上 下
144 / 738
2:カブキーフェスタへの道

144:龍脈の棟梁(シガミー)、神域惑星ってなぁに?

しおりを挟む
 ふぉふぉん♪
『>惑星造成専用工作機械腕に接続しました』
 わからん。
「――じゃぁ、ずぅぅぅぅぅぅぅっと、うえに行くわよぉー?――」
 梅干しいおのはらが、ひらたいからだふるわせると――――ブヨブヨした足場あしばが、のぼりはじめた。

「きゃぁぁぁぁぁぁ、うきゃきゃきゃっ――――!?」
 うるせえ。跳ねるな、跳ねるな。
 かたいようなやわらかいような、不思議ふしぎな踏み心地ごこち

 おれたちは落ちる瞬間しゅんかん、やんわりと受け止められ――あしの下には〝シガミー邸別宅ていべったく程度ていどおおきさの目玉めだま
 とんでもなく気色悪きしょくわるいが、この大目玉おおめだまには――大足おおあしおなじくらいながい、くびだかうでだかが生えていた。
 そしてソレは――なんと、五百乃大角いおのはら背中せなかはこから生える――細腕かいなおなじようなものらしい。

「と、とりあえずたすかったが、ここはドコなんだ?」
 ビードロ中央ちゅうおうおどりでた梅干うめぼしさまが、おれをみあげた。
「ぎゃっ、目が合った!」
 姫さんリカルル、うるせえ。

「――ココわねぇー……ルリーロちゃんのあんをいただいて――――〝神域しんいき〟です――」
 〝神域しんいき〟か。かみ用立てた・・・・向こう側・・・・世界せかいのことだ。

 三千世界べつのせかいと言うよりは――〝そのそと〟。
 つまり、金輪こんりんでも水輪すいりんでも風輪ふうりんでもない。
「なら、このきりほしは……案外あんがい五百乃大角いおのはらが住んでた場所ばしょつくりがちかいのか?」

「――んー? なに、むずしいこと言ってくれちゃってんの? あれ、曲がんない? んぎぎぎぎっ!?――」
 五百乃大角いおのはらの目が、つり上がる。
 なんか、分け身カラダを揺さぶってるぞ?

「――ほ、本当ほんとうわぁ、βベータテストちゅうにー、ウチのバカあにつくった――なんだろ、おためし……お味見あじみ世界せかい? まぁ、そんなかんじでぇー、たいして意味いみがない場所ばしょなんでぇすぅよぉね――本来ほんらいわぁ!」
 うん? いまあにって言ったか――――ぐにゃりっ!
 梅干しいおのはらまるからだを、くの字に折りまげ――――ぐららららっ!
 大目玉おおめだま細腕ほそうで……いや太腕ふとうでが、きゅうにひんまがった!

「うぅぅぅうぅぅっぉぉぉぉぉぉゎぁぁっ――――――――!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁっ――――――――!!」
 やべぇ、おちる。
 あぶねえ――いまおれたちは、大目玉おおめだまに、いきおいよく持ち上げられてる。

 ふぉん♪
『>高度288㍍』
 一気いっきうえまでのぼってきた。
 まだ〝強い服シシガニヤン〟で耐えられるが、こんなたけところに来るのははじめてで――――とうぜん、こええぇぇぇぇっ!!!
 きりさえぎるのは・・・・・・、この大目玉《おおめだま》の姿すがただけで――ずっとしたほうに、地面じめんらしきものがはっきりと見える。

「バカ女神めがみ! それ止めろっ! 落っこっちまうだろがっ!」
「――そ、そんなこと言っても、コレ操作系そうさけいがシビアで、すっごくむずかしーんだからねっ!?――」
 おおきくからだをひねり上げる――梅干しさまいおのはら
 グルングルン、ギュゴゴォォォォォォォォッ――――!!
 上下じょうげ何度なんども入れ替わる!

「いーから、スグ止めろ!」
 〝機会きかいがあったら、たたっ切る〟って、さっきおもったけど。
 いまがそのときだ――――ヴッ――――じゃりぃぃん♪

「ぎぃぃぃぃぃぃぃゃぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――!?」
 うるせえ! ニゲルには聞かせられねえほどの大声おおごえを、出すな!

「――じゃ、シガミーが操縦そうじゅうして! (裏天狗うらてんぐ同じだから)――」
 やっと、止まった。

「んうう――――?」
 ひっくりかえりながらも、こしけんに手を延ばす――コントゥル家ご令嬢れいじょう

「なにいってやがる!? まずは迅雷ジンライなおしてくれ――アイツが居ないと、なにもわからん」
 それと、コントゥル家の人間にんげんのまえで――念話ないしょばなしはつかうな……攻撃こうげきされてるとおもって、斬りかかってくるぞ?

