滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

２：カブキーフェスタへの道

１６３：龍脈の棟梁（シガミー）、女神像の謎と隠し球

「さっきいってた、驚おどろくってのは、何なんだ？」
「言っちゃったら、おどかせないでしょ？　バカなのシガミー？」
　バカは御前おまえさまだろう。
　木箱きばこのうえ。口くちを手で隠かくす御神体いおのはら。

「ふーっ！　話はなす気がないなら、それはそれで静しずかでいいや」
　とにかく戻もどったら――一気いっきにギルドを、完成かんせいさせちまわねぇとなんねぇし。
「――んむぐぅ」
　御神体いおのはらが、なにか言いそうになって、やっぱり口くちを手で隠かくした。
「――シガミー、ソレとハ別べツにイオノファラーニ確認かくニんしなけれバならない事項じコうガ、二件残にケんのこっていマす・――」
　なんだっけ？　バタバタしてて、すっかり忘わすれたぞ。

　ふぉん♪
『＞疑問点１／女神像の転移などの機能説明』
　それか！　〝転移とぶやつ〟の行き先さきとか、いまいちわからんとこがあるから聞いときたかったんだっけ。
　うまく使つかえりゃソレだけで、立派りっぱな商売しょうばいになる。
　このビードロの文字もじは、辺あたりの時間じかんを遅おそくすることは出来できなくても、一目ひとめで言ってることがわかる。
　短みじかい文ぶんならつかい所どころによっては、武器ぶきになる。

　ふぉん♪
『＞疑問点２／オノハラレンの性質についての疑問点』
　そうだった。それも聞いときたかったんだ。
　〝温厚篤実おんこうとくじつかつ一意専心いちいせんしんな人物じんぶつ〟って言ってた割わりに、国作くにつくりをほったらかして五百乃大角いおのはらに丸投まるなげってのが、どうも腑に落ちん。
　わざわざ始はじめたものを、誠実せいじつで凝り性しょうな奴やつが、ほっぽり出す道理どうりがねぇ。

「――というわけデすが、イオノファラー？・――」
　迅雷オマエがわかるなら、オマエが教おしえてくれ。
　迅雷ジンライと御神体ごしんたいの作つくりは似てて、長ながく一緒いっしょに居るだけでいろんな事ことがわかり合えるらしいからな。

　――ぽこん♪
「――ふふんっ！　とうとう、あたくしさまの出番でばんというわけですか、そうですかそーうでーすーかー♪・――」

　ビードロの中なかに、しゃしゃり出て来やがったぞ。
　黙だまってるのに飽きて、しゃべりたいのかもしれん。

「ルリーロが手ぐすね引いて待ち構かまえてるってんなら、また〝猪蟹屋んシシガニヤン〟で返かえり討ちにするだけだぞ？」
「――ちがうも……んぅんむぐっ！」
　ちっ、いまスルっと白状はくじょうしそうだったなー。
「――惜しかったでスね・――」

　　　§

「まるで天使てんしだな」
「そうよねー、これでおじさんみたいなしゃべり方かたさえ、直なおせたら」
「うーん」「うむぅ」
「央都おうとのアカデミーにでも、入れたら立派りっぱな淑女しゅくじょに――」

「だめっ！　レイダとシガミーは、ガムラン町ちょうの良心りょうしんなんだから」
「そうだな。子供二人このこらが居なくなったら……」
「たぶん、ガムラン町ちょうは三日みっかと持たずに……やさぐれる・・・・・」

「けどさ、あの・・リオレイニアがそばに居るんでしょ？」
　ずざざっ！
「……な、なんですのその、〝調教済ちょうきょうずみの猛獣もうじゅうを見るような目〟わぁっ!?」

　木箱おれたちの周まわりに、人ひとが集あつまってる気配けはい。
　他ほかにすることもねぇし、暇ひまなんだろな。
　このまま寝たふりをしとく。

　　　ＺＺＺ

「（ガムラン町ちょうじゃなくて、〝央都おうとの大女神像だいめがみぞうまえ〟に出たのは、なんでだ？」
「――そりゃガムラン町ちょうに、〝女神像めがみぞうが無かったから〟に決まってるじゃない・――」
　うん。たしかにガムラン町ちょうの女神像めがみぞうは、一式ひとそろえ、倉庫そうこにしまったままだったけど。
　目を閉じても、耳栓みみせんから五百乃大角いおのはら……梅干うめぼしみたいに小ちいさな分け身まるちかーそるの声こえが、ちゃんと聞こえる。

「――我々われわレが神域しンいきデ立ち往生おうジょうしてイた際さイ、イオノファラーとルリーロハ、急キゅうピッチデ女神像めがミぞうをヲ再建さイけんしていたのではないノですか？・――」

「――女神像の土台マザーボードに巨大きょだいなマナ宝石ほうせきをつないでも、スグ使つかえるわけじゃなーいのよ・――」
　神域しんいきの女神像めがみぞうは、お下がりの神力結晶しんりょくけっしょうをはめたら、すぐ動うごいたじゃねーか。
「――この世界せかいが終わるまでは大事だいじに使つかいたいからぁ、初期しょきフォーマットを念入ねんいりりにしーたのよん・――」
「――たシかに、量子りょうしフォーマットとＤ言語規格げんゴきかくのセッティングにハ時間じかンがかかりますネ・――」
　わからん。サッパリわからん。
　けど五百乃大角おまえ、この世界せかいが終わるまで食い道楽どうらくするつもりなのか？

