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3:ダンジョンクローラーになろう
278:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、ゲール少年
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「――翼膜ヤ虹彩の特徴ハ、99%合致してイます――」
背中の翼に蜥蜴の眼は、間違いなく火龍のソレだが。
しっぽはなくて……手足も人と変わらない。
それに、よくよく見れば、どことなく――
顔つきと燃えさかるような赤い髪が、炎を統べる龍を象っている。
「くすくす、あのボロボロの服。シガミーの部屋にあったのにそっくり♪」
レイダがそんなことを言う。
そういや服を、着てやがるぜ。
おれがこの世界に来たときにも、ボロ布を着てたから――
そういうもんなのかも、知れねぇ。
「ウヌゥ。これ以上分割すると、長くはもたぬ……」
図体のでかい少年が、大蜥蜴からおりる。
グッギャギュギュギッ――ジロジロリ!?
ボッボゥワッ――辺りを見わたす大蜥蜴の口からチロチロと、種火のような小さな炎が、見え隠れしている。
少年が床に手をつき――「ヌオワァ――――フム!」
ズゴドドドドドゴゴゴォォォォン!
ぐわらぐらわ、らららわっ!
ふたたびの地響き。
「グッギャルルルルッ――――!」
ボゴゥゴォウ、オゥワッ!
地が爆ぜ、轟く獣声。
少年の足の下から姿を現したのは、燃えさかる何か。
それはまるで地の底から、炎の化物を呼び出したかのよう。
少年は炎の四つ足に、またがっている。
「燃える蜥蜴が――増えた!?」
ドシドシンッ――炎の蜥蜴(小)が地を踏みしめる。
その音に驚いた炎の大蜥蜴が、辺りを走り始めると――グワラララッ!
またすっ転ぶ、おれたち。
ガチャガチャァァン――パリパリィィン!
「おなべがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――!?」
取り乱すな、みっともねぇ!
それ、さっきもやっただろーが!
カシャ――『(>д<)』
ヴォォォォン♪
浮かぶ球に乗って、拠点へすっ飛んでいく御神体。
ズドドッド――ドガン!
蜥蜴(大)が蜥蜴(小)にぶつかった!
グッギャォォォオオォォォォッ――――ギャギャギャガヤァオォォォオオォォオッ!!!
すぽーん――――ぺちゃりっ!
小蜥蜴の背から振り落とされたゲール少年が、ムクリと体を起こした。
「グヌゥ、コチラが研ぎ澄まされると、アチラが鈍る――やはり普通の魔物のように暴れ出すようだな」
少年の赤い髪が緑がかった茶色に、変わってる。
顔つきも人のソレで、背中の羽根もなくなり――なによりも大きさがレイダと変わらなくなった。
ドッガンバッガン――――ギュギョギュリュリュリュグググゥルル!
二匹の炎が床壁を、縦横無尽に蹂躙する。
グワラグワラグワラ――――ドゴドゴバガガァン!
壁が崩れ、地が割れる!
「長くは持たねぇって――洞窟のことかぁっ!?」
ドガン――小さな岩が、ゲール少年の脳天を直撃!
「バカ、危ねぇ! 迅雷――金剛力だ――!」
バッ――おれは跳びはねる。
金剛力を使うには、体に迅雷の機械腕を張りつけねぇといけない。
そのためには、真上に飛ぶのが一番、速ぇ。
『▲▲▲』
ブブブブッキャチャカチャキャチャ――ぱしゃん!
うしろ頭に取りついた迅雷が、細腕をおれに巻き付ける。
スタン――一足で駆けよると、コッチをみあげる少年。
「問題ない」
平気っぽい――けど、血がたらり。
「ヌゥ?」
バタリと倒れる。
平気じゃないっぽい。
「でぇぇぇぇいっ――――!!」
ガシリッ、スタタァーン♪
ガシリッ、「きゃっ!?」トトォン――――!
子供二人を抱えて、拠点へ逃げこむ!
「シガミー、はやく!」
入り口に飛びこむと、大盾を担いだエクレアが――入り口をふさいだ。
――ドゴガガァン!
「はぁーはぁーはぁー! や、やばかったぜ」
燃えさかる小せぇ方の炎は、この入り口を通り抜けられる。
中に入られなくて、助かった。
どざざざ、ズザザァ――倒レ込ムなり迅雷が、「――シガミーッ、跳んでくだサい!――」
藪から棒にどうしたぁ!?
「でぇいっ――――!?」
両手両足で上に飛んだ!
かっしゃ――チャキャチャカチャキャ――ブッツンッ!