「――了解りょうかいっスー! じゃあ、あたくしちゃんさまぞうをあたらしくつくるから、手伝てつだってねぇん♪――」

「はぁ? ガムランちょうにあった、あの女神像めがみぞうか? そんなのいーから、まず迅雷ジンライなおせよ!」
「――だぁかぁらぁー、迅雷ジンライなおすために、女神像めがみ必要ひつようでぇー、女神像めがみぞう設置せっちわぁー天辺てっぺんじゃないと出来ませぇーん。おかわり・・・・?――」
 おかわりじゃねーよ。
 けど、このさきが見えない大足はしら登り切らない・・・・・・といけない・・・・・のは、たしからしいぞ。

 ヴヴッ――――がちゃこんっ♪
 なんだ?
 かってになんか出たぞ――――こりゃ、

「(〝魂徒労裏こんとろううら〟じゃねーか)」

 ふぉん♪
『イオノ>そうです♪』
 文字もじがビードロに出た。

 ふぉん♪
『イオノ>ぶっちゃけ、シガミーの方がコレ上手でしょ?』
 これなら姫さんリカルルを、念話ねんわ刺激しげきしないで済む。

 ふぉん♪
『イオノ>L1でカメラ切り替わるから、好きな見え方でやって♪』
襟椀えりわんだぁ?」
 手に持つと、なんかべつ光の板ビードロがでた。
 そこには、どこかの風景ふうけいうつしだされている。

 はしらしろっぽい大足おおあし)のよこに、うえから垂れさがる――つたみたいな(くろっぽい太腕ふとうで)。
 大目玉おおめだまうえにたたずむ――二人組ふたりぐみ
「をぁー? こりゃ、おれとひめさんか?」

 筋肉痛きんにくつう指先ゆびさきくらいしか、うごかせなくなったときにつくった――〝裏天狗うらてんぐ〟。
 天狗装束てんぐしょうぞく一式いっしきを、張りぼてのからだに着せて――この〝魂徒労裏こんとろううら〟でうごかすしくみ・・・
 裏天狗うらてんぐうごかすときには――裏天狗うらてんぐが見た景色けしきが、そのまま見えていた。

 じゃあコレ・・は――この大目玉おおめだまが見ている景色けしき……じゃねぇよな?
 ななめうえから、飛んでるとりが見てるような景色コレは――誰が見てる・・・・・んだ?

 ななうえのあたりを、見わたしたけど――なにも居ない。
 コレは、いまは妖術ようじゅつたぐいだとかんがえておこう。
 迅雷ジンライなおったら、いくらでもはなしを聞けるしな。

 ふぉん♪
『イオノ>左手の人差し指のボタンを、何回か押してみて』

 ――かちゃかちゃかちゃ。
 光の板ビードロうつしだされていたおれたち・・・・が消えて、べつ何か。。に切りかわった。
 今度こんど景色けしきには、邪魔じゃまものうつりこんでて、まえがよく見えない。

「なんかでけぇ……革鎧かわよろいみてぇなのが陣取じんどってて、まえがよく見えんぞ?」
 そんなのを着てるのは姫さんリカルルくらいだ――――ひざかかえる、その姿すがた
 目のまえの景色けしきと、ビードロの景色けしきかさなる。

「こりゃひょっとして――」
 錫杖しゃくじょうで、リカルルの豪華絢爛ごりっぱしりを――つついてやった。

「んっきゃぁあぁふぅんっ――――♪」
 ビードロの中の邪魔なの・・・・が、居なくなった。
 やっぱり、さっきのは――姫さんリカルルごりっぱさまか。

「シィガァミィーちゃぁぁぁぁぁぁんっ?」
 こしけんに手を掛ける、伯爵令嬢はくしゃくれいじょう

「ごめん、あまりにもデカくて、邪魔じゃまだったからついよぅ」
 スラァリッ――――!
 抜きはなたれるつるぎ

「いまのわぁー、シガミーがわるいよねぇー♪」
 ププークスクス、ゲラゲラ、ウケケケケケケケッ♪
 魔物まものじみたわらごえが、きりに消えていく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今さら、私に構わないでください

ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。 彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。 愛し合う二人の前では私は悪役。 幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。 しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……? タイトル変更しました。

よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
 初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎  って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!  何故こうなった…  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  そして死亡する原因には不可解な点が…  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

クマちゃんと森の街の冒険者とものづくり ~転生赤ちゃんクマちゃんのもふもふ溺愛スローライフ~

猫野コロ
ファンタジー
転生したもこもこは動揺を隠し、震える肉球をなめ――思わず一言呟いた。 「クマちゃん……」と。 猫のような、クマのぬいぐるみの赤ちゃんのような――とにかく愛くるしいクマちゃんと、謎の生き物クマちゃんを拾ってしまった面倒見の良い冒険者達のお話。 犬に頭をくわえられ運ばれていたクマちゃんは、かっこいい冒険者のお兄さん達に助けられ、恩返しをしたいと考えた。 冷たそうに見えるが行動は優しい、過保護な最強冒険者の青年ルークに甘やかされながら、冒険者ギルドの皆の助けになるものを作ろうと日々頑張っている。 一生懸命ではあるが、常識はあまりない。生活力は家猫くらい。 甘えっこで寂しがり屋。異世界転生だが何も覚えていないクマちゃんが、アイテム無双する日はくるのだろうか?  時々森の街で起こる不思議な事件は赤ちゃんクマちゃんが可愛い肉球で何でも解決!  最高に愛らしいクマちゃんと、癖の強い冒険者達の愛と癒しと仲良しな日常の物語。 【かんたんな説明:良い声のイケメン達と錬金系ゲームと料理と転生もふもふクマちゃんを混ぜたようなお話。クマちゃん以外は全員男性】 【物語の主成分:甘々・溺愛・愛され・日常・温泉・お料理・お菓子作り・スローライフ・ちびっこ子猫系クマちゃん・良い声・イケボ・イケメン・イケオジ・ややチート・可愛さ最強・ややコメディ・ハッピーエンド!】 《カクヨム、ノベルアップ+、なろう、ノベマ!にも掲載中です》

私をもう愛していないなら。

水垣するめ
恋愛
 その衝撃的な場面を見たのは、何気ない日の夕方だった。  空は赤く染まって、街の建物を照らしていた。  私は実家の伯爵家からの呼び出しを受けて、その帰路についている時だった。  街中を、私の夫であるアイクが歩いていた。  見知った女性と一緒に。  私の友人である、男爵家ジェーン・バーカーと。 「え?」  思わず私は声をあげた。  なぜ二人が一緒に歩いているのだろう。  二人に接点は無いはずだ。  会ったのだって、私がジェーンをお茶会で家に呼んだ時に、一度顔を合わせただけだ。  それが、何故?  ジェーンと歩くアイクは、どこかいつもよりも楽しげな表情を浮かべてながら、ジェーンと言葉を交わしていた。  結婚してから一年経って、次第に見なくなった顔だ。  私の胸の内に不安が湧いてくる。 (駄目よ。簡単に夫を疑うなんて。きっと二人はいつの間にか友人になっただけ──)  その瞬間。  二人は手を繋いで。  キスをした。 「──」  言葉にならない声が漏れた。  胸の中の不安は確かな形となって、目の前に現れた。  ──アイクは浮気していた。

異世界定食屋 八百万の日替わり定食日記 ー素人料理はじめましたー 幻想食材シリーズ

夜刀神一輝
ファンタジー
異世界定食屋 八百万 -素人料理はじめましたー   八意斗真、田舎から便利な都会に出る人が多い中、都会の生活に疲れ、田舎の定食屋をほぼただ同然で借りて生活する。     田舎の中でも端っこにある、この店、来るのは定期的に食材を注文する配達員が来ること以外人はほとんど来ない、そのはずだった。     でかい厨房で自分のご飯を作っていると、店の外に人影が?こんな田舎に人影?まさか物の怪か?と思い開けてみると、そこには人が、しかもけもみみ、コスプレじゃなく本物っぽい!?     どういう原理か知らないが、異世界の何処かの国?の端っこに俺の店は繋がっているみたいだ。     だからどうしたと、俺は引きこもり、生活をしているのだが、料理を作ると、その匂いに釣られて人が一人二人とちらほら、しょうがないから、そいつらの分も作ってやっていると、いつの間にか、料理の店と勘違いされる事に、料理人でもないので大した料理は作れないのだが・・・。     そんな主人公が時には、異世界の食材を使い、めんどくさい時はインスタント食品までが飛び交う、そんな素人料理屋、八百万、異世界人に急かされ、渋々開店!?

BL短篇集

朏猫(ミカヅキネコ)
BL
BLで全年齢の短篇集。SF(少し不思議)だったり妖(あやかし)だったり、その他いろいろ。1話完結、お好みのものをつまみ食いのようにお楽しみいただければ幸いです。他サイトからのんびり転載中。

処理中です...