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3:ダンジョンクローラーになろう

281:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、ご神木参拝ルートけってい

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「このダンジョンに半身・・を置いていっても……平気へいきなのかしら?」
 目の絵が・・・・たくさん描かれた、かなり気持ち悪い特撃型とくげきがた強化服ししがにゃんに身を揺られているのは――
 伯爵令嬢はくりゃくれいじょうにして、魔物境界線まものきょうかいせん立役者たてやくしゃ
 われらがリカルル・リ・コントゥルは、とてもくつろいでいた。

平気ヘイキだ。半身ハンシンならスデに魔王マオウ居城キョジョウ一体イッタイ、埋めてある」
 そとにでたゲール少年しょうねんが、あたしく空けたダンジョン入りぐちを閉じる。
「へー、じゃぁさ。その一匹いっぴきが埋められてなかったら――」
 レイダは本当ほんとう余計よけいなことにばかり……良ーく気がつくな。

 ふぉん♪
『>血筋を感じますね』
 彼女かのじょ父親ちちおやは、ガムラン町冒険者ちょうぼうけんしゃギルドちょうにして希代きだいの変わりもの……アーティファクト愛好家あいこうかだ。

「――ミノタウになやまされることもなくて、おれたちじゃ太刀打たちうちちできなかったかも――にゃぁ♪――」
 おれはひさしぶりに、二号にごうを着た。
 くびのうしろに迅雷ジンライを刺しこんであるから、強化服シシガニャン機能ちから全部使ぜんぶつかえる。

 着られるシシガニャンは一匹いっぴきだけ。
 レイダとゲールの両方りょうほうを入れられないなら――「シガミーが着て、まもってあげてねん」。
 女神めがみ一言ひとことで悩みごとが解決かいけつするのは、ちょうたすかる。
 コレだけ好き放題ほうだいしてても、信頼しんらいうしなわないのは……御神体ごしんたい丸っこさ・・・・のおかげかも知れん。

 仏像ぶつぞう出来できひとつで、檀徒だんとかずは変わるからな。
 あと、食いもんかんする要らないもめごと・・・・・・・・さえ起こさなけりゃ――
 じつに優秀ゆうしゅうってのもおおきいかも。

 〝もめごとを起こされないよう、いそいで仙果せんかを手に入れる〟。
 全員ぜんいんかんがえはスグにまとまった。

「じゃぁ、コレを見てちょうだぁい♪ ゲールくんに聞いた大体だいたい方角ほうがくから、ある程度ていど予測よそくを立ててみましたぁ
 予測よそくだぁ?
 攻略本とらのまきには、載ってねぇのか?
 いくら神々かみがみ知恵ちえなんなくあやつり、御利益満載ごりやくまんさいのおおまさまでも――
 ここは万全ばんぜんを期してだな。

 ふぉん♪
『イオノ>これ見て。惑星ヒースの静止画像よ』
 わからん――にゃっ!?

 あらわれた窓枠まどわくには……地図ちずじゃなくて――とおくをちかくにする遠目とおめじゅつ
 ググググっと、どこまでもおおきくなるもり
 そのなかの、ひときわおおきなしげり。

 草地くさち中央ちゅうおうに生えた、巨大きょだいな樹。
「――みんなにコレを説明せつめいするとぉ、この世界せかいのなり立ちからぁ説明せつめいする羽目はめになるからぁー、絵に描いた地図ちずだけ見てもらうわよっ。シガミーも、この画像がぞうのことわぁだまっておくよう――」
 言えるか。そらうえには目玉めだまが有って、いまもおれたちを見てるなんて。

 ふぉふぉん♪
『仙果到達ルートA』
 つぎに画面がめんあらわれたのは――おおききな木の絵。
 それがちいさくなっていくと――左下ひだりした火山かざん
 右下みぎしたに――城壁じょうへきかこまれたガムランちょうあらわれた。

