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2:カブキーフェスタへの道

210:ギルド住まいの聖女(研修中)、ニゲルVSリオレイニア(体験版)

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「ぶふーっ♪ どっ、どうしたのニゲルまで――かっ、かわいいわ、すっごく! あははっ、あはははっ♪」
 よーし、受けてるな。

「そ、そう? よろこんでもらえたなら、うれしいよ……にゃん♪」
 かおを真っ赤にして耐える、饅頭屋店主まんじゅうやてんしゅ
 そっと、木で出来でき小刀フォーク手渡てわたす。

「コレでちいさく切って、食べるのかしら?」
 そんなたのしげな狐耳リカルルの問いかけに、こくりとうなづ青年せいねん

「(おいなんだか、まんざらでもねえ気が、しないこともないんじゃねぇのか?)」
「――そウですね。リカルルの体表面温度たいひょうノんおんどなラびに言動げんドうにハ、まルで変化へンかはありませン――」
 ふぉん♪
『イオノ>少なくとも、嫌われてはないわよね』

「さ、おじょうさま――どぉーん! コチラを召しあがりくださいませ――にゃん♪」
 そこへ給仕長メイドちょうであるリオレイニアが、割ってはいった。
 うすからだつきに、ふっとばされる勇者ゆうしゃニゲルにゃん。

 カチャリ――差しだされたさかづきには、持ち手が付いてない。
「ちょっと、レーニア……ぼそぼそ……このカップ、持ち手が取れてますわよ?」
 小声こごえはなひめさん。
 こわれたさかづきを出したことを、まわりにバレないように注意ちゅういしてくれたのかもしれない。

「それはねっ、湯飲ゆのみって言ってぼくたちの故郷こきょうの、おちゃを飲むためのうつわなんだよ……にゃん♪」
 しり退かされた店主てんしゅがすかさず、反対側はんたいがわまわ説明せつめいする。

「そうなの? 面白おもしろいですわね~♪」
「そのティーカップでしたら、シガミーが使つかっているのを見たことがあります――にゃん♪」
 仕事しごととなればはじ外聞がいぶんもないのか、リオの猫の手ねこまね炸裂さくれつする。

「き、基本的きほんてきには片手かたてで持って、もしおもいときは……こうしてそこに手を添えると持ちやすくなる……にゃん♪」
 湯飲ゆのみを持ってる体裁ふりで、説明せつめいする勇者ゆうしゃ

「じろり……ニゲル店長てんちょう、そろそろお嬢様じょうさま当店とうてんのご説明せつめいなど――どぉーん! なされてはいかが――にゃん?」
 ふたたび割り込まれ、スラリとしたうすからだに、ふっとばされる店長てんちょうニゲルにゃん。

 あれ? あの二人ふたりって――仲悪なかわるかったっけ?
「――トくニ、良クもわるくもナいと認識にんシきしていましタ――」
「――バカね、アンタたちはもう。かりにもリカルルちゃんわぁ、この地をおさめる伯爵令嬢はくしゃくれいじょうにして、すべての冒険者ぼうけんしゃたちの〝かお〟でもあるわけよ。とうぜん、貧相ひんそう男性だんせい近寄ちかよろうものな――」

「そ、そうだね……?」
 たじろぐニゲル。それはそうだろう――
 言葉ことばとは裏腹うらはらに、生活魔法の達人リオレイニアが――かまえたおぼん表面ひょうめんに、文様もんようを浮かびあがらせたのだから。

『<MAGIC・SHIELD>――ピッ♪』
 画面がめんに浮かびあがるトレー輪郭フォルムと、発動はつどうした魔法まほうをあらわす文字もじ
「――魔法まほうのろいをはじく……結界けっかいが張られまシ――」

 たたたったっ――ちいさなさなテーブルを一周いっしゅう果敢かかんにも〝お嬢様リカルル〟へ、ふたたび接近せっきんするこい勇者ゆうしゃ
 神速しんそくのスキルは、使つかわないんだな。

「こちらのポイントカードにスタンプが10個溜こたまると、メイドさんたちと写真しゃしんが撮れるよ……にゃん♪」

「カード? ギルド発行はっこうものがあるでしょう? それと写真しゃしんとは、なんですのー?」
「それわぁ、あたくしさまがぁごっ説明せつめいするわぁ――ここのボタンを押すとぉ、この目玉めだまが見た風景ふうけいおー、かみに描いてくれる――っていうアーティファクトだとおもってちょうだい♪」

肖像画しょうぞうが一瞬いっしゅんえがける……ふぅん、なんだかとってもすごいアーティファクトなんですのね?」

「じゃあ、ためしに二号にごう……カラテェーくん一枚撮いちまいとってさしあげてぇん♪」
「にゃみゃみゃ!」
 はしり寄ってきた二号ジンライの手には、ちいさなはこ

 パシャリッ――――イイーィン、カシッ♪
 薄桜色さくらいろの手が、出てきた硬紙かたがみ手渡てわたす。
 あたまを撫でられた二号カラテェー(?)が、「にゃみゃぁーご♪」と鳴いた。

「こっ、これはっ――――とってもよくえがけてっ、いますわねっ♡」
 吐き出された写真しゃしんとやらには、うでを組みなかむつまじい様子ようすのリカルルとレーニア。

「これわぁとぉってもぉーになるわねぇー――カラテェーくん。これ引きのばしてかべかざっといてよっ♪」
 えらそうなことを言っているが、ニゲルが提供ていきょうしてくれた〝小さな黒板なんたら〟と〝迅雷ジンライ〟が居ないと〝あのはこ〟は使つかえない。

「いいなぁ…………」
 うらやましそうに見つめる青年ニゲルに、気づくリカルル。

「あら、なんですのニゲルったら。えっと〝写真しゃしーん〟(?)くらい一緒いっしょえがかれてあげますわよ?」
 お、やったじゃねーか。ニゲルに取っちゃ宝物たからものだ。

 パシャリッ――――イイーィン、カシッ♪
 薄桜色さくらいろの手が、その硬紙かたがみ勇者ゆうしゃニゲルに手渡てわたす。

 ソコにえがかれていたのは――――
「まったくもう、ニゲルもすみに置けませんわね。まあ、こぉーんなカワイイ姿すがたのレーニアをみたら、当然とうぜん・で・す・け・れ・どぉー?」
 なぜか、鼻高はなたかだかなひめさん。

 ちかくの椅子いすに、たおれれ込む勇者ゆうしゃ
 邪魔じゃまできたことを、良しとするメイドさん。

 ふぉん♪
『イオノ>ちょっと、シガミー。前途多難ぜんとたなんなんだけど?』
「(おれに言われても、どーにもならんだろうが)」

「――ところでニゲル、シガミー、そしてイオノファラーさま。お聞きしたいことがあるのですが?」
 あれ? 客一号リカルルの目が……わらってない。
「な、なんでしょ――うか……にゃん?」
「ん、なんでぇい……なんでございましょうか、おじょうさま――しゃらぁ」
「きゅ、きゅうにあらたまって、一体いったいなんだお

「ニゲルが、ヒ-ノモトーこくというのは――本当ほんとうですの?」
 目が……わらってない。
 こりゃ領主りょうしゅのむすめ、ガムラン代表だいひょうとしてのかおだ。
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