細腕が、迅雷に巻きとられて――ヴヴヴゥーーン!
迅雷がはずれて、どっか飛んでいく。
くそう、空中で体をひねるくらいはお手の物の、この体だが。
迅雷が金剛力をはずす間は、自由がきかねぇ――
おれはレイダとゲール少年の間に、ドスンと落ちた!
「痛ってぇ!」
給仕服が――ちょうど良い長さになった銀色の棒をつかむ。
「――――ひかりのたて、ひかりのたて!」
エクレアの背に向かって放たれる、曼荼羅。
火龍の間の喧噪が遠ざかり――エクレアがそっと盾をはずす。
〝ひかりのたて〟は入り口を二重にふさぎ、熱も音もほとんど届かなくなった。
「ふぅー。これでひとまずは安心ですよ……こちらどなた?」
迅雷を空中に放し、額から血を流す少年に駆けよる――白い仮面に給仕服。
「痛くはないですか? ひとまずコレを、飲んでください」
ゲールの血ぬれの額をソッと拭いて、ポーションを飲ませてやる慈愛の化身リオレイニア。
「そいつは、ゲールだ」
「あらまぁ♪ とても、かわいらしい姿に」
「何ごとですの――!?」「大丈夫かい!?」
甲冑一式を装備した姫さんと、錆びた剣をかついできたニゲル青年。
痛む肘をさすりつつ、巨大鍋を見たらフッカと、機械腕を生やした浮かぶ球が、必死の形相で死守してた。
「(おい、鍋はひとまず仕舞っとけ!)」
迅雷――手が空いたなら、あっちを手伝ってヤッてくれ。
「――了解しまシた――」
(ドガガァン――――グォゥルルルッギゥッ)!
(ドドガガァァァン、ジタバタタァァン――――グッギャゥオゥルルルゥゥゥゥゥッ)!
ひかりのたては、向こうが透けて見える。
大きいのと小さいのの、二匹。
小蜥蜴が、ひどく大暴れしてる。
「シガミー! ゲールが男の子になっちゃったよ!?」
今のゲールは、人と変わらない。
むしろヒトよりも非力に見える。
はしゃぐ子供に抱きつかれ、青い顔をしている。
「そうだなぁ、なんでまた姿を変えたり出来るんだ?」
「エリアボスに昇格すると色々なコトが出来るようになるのだが、その中でも〝人化〟は初歩的なものだ」
ポーションがきいたのか、ゲールの顔色が良くなった。
「初歩的……それはおかしいですわ」
「なにがだい、リカルルさま?」
ニゲルも咄嗟のときには、こうして普通に話せてる。
いつもこうなら、なんとかなるかも知れねぇのに。
「今まで人の姿の魔物が確認されたのは――魔王の一体だけですわよ?」
「グヌゥ? ワレの他にも姿を変える者が居るではないか」
そう言って少年は、かたわらの少女を指さした。
「このレイダは、まだ人の幼体でアリながら、猫のような姿に変化していたであろう?」
あー、コレを説明するのには少し時間が掛かった。
§
「せめてむこうの二匹を――ひとまとめには出来ねぇか?」
「ヤッテみよう」
子供を張りつかせたままの子供が、ひかりのたて越しに手をかざすと――
スポスポン――小気味良い音。
燃えさかる蜥蜴(大)(小)二匹が、より大きな燃えさかる蜥蜴一匹になった。
グゥゥウゥゥォルルルルルルゥ――――――!?
止まったのは、ほんの数秒――――ドガドガドガドガッズゴゴゴゴゴォォォォンッ!
入り口に向かって、体当たりをしてきた。
「おれたちを、狙ってやがる!」
アレを倒しちまうわけには……いかねぇよなぁ。
「ワレの半身を倒しても、かまわぬぞ。魔力不足で、店主が言った〝ダンジョン経営〟は叶わぬコトになるが――」
「じゃぁー、ダメよっ! ミノタウ素材まわりで融通を利かせてもらう交換条件
としてぇー、〝魔法の修練所〟はないと壊る!」
巨大鍋をなんとかしまい込んだらしい御神体が、フッカの手に乗せられやってきた。
「「「「困る?」」」」
「んーん、「壊る!」よ。ルリーロちゃんがぁ「お約束ぉー破ったらぁー、火龍の寝床とこの辺一帯、まるごと壊る」って言ってた!」
壊る?