「――こっちが今居いまいところで……こっちがガムランちょうか――にゃ?――」
 えいという道筋みちすじ火山かざんから伸びていき、もりなかをぐねぐねとすすんでたどり着く。
「――これだと時間じかんが、掛かりそうだが――にゃん?――」

「そうですね、いそがないと奥方おくがたさまに「壊る・・」されてしまいますし」
 こえのしたほうを見れば、給仕服メイドが……なんてていやぁ良いのか。
 くびからこしまでが――ながれるかぜのよう。
 こしからあしまでは――凍てつくもおりのよう。
 きわめつけがあたまで――燃えさかる火弾かだんのよう。

 気持きもわるくはないが……やたらめったら魔法まほうはなってきそうで、あまり近寄ちかよりたくない。
 そんながらの〝派手はでなニャン〟に、かかえられる大人おとな
 そんなのが五匹ごひき
 それの子供こどもかかえたばん、レイダとゲールの二匹にひき
 それにおれが着た二号にごうが、一匹いっぴき

 そのうえあまった特撃型とくげきがた十号じゅうごうは、二号おれに勝手に付いてくるようにしてあるから。
 ねこ魔物まものの、結構けっこう大所帯おおじょたいになった。

 ぽきゅむ♪
 二号おれのあとを付けてくる十号じゅうごうは、ねこの……ちいせぇ生きものほうねこがらえがかれてて、とてもたたかふくには見えなかった。
 いやがらはどうでも良い。

 とにかくあまったヤツは――
 指輪ゆびわ仕舞しまった火縄棒もちコンで、兵隊代へいたいがわりにも使つかえる。
 しかも濡れず、燃えず、やぶけない。
 この布陣ふじんなら、見た目はわりぃが――ガムランちょうまるごと相手あいてにしても負ける気はしない。
 もちろん本気ほんき妖狐ようこルリーロが出てきたら――どーなるかわからんけどな。

 ふぉふぉん♪
『仙果到達ルートB』
 めくるようにして、画面がめんあらわれたのは――またおおきな木の絵。

 火山かざんから伸びる矢印やじるしは、スグに水色みずいろ太線ふとせんに突きあたった。
「――こりゃ……かわか――にゃっ?――」
 矢印やじるし太線かわながれるようにすすみ、一瞬いっしゅんでたどり着く。

「わ、スグに付いちゃったよ?」
「ウム、コレははやいな」
「これなら、そこまで日程にってい影響えいきょうしませんね」
「そうですね」「ええ、コレなら」
「じゃぁー、決定けってい! ルートBの川流かわながれ8連星れんせいコースで♪」

「ちょっとお待ちください、イオノファラーさま」
「なによ、おひめちゃん。あたくしさまが決めたルートになんか、ご不満ふまんでもおありですか? そーですか、聞きましょう

「まだ最後さいごのルートが、のこっていますが?」
 画面がめんかさなっていて、たしかにもう一枚残いちまのこってた。
「えぇー、じゃぁ一応見いちおうみておく?」
 ちなみに、この地図ちず画面がめん改良型かいりょうがた耳栓みみせんとおして、みんなの目尻めじりからうつしだされ、おなじモノが見えている。

 ふぉふぉん♪
『仙果到達ルートC』
 最後さいごあらわれたのも――もちろんおおきな木の絵。

 火山かざんから伸びる矢印やじるしは、魔王城まおうじょうがある方角ほうがく目指めざし、けわしい山岳地帯さんがくちたいを越え――魔王城まおうじょうへ消えた。

「――こりゃ、こわれてんじゃねぇーか? 消えちまったぜ――にゃっ?――」
 しばらく見ていたら、矢印やじるし目的地もくてきちたどり着いたピコポーン♪
「――魔王城まおうじょうからどーして仙木せんぼくじゃねぇ……神木しんぼくに跳んだんでぇい――にゃぁ?――」
「――わかりマせん。こノ魔王城まおうジょうかラ目的地もくてキちマでをツな点線・・かんスる情報じょうホう欠如けつジょしていマ――」

