上 下
157 / 738
2:カブキーフェスタへの道

157:龍脈の棟梁(シガミー)、ギ術開発部へようこそ

しおりを挟む
「ザザザザッ――――まぁさぁかぁー、あたしのぉー魔法杖つえなかがぁー、そぉんなぁー、きり世界せかいになってるだなぁんてぇー、しらなかったんだものぉー。ごぉめぇんーねぇー♪」
 相変あいかわらず要領ようりょうを得ないけど、ルリーロてきには〝強敵きょうてきシガミー〟を最大最強さいだいさいきょう封印魔術ふういんまじゅつ一時的いちじてき拘束こうそくしたつもりだったらしい。

 ふぉん♪
『>解析はすでに終了しています。術式としては基本的なものでした。
 >真言を唱え、標的の身体感覚をハックする、
 >リカルルを撃破した際の我々と、同様の手口を試みたと思われます』

 いのちけず狐火ほのお
 布陣ならびもとのソレだったのも、なにかに関係かんけいしてるんだろうが。
 よし――五百乃大角いおのはら、呼び出しとけ。

 ふぉんふぉふぉん♪
『>FATSシステム内線#10286を呼び出しています
 >呼び出しています』

たのしそうに言うな。あと、リカルルむすめにもちゃんとあやまったんだろーな?」
 たまたま、ウチの五百乃大角いおのはらに〝女神像めがみぞうの持ち合わせ〟がなかったら、まだもどって来られなかったはずだ。
「ザザザザッ――――あー、そぉうねぇー、ごっめーんねぇー,リカルルちゃぁぁぁぁん♪ クスクス、ケッタケタケタッ♪」

「ひぃぃっ、と、とんでもございませんわ。だ、大丈夫だいじょうぶですので、お気になっさらずっ!」
 必死ひっしけんに手をまわそうともがく、ご令嬢れいじょう
 戦闘狂けんかずきもほどほどにさせねえと、火の粉が毎回まいかいコッチに降りかかるし――
 領民りょうみんのおれ……ぼくが、コントゥル家のことに口をはさむわけにはいかないけど――あとで、リオにでもさぐりを入れてみてもいいかもな。

「じゃ、ひとまずコレで手打てうちってことでいいか?」
 どうなんだ迅雷ジンライ

 ふぉん♪
『>ルリーロの所持する杖が、イオノファラーの兄が作成した、未設定ワールドへと通じていたことへの説明が欲しいですね――イオノファラーから』 
 ふぉんふぉふぉん♪
『>呼び出しています
 >呼び出しています
 >通話が出来ませんでした』

「(ちっ、出やがらねぇ。兄神あにがみさんは……あにハラーだっけ?)」
 ふぉん♪
『>〝オノハラレン〟です」

「キツイにゃ。ま、まだまだ未解決みかいけつ未解消みかいしょう問題もんだい山積やまづみですにゃ……」
「そぉうでぇすわぁー。そろそろ、ほどいていただけませんこと? もうシガミーを見ても魔物まもの見間違みまちがえませんわよぉっ――」
 やかましいな。

 ヴッ――ぱしん♪
 シュカッン、シュッカァァン!

 ばらばらら、ガチャガキィィン!
「いけねっ、錫杖しゃくじょうまで切っちまった」
 この服シシガニャンは、使つかいどころをかんがえねぇと、まずい。

 ふぉん♪
『>そうですね。女神像へのアップデートが終了次第、収納してしまいましょう』

   §

「ほんとうに、このままで良いのか?」
 給仕服きゅうじふく革鎧かわよろい
 いつもの格好かっこうもどった。

「これでいいにゃ。だって――――」
 あしを伸ばした白馬椅子はくばいすで、大女神像だいめがみぞうひざのぼる――橙布だいだいぬのつきの猫頭ミャんとか
 いま、大女神像だいめがみぞう姿勢しせいは、五百乃大角いおのはらうごかしたかたちで止まってる。
 ひざかかえるその姿すがたは、思慮深しりょぶかいようにも――ひまを持てあましているようにも見えた。