ふぉん♪
『>とても強い怨念を感じます』
リオレイニアのひかりのたてで、強固に防がれてるけど。
ずっとココに居るわけには、いかない。
「じゃぁ、どーすんだこれ?」
何より、明日には町へ向かって出発しねぇと――
クエスト失敗で、依頼者から「壊る」されかねない。
背中の翼に蜥蜴の眼は、間違いなく火龍のソレだが。
しっぽはなくて……手足も人と変わらない。
それに、よくよく見れば、どことなく――
顔つきと燃えさかるような赤い髪が、炎を統べる龍を象っている。
「くすくす、あのボロボロの服。シガミーの部屋にあったのにそっくり♪」
レイダがそんなことを言う。
そういや服を、着てやがるぜ。
おれがこの世界に来たときにも、ボロ布を着てたから――
そういうもんなのかも、知れねぇ。
「ウヌゥ。これ以上分割すると、長くはもたぬ……」
図体のでかい少年が、大蜥蜴からおりる。
グッギャギュギュギッ――ジロジロリ!?
ボッボゥワッ――辺りを見わたす大蜥蜴の口からチロチロと、種火のような小さな炎が、見え隠れしている。
少年が床に手をつき――「ヌオワァ――――フム!」
ズゴドドドドドゴゴゴォォォォン!
ぐわらぐらわ、らららわっ!
ふたたびの地響き。
「グッギャルルルルッ――――!」
ボゴゥゴォウ、オゥワッ!
地が爆ぜ、轟く獣声。
少年の足の下から姿を現したのは、燃えさかる何か。
それはまるで地の底から、炎の化物を呼び出したかのよう。
少年は炎の四つ足に、またがっている。
「燃える蜥蜴が――増えた!?」
ドシドシンッ――炎の蜥蜴(小)が地を踏みしめる。
その音に驚いた炎の大蜥蜴が、辺りを走り始めると――グワラララッ!
またすっ転ぶ、おれたち。
ガチャガチャァァン――パリパリィィン!
「おなべがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――!?」
取り乱すな、みっともねぇ!
それ、さっきもやっただろーが!
カシャ――『(>д<)』
ヴォォォォン♪
浮かぶ球に乗って、拠点へすっ飛んでいく御神体。
ズドドッド――ドガン!
蜥蜴(大)が蜥蜴(小)にぶつかった!
グッギャォォォオオォォォォッ――――ギャギャギャガヤァオォォォオオォォオッ!!!
すぽーん――――ぺちゃりっ!
小蜥蜴の背から振り落とされたゲール少年が、ムクリと体を起こした。
「グヌゥ、コチラが研ぎ澄まされると、アチラが鈍る――やはり普通の魔物のように暴れ出すようだな」
少年の赤い髪が緑がかった茶色に、変わってる。
顔つきも人のソレで、背中の羽根もなくなり――なによりも大きさがレイダと変わらなくなった。
ドッガンバッガン――――ギュギョギュリュリュリュグググゥルル!
二匹の炎が床壁を、縦横無尽に蹂躙する。
グワラグワラグワラ――――ドゴドゴバガガァン!
壁が崩れ、地が割れる!
「長くは持たねぇって――洞窟のことかぁっ!?」
ドガン――小さな岩が、ゲール少年の脳天を直撃!
「バカ、危ねぇ! 迅雷――金剛力だ――!」
バッ――おれは跳びはねる。
金剛力を使うには、体に迅雷の機械腕を張りつけねぇといけない。
そのためには、真上に飛ぶのが一番、速ぇ。
『▲▲▲』
ブブブブッキャチャカチャキャチャ――ぱしゃん!
うしろ頭に取りついた迅雷が、細腕をおれに巻き付ける。
スタン――一足で駆けよると、コッチをみあげる少年。
「問題ない」
平気っぽい――けど、血がたらり。
「ヌゥ?」
バタリと倒れる。
平気じゃないっぽい。
「でぇぇぇぇいっ――――!!」
ガシリッ、スタタァーン♪
ガシリッ、「きゃっ!?」トトォン――――!
子供二人を抱えて、拠点へ逃げこむ!
「シガミー、はやく!」
入り口に飛びこむと、大盾を担いだエクレアが――入り口をふさいだ。
――ドゴガガァン!
「はぁーはぁーはぁー! や、やばかったぜ」
燃えさかる小せぇ方の炎は、この入り口を通り抜けられる。
中に入られなくて、助かった。
どざざざ、ズザザァ――倒レ込ムなり迅雷が、「――シガミーッ、跳んでくだサい!――」
藪から棒にどうしたぁ!?
「でぇいっ――――!?」
両手両足で上に飛んだ!
かっしゃ――チャキャチャカチャキャ――ブッツンッ!
細腕が、迅雷に巻きとられて――ヴヴヴゥーーン!