「――おい、五百乃大角いおのはら。どーなってる――にゃ?――」
「えっとねぇー? ぱらぱら、ぺらり
 結局けっきょく攻略本とらのまきだのみじゃねーか。

 ふぉん♪
『イオノ>静止衛星情報APIのバージョンが更新されてるから、
     たぶん、初版の攻略本に乗ってないパラメータがあって、
     それが抜けて点線になってると思われ』

結局けっきょくどういうコトですの、このCルートは?」
 ぽきゅぽきゅ――ひめさんが寄ってきた。
 火縄棒もちコンだと銃身じゅうしんながいからかかえられてるあいだは、とても〝派手なニャン〟を狙えない。
 まえをいく派手はでなニャンに付いていくか、ソレをはずれるときには〝人差ひとさゆび〟で〝行きたい方向ほうこう〟をゆびさす必要ひつようがある。

「(なんでも器用きようにこなすなー。おれだってまだ〝派手なのアレ〟のうごかしかたには、慣れてねぇのに)」

 ぽきゅぽきゅぽきゅ――――ぱちくり♪
 あるいてきたシシガニャンに、えがかれた目が――まばたきをした!

「「「うぉぅうぅうわっ!!!」」――にゃっ!?」
 たまたま、それを見ていた、ニゲル、エクレア、おれの三人さんにん
 あまりの衝撃しょうげきに、三匹さんびきともけた。

「なんですか、いい大人おとなそろいもそろって取りみだしたりして!」
 おれは大人おとなじゃねぇから――リオにおこられずに済んだ。
 たしかにあの目は絵で、中身なかからっぽだ。
 本当ほんとうに目が付いてるワケじゃない――けど。

「どーしたの、シガミー?」
 なみえがかれたヤツに乗って、子供こどもまで器用きように寄ってきた。
「――いや、ひめさんを乗せたヤツの目がまばたき・・・・をしたもんでな、どえらいおどろいちまっただけでぇい――っみゃ♪」

「そんなこと言ったら、シガミーのうしろにくっ付いてるのだって、まばたきしてるよ?」
 は? ねこの絵がえがかれてるけど、目は付いてないだろ?

 ぽきゅぽきゅとあるいて、対面たいめんするシシガニャン二号にごう十号じゅうごう
 目のまえに、ねこ(そういや来世らいせでは、一匹いっぴきも見たことがない)のからだ何匹なんびきえがかれたヤツが立っている。

 みてたら――ギロリ、ギロリ、ギロギロギリ!
 一瞬見開いっしゅんみひらかれたのは、かげのようなねこ縁取ふちどりりのなか
 まるで真っくろねこが、閉じていた目を開けたようで。

「ひゃぁぁぁぁぁぁあぁっ――――にゃっ!?」
 こう、なんていうか。
 ひとつのからだに目がふたつ以上付いじょうついてると、なかなか慣れるもんじゃねぇ。

「な、なんですのっ!? そんなにおどろくことは、ないじゃありませんのっ!」
「いえ、リカルルさまのではなく、シガミーのシシガニャンにも、ちいさな目がたくさん付いていたもので、それにシガミーがおどろ――」

「ソレを言ったら、この波模様なみもようも――波打なみうっていますよ」
「えーっと、火を吐く……おおかみ……じゃなくて……あれ? 文字もじが変わってる!?」
 おい、このがらなん意味いみがあるんだ!?
 気色悪きしょくわるくていけねぇやぁ!

 ふぉん♪
『イオノ>うるさいですわよ男性陣。
     ソレはありがたい魔術的迷彩なんだから、
     勝手に塗り替えたらダメだからね』
 わからん。
 そとの日のひかりで見ると、ことさら気色悪きしょくわるい!

「やれやれ、なんだかぁはながぁすすまないからぁ、ここわぁーBルートで♪」
 五百乃大角いおのはら勝手かってに、二枚目かわながれ地図ちずをえらんだ。
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