「――すべって――ヒャフォーイ♪ あそべるにゃぁー♪」
 するするするるりぃ――――っ!
 子供こどもか。
 すっげー、たのしそうだなおい。
 レイダなら一日中いちにちじゅう、やってるぞこりゃ。

 大女神像だいめがみぞう床石ゆかいしのひび割れは、迅雷ジンライとおれがなおした。

 10かいくらいすべって、気が済んだのか、〝白椅子しろいす〟を目のまえに呼びよせる〝猫頭ミャんとか〟。
 なにかに似てるとおもってたけど、このしろはこけん馬椅子うまいすはルコルの魔法杖ギルドいすにソックリだった。

 空いた女神像めがみぞうひめさんが手を掛けたとき、しゃらあしゃらした連中れんちゅうがゾロゾロと、〝大女神像だいめがみぞう〟に入ってきた。

「じゃあ別室べっしつで、はなしのつづきをしようかにゃぁ?」
 残念ざんねんそうなご令嬢れいじょうをひっぺがし、大扉おおとびらじゃない――なにもないかべのまえに立つ。
 もう良いのか? 女神像あれ中身・・をあたらしくするのは、ちゃんと終わったんだな?

 ふぉふぉん♪
『>はい
 >女神像端末#1へのアップデートはありません
  適応済み 513438/513438』

 ヴォゥォワァン♪
 おも水音おとがして、かべあなが空いた。

「コッチにゃ♪」
 しろはこにもどった乗りものに、うながされるまま乗った。

「うぉわっ!? けっこうはえぇな♪」
 ひろくはない通路つうろを、おともなくすすむ。
 そしてリカルルは、おれのあたまをうしろから執拗しつようになでるな。

「――こノ数日すうじツデ、急速きゅうそクニ打ち解けましタね――」
 よせやい。
 さっき耳栓みみせんかえしてもらったから、この迅雷ジンライこえはおれ……ぼくにしか聞こえない。

   §

 ゴガッチャリン♪
 なんだこの、にぶおと
 そしてこの、おおきさ。

 それは革袋かわぶくろで。
 おれのカラダくらい、有るんじゃねーか?

 だいに乗せてソレを持ってきてくれたのは、全身ぜんしん橙色だいだい制服ふく
 これはあれだな。
 ひめさんところにも居た、〝宛鋳符悪党アーティファクト〟をよーく調しらべたりする連中れんちゅうの――スゴイ・・・やつだ。
 なんせうえからしたまで、橙色だいだいいろだからな。

「このたびの〝身代みがわりふだ耐久試験たいきゅうテストたいする、規定きてい報酬ほうしゅう全撃破ぜんげきはボーナスです。ご確認かくにんくださいませ」
 猫頭ねこあたまでも猫耳族ねこみみぞくでもない、〝ひと〟の女性じょせいがそんなことを言って、部屋へやから出ていった。

 そして立派りっぱ長机ながつくえのむこうには、白馬椅子のりものすわった……〝猫耳族の猫頭ミャんとか〟。
 ちいさな立てふだが、つくえうえに置いてあった。
『ギ術開発部顧問/Myanilsted Grigori.』
 書きかた混ざってる・・・・・と、まだ一息ひといきには読めん。

「えっと、ギ……ミャー……?」
「――ミャニラスてッド・グリごリーでス――」
 そうだ、ミャなんたら栗石伏魚ぐりごりだ。

「〝ミャッド〟と呼んでくれると、うれしいニャ」
 だいぶみじかくなった。
「じゃぁ、ミャッド。神官しんかんたおして、なんでかねがもらえるんだ?」

てきではにゃく、味方みかたやぶれるにゃら――いのちも取られず、有効ゆうこうな対策たいさくまで安全に練ることが出来るからだにゃーっ♪」
 それにしたって、こりゃ。
 猪蟹屋みせの売り上げの、何日分なんにちぶんだ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

処理中です...