181 / 738
2:カブキーフェスタへの道
181:龍脈の棟梁(シガミー)、フェスタ一日目
しおりを挟む
「あれ? シガミーが二匹に増えたっ!? さっきあっちでも見たよ?」
また言われた。
「おはようニゲル」
薄桜色を着て、早二日。
「――「マ、魔物!?」のクだりがなくなっただけ、良しとしマしょう。おおムね好意的ニ受ケ入れられているようデすし――」
「そうだなー。〝1号〟はどうしてる?」
ちなみに薄桜色の腹には、大きく『2』が書かれてる。
色違いだから見分けは付くけど、念のために『印』を書いたのだ。
もともと腹と喉と鼻先が白かったから、その毛皮を染めるように色を変えたら――
見事にやり返された。
〝おにぎり強化服〟に『1』って書いたら、『2』と書き返されたのだ。
かしこくなっては居るけど――基本的には〝やり返す〟か〝真似をする〟だけだから、扱いには気をつけないといけない。
そして、ぼくが2号を着たことによって、同族意識が芽生えたのか――
ぼくに付きまとう癖が、どっか行ってくれた。
この采配は迅雷を作り使役するほどの、神々の知恵ならではで――迅雷にも考えつかなかった。
やっぱり、どんなに腐っても、五百乃大角は神なのだ。
「っぎゃっ!? ま、魔物――じゃない?」
けど結果として、〝数字〟が書かれた魔物なんか居ないってんで、外から来た観光客から「ま、魔物!?」のくだりを省くのに、一役かっている。
「いらっしゃい、ガムラン町へよーこそ♪」
親子連れに、軽く手を振った。
「「かわいいっ!」」
どがんっ――――おうわっ!
子供ふたりに飛びつかれると、痛くはねぇけど〝中〟まで揺れる。
なんせ、五百乃大角が作った〝極所作業用汎用強化服:シシガニャン(薄桜色)〟は、〝廉価版〟らしいからな。
迅雷が居るから、〝若草色〟と同じく使えるけど――多少、脆いところがある。
ふぉん♪
『▼――――<シシガニャン1号>』
「――一号はレイダといっしょにいるので、おそらくは本日の主役で有る
〝ミラノレア嬢〟の付き人にでも、かり出されていると思われます――」
「(そんな大役任せて、危なくねぇか?)」
ふぉふぉん♪
『餌を与えないでください。
強く押したり叩いたり、
魔法や呪いを掛けないでください。
※1・3倍のチカラでやり返されます。
~カブキーフェスタ事務局~』
一号の姿が映し出され、首に提げた軽くて丈夫な薄板が大写しにされた。
「(たしかに、こんだけ書いときゃ、問題ねぇかな?)」
「――はイ。万が一のテロ……辻斬りにも対応できるので……コントゥル母娘が手出しでもしない限りは良い采配かもしれませン――」
兄神さま渾身の妖狐ルリーロを退治した一号は、たぶん二号に並ぶくらいに強ぇ。
事務局には五百乃大角が完備されてるから、丸投げでい一だろ。
ちなみに、看板は若草色だけで、薄桜色には付いていない。
飛びつく子供たちを、ちぎっては頭をなで続けること、約5分。
「つ、つかれたよ♪」
ようやく開放された。
さて、そしたら今日は――何をスルかな。
おれはシガミーとして結婚式に、参加してることになってるし。
客寄せのまねごとでもしながら、猪蟹屋でも手伝わせてもらおうか。
§
「ルコル、ルコル! なんか、おいしそーな色のヤツが、来たミャ♪」
「もぎゅもぎゅもぎゅもぎゅ、ほはへ、へんへーはへほ、ははほーははんひはひひふ」
あー、来てたのか。
そりゃ、こんな面白げな催し物に、彼らが参加しないわけがない。
「うん、何言ってるかわからないし、そんなにがっつくと又お腹壊すよ?)」
最初から魔物と思われなかったのは、さすがだなと思った。
何がさすがなのかは、わからないけれども。
「んやっ? にゃみゃにゃやーゆ、にゃにゃふぎゃ!?」
あれ? ニャミカが、串揚げの先をこっちに突きつけてきたぞ?
なんて言ってるんだ?
「――「にゃ? オマエ誰にゃ、それにどーして前にも食べ過ぎたルコルが、お腹を壊したことを知ってるにゃ!?」と訝しんでいまス――」
いまは強化服2号だから、烏天狗とは気づかないか。
「にゃみゃにゃや、やーみゃにゃにゃにゃー♪」
おや、店番のネコアタマ青年まで、猫みたいな言葉を喋ってる――?
あ、猫耳族がつかう猫語か!