迅雷がはずれて、どっか飛んでいく。
くそう、空中で体をひねるくらいはお手の物の、この体だが。
迅雷が金剛力をはずす間は、自由がきかねぇ――
おれはレイダとゲール少年の間に、ドスンと落ちた!
「痛ってぇ!」
給仕服が――ちょうど良い長さになった銀色の棒をつかむ。
「――――ひかりのたて、ひかりのたて!」
エクレアの背に向かって放たれる、曼荼羅。
火龍の間の喧噪が遠ざかり――エクレアがそっと盾をはずす。
〝ひかりのたて〟は入り口を二重にふさぎ、熱も音もほとんど届かなくなった。
「ふぅー。これでひとまずは安心ですよ……こちらどなた?」
迅雷を空中に放し、額から血を流す少年に駆けよる――白い仮面に給仕服。
「痛くはないですか? ひとまずコレを、飲んでください」
ゲールの血ぬれの額をソッと拭いて、ポーションを飲ませてやる慈愛の化身リオレイニア。
「そいつは、ゲールだ」
「あらまぁ♪ とても、かわいらしい姿に」
「何ごとですの――!?」「大丈夫かい!?」
甲冑一式を装備した姫さんと、錆びた剣をかついできたニゲル青年。
痛む肘をさすりつつ、巨大鍋を見たらフッカと、機械腕を生やした浮かぶ球が、必死の形相で死守してた。
「(おい、鍋はひとまず仕舞っとけ!)」
迅雷――手が空いたなら、あっちを手伝ってヤッてくれ。
「――了解しまシた――」
(ドガガァン――――グォゥルルルッギゥッ)!
(ドドガガァァァン、ジタバタタァァン――――グッギャゥオゥルルルゥゥゥゥゥッ)!
ひかりのたては、向こうが透けて見える。
大きいのと小さいのの、二匹。
小蜥蜴が、ひどく大暴れしてる。
「シガミー! ゲールが男の子になっちゃったよ!?」
今のゲールは、人と変わらない。
むしろヒトよりも非力に見える。
はしゃぐ子供に抱きつかれ、青い顔をしている。
「そうだなぁ、なんでまた姿を変えたり出来るんだ?」
「エリアボスに昇格すると色々なコトが出来るようになるのだが、その中でも〝人化〟は初歩的なものだ」
ポーションがきいたのか、ゲールの顔色が良くなった。
「初歩的……それはおかしいですわ」
「なにがだい、リカルルさま?」
ニゲルも咄嗟のときには、こうして普通に話せてる。
いつもこうなら、なんとかなるかも知れねぇのに。
「今まで人の姿の魔物が確認されたのは――魔王の一体だけですわよ?」
「グヌゥ? ワレの他にも姿を変える者が居るではないか」
そう言って少年は、かたわらの少女を指さした。
「このレイダは、まだ人の幼体でアリながら、猫のような姿に変化していたであろう?」
あー、コレを説明するのには少し時間が掛かった。
§
「せめてむこうの二匹を――ひとまとめには出来ねぇか?」
「ヤッテみよう」
子供を張りつかせたままの子供が、ひかりのたて越しに手をかざすと――
スポスポン――小気味良い音。
燃えさかる蜥蜴(大)(小)二匹が、より大きな燃えさかる蜥蜴一匹になった。
グゥゥウゥゥォルルルルルルゥ――――――!?
止まったのは、ほんの数秒――――ドガドガドガドガッズゴゴゴゴゴォォォォンッ!
入り口に向かって、体当たりをしてきた。
「おれたちを、狙ってやがる!」
アレを倒しちまうわけには……いかねぇよなぁ。
「ワレの半身を倒しても、かまわぬぞ。魔力不足で、店主が言った〝ダンジョン経営〟は叶わぬコトになるが――」
「じゃぁー、ダメよっ! ミノタウ素材まわりで融通を利かせてもらう交換条件
としてぇー、〝魔法の修練所〟はないと壊る!」
巨大鍋をなんとかしまい込んだらしい御神体が、フッカの手に乗せられやってきた。
「「「「困る?」」」」
「んーん、「壊る!」よ。ルリーロちゃんがぁ「お約束ぉー破ったらぁー、火龍の寝床とこの辺一帯、まるごと壊る」って言ってた!」
壊る?
ふぉん♪
『>とても強い怨念を感じます』
リオレイニアのひかりのたてで、強固に防がれてるけど。
ずっとココに居るわけには、いかない。
「じゃぁ、どーすんだこれ?」
何より、明日には町へ向かって出発しねぇと――
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