「（じゃあ、ガムラン町ちょうの女神像めがみぞうは、ちゃんと建て直なおしたんだな？）」
　仮置き・・・でもなんでも、動うごいてるなら――町まちの……冒険者ぼうけんしゃの生活せいかつに支障ししょうはない。
「――はぁい、つつがなく――最さいっ強きょうの女神像を建立こんりゅうしたわっ！　ふっふぅーん♪・――」
　まてまて、〝最強さいきょうの〟って何なんだぜわぜ？

「――それは、見てからのぉー、おっ楽たのしみで――――――――ああああっ!?　隠かくし球だまだったのに、言っちゃったじゃんか！・――」
　ゴッチン――――木箱きばこからすごい音おと。
　おろそかになった御神体ほんたいが、頭あたまをぶつけた。

　カコォーン♪
　ポコォーン♪
　カキカカカッ――ン♪
　やかましい。いつまでもビードロの中なかを転ころげて、跳ね回まわるんじゃない。

「（わかった！　御前おまえさまが建てた女神像めがみぞうをみたら、ちゃんと驚おどろいてやるから）」

「――ほんとーぉ？　ほんとーに、おどろいてくれるーっ？・――」
　ああ、おれに二言にごんはねぇ。

　ふぉん♪
『――ファストとラベル中チゅう――
　――転送完了てんソうかんりょうまデ　０３：００さんプんです――』
　けっこう時間じかんをくっちまったな。
　文字もじは迅雷ジンライが、声こえに出してくれている。

「（さっさと確認はなしを済ませるぞ。央都おうとの大女神像だいめがみぞうからは、どの女神像めがみぞうにでも、飛べるんだな？」
「――はイ、飛べマす。どコでも一律いチりつ１０パケタでス・――」
「――神域しんいきに建てたイオノファラー像ぞう、以外なら・・・・だけどねー♪・――」

「（じゃあ……五百乃大角いおのはら像ぞうには、どこから飛べるんだ？）」
「――ガムラン町ちょうの超女神像ちょうめがみぞうからしか、行けないわぁ♪・――」
「（なんだよ、超ちょうってのわ！）」
　次つぎから次つぎへと不吉ふきつな言葉ことばを並ならべやがって、惡神わるがみめ。

「――〝ＤＥＭＯデモワールドで、一度だけ使える・・・・・・・キャラコンバーターを悪用あくよう……もといハッキングしたから、神域しんいきのイオノファラー像ぞうからは、央都おうととガムラン町ちょうのおっきな女神像めがみぞうに飛べるわ！　すっごい便利べんりでしょうゥフフフ♪・――」

　わからん。寝るまえにでも説明せつめーしてくれ。
「――了解りょうかいしましタ・――」

　五百乃大角いおのはらなりに色々いろいろ（大方おおかた、うまい飯めしを食うためだろうが）、頑張がんばったったのだろう。
　連絡れんらくが途絶とだええていた時ときに、そういうややこしいことをしていたんだな。

「（女神像めがみについては、最後さいごの質問しつもんだ。ガムラン超・女神像めがみぞうは――どこに飛べる？」

「――なんたって、〝大だい〟よりスゴイ〝超ちょう〟女神像めがみぞうだからぁ――すべての女神像めがみぞうに飛べるわよ♪・」
　そりゃすげぇ！

「――ただ、シガミーたちが訪おとずれたことのない女神像めがみぞうには、アクセス権けんがないから飛べないんだけどね・――」
　そりゃ、〝一度でも訪れた場所まちなら、どこにでも飛べる〟ことに変わりはない。
「（十分じゅうぶんだ。それなら、でかい商売しょうばいにもうまい珍味めしにも、いくらでもありつけるぞ！）」

「（――それ、ほんと!?　ひょっとして、あたくしさまが頑張がんばった甲斐かいあった？・――）」
「（大有おおありだ。これで城塞都市ルコルのみせにも、顔かおが出しやすくなるし――）」

「――面白おもしロくなってキましたね、シガミー・――」

　　　§

「ぐぅへへへへへっ、何なにを買って、何なにを売ってろうかぁぁ……すやぁ♪」
　神域脱出しんいきだっしゅつからの、モサモサ戦せんと宴会えんかいだ。
　疲つかれも、たまってたんだと思おもう。

「ねぇちょと……ひそひそ……天使てんしどこ行った？」
「なんでこんな悪そうな顔・・・・・して……ひそひそ……寝てやがんだシガミーは？」
「寝言ねごといってる？　……ひそ」
「グフェグフェフェってまるで、スライムーが跳ねる音おとみたいよ……ひそひそ」
　いつの間にか、寝ちまってたらしい。

「女神様めがみさまも、なんか……オカワリーって寝言言ねごといってるんだけど――くすくすくす、かわいい♪」

「まもナく～、ガムラン町ちょウ～でス。オ降りのノさいは段差だんサにゴ注意ちゅうイくだ～サい♪」