「ぼくだよ、烏天狗のカラテェーだよ。いらっしゃい♪」
「みゃにゃやっ――!? 中にカラテェーが入ってるミャっ!?」
「コォン――もぎゅり!?」
二人とも驚いてたけど、すぐに二号のお腹をなで始めた。
「あ、ちょっとまって! ぼくのお腹で、手を拭かないでよ!」
また言われた。
「おはようニゲル」
薄桜色を着て、早二日。
「――「マ、魔物!?」のクだりがなくなっただけ、良しとしマしょう。おおムね好意的ニ受ケ入れられているようデすし――」
「そうだなー。〝1号〟はどうしてる?」
ちなみに薄桜色の腹には、大きく『2』が書かれてる。
色違いだから見分けは付くけど、念のために『印』を書いたのだ。
もともと腹と喉と鼻先が白かったから、その毛皮を染めるように色を変えたら――
見事にやり返された。
〝おにぎり強化服〟に『1』って書いたら、『2』と書き返されたのだ。
かしこくなっては居るけど――基本的には〝やり返す〟か〝真似をする〟だけだから、扱いには気をつけないといけない。
そして、ぼくが2号を着たことによって、同族意識が芽生えたのか――
ぼくに付きまとう癖が、どっか行ってくれた。
この采配は迅雷を作り使役するほどの、神々の知恵ならではで――迅雷にも考えつかなかった。
やっぱり、どんなに腐っても、五百乃大角は神なのだ。
「っぎゃっ!? ま、魔物――じゃない?」
けど結果として、〝数字〟が書かれた魔物なんか居ないってんで、外から来た観光客から「ま、魔物!?」のくだりを省くのに、一役かっている。
「いらっしゃい、ガムラン町へよーこそ♪」
親子連れに、軽く手を振った。
「「かわいいっ!」」
どがんっ――――おうわっ!
子供ふたりに飛びつかれると、痛くはねぇけど〝中〟まで揺れる。
なんせ、五百乃大角が作った〝極所作業用汎用強化服:シシガニャン(薄桜色)〟は、〝廉価版〟らしいからな。
迅雷が居るから、〝若草色〟と同じく使えるけど――多少、脆いところがある。
ふぉん♪
『▼――――<シシガニャン1号>』
「――一号はレイダといっしょにいるので、おそらくは本日の主役で有る
〝ミラノレア嬢〟の付き人にでも、かり出されていると思われます――」
「(そんな大役任せて、危なくねぇか?)」
ふぉふぉん♪
『餌を与えないでください。
強く押したり叩いたり、
魔法や呪いを掛けないでください。
※1・3倍のチカラでやり返されます。
~カブキーフェスタ事務局~』
一号の姿が映し出され、首に提げた軽くて丈夫な薄板が大写しにされた。
「(たしかに、こんだけ書いときゃ、問題ねぇかな?)」
「――はイ。万が一のテロ……辻斬りにも対応できるので……コントゥル母娘が手出しでもしない限りは良い采配かもしれませン――」
兄神さま渾身の妖狐ルリーロを退治した一号は、たぶん二号に並ぶくらいに強ぇ。
事務局には五百乃大角が完備されてるから、丸投げでい一だろ。
ちなみに、看板は若草色だけで、薄桜色には付いていない。
飛びつく子供たちを、ちぎっては頭をなで続けること、約5分。
「つ、つかれたよ♪」
ようやく開放された。
さて、そしたら今日は――何をスルかな。
おれはシガミーとして結婚式に、参加してることになってるし。
客寄せのまねごとでもしながら、猪蟹屋でも手伝わせてもらおうか。
§
「ルコル、ルコル! なんか、おいしそーな色のヤツが、来たミャ♪」
「もぎゅもぎゅもぎゅもぎゅ、ほはへ、へんへーはへほ、ははほーははんひはひひふ」
あー、来てたのか。
そりゃ、こんな面白げな催し物に、彼らが参加しないわけがない。
「うん、何言ってるかわからないし、そんなにがっつくと又お腹壊すよ?)」
最初から魔物と思われなかったのは、さすがだなと思った。
何がさすがなのかは、わからないけれども。
「んやっ? にゃみゃにゃやーゆ、にゃにゃふぎゃ!?」
あれ? ニャミカが、串揚げの先をこっちに突きつけてきたぞ?
なんて言ってるんだ?
「――「にゃ? オマエ誰にゃ、それにどーして前にも食べ過ぎたルコルが、お腹を壊したことを知ってるにゃ!?」と訝しんでいまス――」
いまは強化服2号だから、烏天狗とは気づかないか。
「にゃみゃにゃや、やーみゃにゃにゃにゃー♪」
おや、店番のネコアタマ青年まで、猫みたいな言葉を喋ってる――?
あ、猫耳族がつかう猫語か!
「ぼくだよ、烏天狗のカラテェーだよ。いらっしゃい♪」
「みゃにゃやっ――!? 中にカラテェーが入ってるミャっ!?」
「コォン――もぎゅり!?」
二人とも驚いてたけど、すぐに二号のお腹をなで始めた。
「あ、ちょっとまって! ぼくのお腹で、手を拭かないでよ!」
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる