四本よんほん錫杖しゃくじょうが突き刺さった。
 力負ちからまけしないように、左手ひだりて右手首みぎてくびを支える。
 ギシリ――
 ギリギリ〝こしを落としたシシガニャン一匹分いっぴきぶん〟の隙間すきまが、出来できた。

「(モサモサ神官相手しんかんども使つかった、アレ・・出すぞ!)」
「(〝夕凪ゆうなぎモード〟ですか?)」

「(そう、そんな名前なまえだ――やってくれっ!)」
「(では〝温然入浴おんせんにゅうよく夕凪門戸ゆうなぎもんど〟ととナえてください)」

温然入浴にゃみゃにゃー夕凪門戸ふにゃみゃにゃーご――――!」
 ギュキキキキキキキッ――――――――!?
 おれのさけびは――みみをつんざく鉄音てつおとで、かき消された!

 ギュキキキキキキキッ――――――――!?
 自慢じまんこぶしが止められ、あせったのかも知れねぇ。
 ギュキキキキキキキッ――――――――!?
 機械きかい太腕ふとうでが、一斉いっせいに下がっていく。
 ギュキキキキキキキッ――――――――!?

 ふぉん♪
『【納刀自動化モード/ON】
 ━━━━╋:左 右:╋━━━━』
 ビードロのなかちいさい地図ちずよこ
 さやおさまった小太刀かたなの絵が、あらわれた。
 央都おうと使つかったときと、ちがうのは――

 ふぉん♪
『  ┃
 ┃ ┃
 ┃ ┃
 ┃ ┃
 ┃ ╋:上
 ╋:前』
 かたなをあらわす絵が、二本増にほんふえてる。

 まず――錫杖しゃくじょうを突き刺したまま逃げていく、うえ鉄塊こぶし
 ゆれる鉄輪てつわをつかんで引き下ろせば、カタナが抜ける。
 しかも、かたちとしちゃぁ――――上段じょうだんからの引き打ちだ。

 ――――シュッカ、カァァァァァンッ!
 鉄輪てつわを持って振りまわしただけじゃ、とても切れそうもねぇから――
 ちいと、細工さいくをす――――ゴコゴォン!

 ろくちからはいってねぇ仕込しこみの直刀ちょくとうが――ひだり鉄塊こぶし切り落とした・・・・・・
 夕凪ゆうなぎ代わった芸当・・・・・・をするつもりだったが――必要ひつようねぇか。

 落ちず空中しゅう残る・・左鉄塊ひだりてっかい
 これは念話ねんわじゃねぇ。おれの手習てならいの境地きょうちが、見せている。

 ヒュルルッン――――シュッカ、カァァァァァンッ!
 かえす鉄輪かたな左鉄塊ひだりてっかいを、横にも・・・割る。

「(はえぇ! この剣速けんそくはダメだ、止めねぇと!)」
 一瞬いっしゅん鉄輪てつわをすべってもどってきて、二号てめぇのカラダを寸断すんだんしかねねぇ。
 なににも切れねぇ強化服きょうかふくと、なんでも切っちまいそうな鉄輪てつわ剣筋けんすじ

 ニゲルに出来できたことは、おれに出来できてもおかしくはない。
 まん一切いちきれるとおっかねぇから、鉄輪てつわ左手ひだりてにもちかえ――
 そのまま一回転いっかいてん

 うしろ手で正面しょうめんにあるだろう鉄輪しゃくじょうを、手探てさぐりりでつかむ。
 あれ、ねぇ?
「(もうすこし、あと5……0・1秒先びょうさきです)」

 がしり――よしつかんだ!
 回転かいてんするまま鉄輪かたなを抜き、右鉄塊みぎこぶしよこに切る。
 ――――シュッカ、カァァァァァンッ!
 いけねぇ――――ゴゴォォン!
 玉座ぎょくざ背もたれ・・・・まで、いっしょに切っちまった。

「(剣速けんそく秒速約びょうそくやく42メートルにたっしています。動作半径どうさはんけい注意ちゅういしてください)」

 ふぉん♪
『  :
 : :
 : :
 : :
 : ╋:上
 ╋:前』

 両手りょうて直刀ちょくとうは、抜き身のままだ。
 居合いあいは使つかえない。
 けど金剛力こんごうりきで、鉄輪てつわを振りまわせば――

「(はい。リーチ……間合まあいはみじかいですが、大抵たいていもの両断りょうだんできます)」
 ――――シュッカ、カァァァァァンッ!
 左手ひだりてをねじり込み、右鉄塊みぎこぶしたてにも割った。

 チキッ♪
『  ┃
 ┃ ┃
 ┃ ┃
 ┃ ┃
 ┃ ╋:上
 ╋:前』
 ここで仕込しこがたながようやく、錫杖しゃくじょうさやおさまった。

 ゴゴゴゴオキュギィッ――――はなれていく鉄腕ぶかっこう
 左右さゆう錫杖しゃくじょうは、抜けなかった・・・・・・
 真上まうえ正面しょうめん鉄塊ヤツは、切れなかった・・・・・・

 やっぱり……やってみるかアレ。
 両手りょうてに持つ鉄輪てつわはなした。

 前回まwまわりでとんぼを切り――ぽっきゅ――くるるるっ――がしりっ♪
 はなれていく錫杖しゃくじょうを、つかみなおした。

いちかまえ。――にゃっ♪」
 しゅっとん。
 切ったとんぼにあわせ、右手みぎて振りおろす・・・・・
 打突だとつとどかねぇ間合まあい――錫杖の鞘がすっぽ抜けてシュッカァァ――――シュシュッゴッガァァァァァンッ!!

 天井てんじょう太腕うで爆発ばくはつした。
 まるで大筒おおづつか、リオレイニアの火弾だ。
 すさまじい衝撃しょうげき
 ココまでの威力いりょくがあるとは、おもわなかった。

 ふぉん♪
『  :
 ┃ :
 ┃ :
 ┃ :
 ┃ ╋:上
 ╋:前』
 弾丸さやはもう一発いっぱつある。

いちかまえ。――みゃぁ♪」
 しゅっとん。
 こんどは左手ひだりてで、振りおろした・・・・・・
 錫杖しゃくじょうさやが、正面しょうめんの床穴ゆかあなへ逃げていく鉄塊てっかいに――――シュシュッゴッガァァァァァンッ!!

 真上まうえ正面しょうめん機械きかい太腕ふとうでは、木っ端微塵ぱみじんになった!
 左右さゆうのも鉄塊こぶしを、縦横たてよこに割ってやった!

「(シガミー、むかって方向ほうこう! ちいさなドアの向こう)」
 ぴぴぴぴぴっ♪
『▼――Unknown』

「(ひとが居ます)」
 たしかにかべの向こうに、ひとの縁取ふちどりがみえた。

 心配しんぱいしたリオレイニアが、魔法杖つえで飛んできたのかも知れない。
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