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3:ダンジョンクローラーになろう

286:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、魔王城へつづく道

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いきおい込んだものの……おかしくね?――ニャン?」
 おもちをはなってみたけど、まるで手応てごたえがない。
 カチッ――♪
 おれはおもちを、迷路めいろの真んなかで立ち止まらせる。

 ヴォォン♪
『□□□ □□□□□□□
 □□□  □□□□□□
 □□□□ □□□□□□
 □□□□ ①□□□□□
 □□□□□②□□□□□
 □□□□□  □□□□
 □□□□□□ □□□□』
 おれがあやつるおもち『①』が、小さな地図ちずの真んなかで止まった。

おおかみどころか……スライムの一匹いっぴきすら出てきませんわよ?」
 きつねみみがくるくるとまわり、あたりの物音ものおとさぐる。
 高貴こうきかお怪訝けげんいろが浮かぶ。

 おもちからおとは聞こえないが、ひめさんのみみがいないと言っているのだから間違まちがいない。

 ヴォォン♪
『□□□ □□□□□□□
 □□□  □□□□□□
 □□□□ □□□□□□
 □□□□ ①□□□□□
 □□□□□ □□□□□
 □□□□□  □□□□
 □□□□□□②□□□□』
 おもち『②』がはなれていく。

 おもちをあやつる火縄銃ひなわじゅうみたいなぼう――〝もちこん〟をあやつり、引きかえかえさせるひめさん。
 横穴よこあなからおもちが背中せなかを向けて、うしろ向きにもどってきた。
 クスクスわらう〝シガミー御一行様うちのれんちゅう〟のこえが聞こえる。

 あまりにもてきが居ないから、ちいさな横穴よこあな使つかい捨てシシガニャン〝おもち〟を突入とつにゅうさせてみたんだが――

「ココはてき本丸ほんまる……央都おうとで言やぁしろ大神殿だいしんでんをかこむ大壁おおかべちかくってこったろ――にゃん?」
 おかしくね?
 ガムランちかくのちいさな洞窟どうくつにすら、そこそこのかず魔物まものがいたぞ?

 カチカチッン――――♪
 おれもおもちを、引きもどした。

 ふすふすふすすすっ。
 たしかにしりを向けて、身をよじりながらもどってくるおもちは――みてると吹き出しそうになる。

「くすくふふ……い、いぜんココをとおったときには、それはそれは熾烈しれつで……死を覚悟かくごしたのは。このあたりでしたのに――」
「そうですわ、わたくしのまばたきが追いつかないほど、牙角羊きばつのひつじがひしめいていましたわっ!」
 まばたきてのは、〝見たものを両断りょうだんするおそろしいわざ〟のことだ。
 いまは狐火きつねびが出せるようになったせいで、使つかえなくなっちまってるけど。
 〝奇抜きばつひつじ〟てのは――わからん。

「ゲールくん、なにかわかる?」
 〝派手はでなニャン〟に抱きかかえられ、あしをブラブラさせる子供レイダ
 特撃型四号とくげきがたよんごう操作そうさは、五百乃大角いおのはら担当たんとう
「いや、ワレもココをとおるのはひさしぶりなので、なにもわからぬ」
 おなじく派手はでなニャンに揺られる、元魔王軍もとまおうぐん火山かざんエリアボス。
 三号こっち操作そうさは、五百乃大角いおのはら担当たんとう

 神々かみがみのなんとか言う、〝いろんなことを同時にできる・・・・・・手腕しゅわん〟をもってすれば、造作ぞうさもないらしい。
 ただ、生やしたしっぽがつながってるから……見た目がへんだけどな。

「あ、魔王軍まおうぐんのエリアボスがいるから、魔物まものがでてこないのでは?」
 ひめさんのかたわらに立つ護衛騎士ごえいきし、いつものくろ甲冑かっちゅう

魔物同士マモノドウシのつながりというのは存在ソンザイせぬから、ソレはない。魔王マオウ命令メイレイがなければ、それぞれ好き勝手カッテタタカったり食べたり食べられたりして――増えるだけだ」
 殺生せっしょうのことだな。
 曲がりなりにも元坊主もとぼうずいましめの言葉ことばあたまをよぎらんでもない。

「じゃあ、こうしていてもしょうがないですし、おくすすみましょうか」
 しろ悪魔あくま号令ごうれいで、一斉いっせいにすすんでいく。
 おもちを露払つゆはらいに使つかっても良いんだが――ゲールにかかえられた御神体いおのはらを見る。

「シガミー、いいかげん面倒めんどうだから、アンタが切り込みなさい――――ウケケケケケッ
 ジリジリとすすむのに飽きたらしい、女神めがみ一声ひとこえ

大丈夫だいじょうぶ心強こころづよ味方みかたを付けてあげるから――――ウケケケケッ
 大丈夫だいじょうぶだったためしは――いままであったか?

 ふぉん♪
『>行動ログを横断検索した結果――二件もの該当がありました』
 じゃぁ……心配しんぱいねぇぜ。
「――はイ、イオノファラーヲしンじましょ――」

   §

「じゃぁ、行くぞ。こいつら・・・・を引き連れるなら、さきにひろい場所ばしょに出ねぇと身動みうごきできなくなる――ニャン♪」
 ぽきゅぽきゅ――――ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅむ――むぎゅっ♪
 ためしにかるくグルリと、ひとまわり。

 ばたばたり、ぽぎゅむ♪
 手足てあしがからんでひっくりかえる、シシガニャンども。

 五号ごごうから十号じゅうごうまでの六匹ろっぴき
 せっかくつくったシシガニャン特撃型とくげきがた
 コイツらは素材そざいが足りなくて、まだ着ることが出来ない・・・・・・・・・

 それでも、おれのあとを付いてこさせれば、頭数あたまかずだけは増やせるから――こんなことになった。

「せーのっ――ミャ♪」
 ぽきゅぽきゅぽきゅ――――ぽきゅとたたぁぁぁん♪
 よし、金剛力パワーアシストにおかしなところはない。

 画面がめん表示ひょうじされてる、ちいさな地図じず
『蟹』――『五』『六』『七』『八』『九』『十』。
 おれのあとを、すこしおくれて――ちゃんと付いてきてる。
 よし、このまますっ飛びゃぁ、魔王城まおうじょうなんざ一瞬いっしゅんでたどり着く!

 曲がりかど反対側はんたいがわねらって、踏み込む。
 ぽっきゅぽむ♪
 かべを蹴り――うねる通路つうろさきへ飛びこむ。

 レイダやフッカが、心配しんぱいそうなかおをしてたから――ぽきゅ♪
 通路つうろはい間際まぎわに――元気げんきよくうでたたいてみせた。

 ぽきゅ、ぽきゅ、ぽきゅ、ぽきゅ、ぽきゅ、ぽきゅ――――♪
 あぁあぁ!? うるせぇ!
 いつまでもうしろのほうで、うるせぇんでやんの!

「――特撃型とくゲきがた、⑤かラ⑥マで全六体ぜんろくタい正常せいジょう追従ついジゅうしていマ――」
 わるかったな、締まらなくてよ!
 格好かっこうなんか、付けるんじゃなかったぜ。

 気を取りなおしてさきへすすむと、天井てんじょうから伸びるつららのかずが増えてきた。
 あまりうえに飛ぶとぶち当たるし、角度かくどによっちゃ突き刺さる。

「――足下あしモとにモ、注意ちゅウい――」
 わかってる!
 よーく伸びたつららのしたには、したからも細岩ほそいわが生えてて邪魔じゃまだった。

 ぽっぎゅっ――――どがぁぁぁん!
 ためしに一本いっぽん、蹴とばしてみたら――意外いがいかたくて、はじきとばされた。
 ばぎばぎばぎばぎっ――――!!
 折ることは出来できたたけど、べつのつららに突っこんじまった!

 いたくはねぇけど、あんまり振りまわされるとまた、吐きかね――――ぽっぎゅ!
 目のまえの岩壁いわかべあたまから突き刺さる――〝派手はでなニャン、目玉付きごごう〟。

 ぎょろりっ――――うへぇ、全部ぜんぶの目と、目が合っちまった。

 ぽぽきゅ――どがぁん!
 うん?
 ぽぽきゅ――どがぁん!
 ううん?
 ぽぽきゅ――どがぁん!
 うううん?

「おい、着弾ちゃくちがどんどんズレてくぞ?」
 五号めだまが目のまえ。
 六号まほうがそのおく
 七号ひとがたが、さらにおく
 かべに突き刺さる場所ばしょが、とおのいていく。

 振りかえる。
 みれば、八号しまもよう一直線いっちょくせんに――あたまから――どがぁん!。
 そして九号もじが、なにもないところ蹴飛けとばして――あたまから――どがぁん!

「まさか、蹴り飛ばすつららがねぇ・・・・・・ぶんだけ、ズレちまったのか?」
 あの空打かわうちすると、向きが変わる・・・・・・蹴りは――
「(はい、わずかな距離きょりですが積みかさなると、六体総計ろくたいそうけい――7シガミーほどの距離差きょりさが生じました)」

 やべぇ。
 そいつぁ、めんどうだぜ。
「けどこいつぁ、五百乃大角いおのはら手落ておちじゃねぇんだろ?」

 ふぉん♪
『>はい。女神も万能ではありませんので。
  オートクルーズ性能の限界を、
  シガミーが越えたとも言えます』

「じゃぁ、なにこわさなきゃ良いのか?」
 けどいまからおれぁ魔王城しろを……ぶっこわしに行くわけで。

「(いいえ。なにかをこわすときは、ズレを折り込むため0・25シガミー程度ていど、コンパクトに……ちいさく内側うちがわたおれ込むようにしてください)」
 もっと……研ぎ澄ませ・・・・・ってことか?

 ひめさんたちの視線とどかなくなって、念話ねんわ遠慮えんりょなく使つかえるようになったことだし――よぅし!

「カカッ――気合きあいを入れるかぁ!」
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