滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

１：輪廻転生、おいでませガムラン町

１１３：伝説の職人（シガミー）、修繕クエスト開始

　ぜんぶの武器ぶきを選りわけて、テーブルの上うえに並ならべるだけで、３０分ぷんくらいかかってしまった。

　ふぉん♪
『一時的強化による破壊度　【極小】
　時間切れまでの最小残り時間　００：５４：０２』
　ざっと上級鑑定じょうきゅうかんていした情報じょうほうを、迅雷ジンライがまとめて見せてくれる。

　ふぉん♪
『一時的強化による破壊度　【小】
　時間切れまでの最小残り時間　００：５０：３４』

「じゃ、ココとコッチの机つくえの上うえのヤツは、そこまで良い物ものではないから、一いちか八ばちか時間じかんが来るまで置いておいてください」
　制服せいふくに着がえた冒険者ぼうけんしゃの何人なんにんかが、肩かたを落とした。

「――もし破壊されこわれたら、ガムラン町ちょうで売ってる〝魔剣まけん・居合刀イヤーイ〟と同おなじくらいの剣けんに打ちなおすよ――後あとで、暇ひまなときになっちゃうけど」
　なんか湧きあがる歓声かんせい。

　すたたた。
　ふぉん♪
『一時的強化による破壊度　【中】
　時間切れまでの最小残り時間　００：３１：５８』

「（強化きょうかが切れるってことはさ、壊こわれなくしてもさ、うーんと弱よわくなっちゃうよねぇ～？）」
　一本いっぽんの剣けんに触れる。

「――そうなりマす。でスがルコルの帽子ぼうシやバンダナの例れいもアります。油断ゆダんは禁物きんモつでス。強化きょウかは〝伝説でンせつの職人しょくにン〟スキルまかせにシて、特とクに強化きょウかするコトを意識いシきしないでくだサい――」

　ヒヤリとする金属きんぞくは、破壊ロストをまぬがれても、すぐに折れてしまいそうに感かんじる。
　刃こぼれもあるし、立派りっぱな彫刻ちょうこくもすり減ってしまっている。

　刃が付いてる武器ぶきは、修理しゅうりと同時どうじに――せめて切れ味あじが長ながく続つづくようにしてあげよう。
　剣けんがひかり、欠けた金属きんぞくが――大気中ちゅうから補充ほじゅうされる。
　魔法の神髄ひかりのすじが剣けんをつつみ、すぐに霧散したきえた。

「――効率化こうりツかのタめに〝武器修復ぶきしゅうふク〟〝研ぎ師〟〝切れ味持続あジじぞく〟を収得しゅうとくしました――」
　迅雷ジンライには、必要ひつようなスキルがあったら、勝手かってに取って良いって言ってある。

「次つぎは――」
　ゴトリ――鉄塊てっかいに触れる。
　この金槌かなづちみたいなのは、修理しゅうりと同時どうじに硬かたくなるようにスキルをつかう。

　魔法の神髄ひかりのすじはあらわれず、一瞬いっしゅんで修復しゅうふくが終わった。
　鈍にぶい鉄色てついろだった鉄塊てっかいが、磨みがいた刀身やいばか鏡かがみのように変わった。

「うわひっ、面白おもしろいなぁ♪」
「――シがミー。遊あソんでル余裕よゆウは、ありませんヨ――」
「（わかってるよ。けど、これなら、だいぶ早はやく終わるよ♪）」

　遠巻とおまきに眺ながめていた一人ひとりの冒険者ぼうけんしゃが、ドタバタと駆け寄ってきた。
「これ、俺おれのなんだよ！　コレじゃ買ったときより、ピッカピカだっ♪」
　ありがとうと言って、受付係長ウェレのもつ紙束バインダーになんかを書いて、出て行ってしまった。

「――〝自動修復じどうしゅうフく（小しょウ）付与ふヨ〟ヲ収得しゅうトくしマした。まダ半分はんぶンも終わっていませンよ？――」

　だいぶ早はやくできるようになったけど、たしかに急いそがないと、リオがシガミー邸ていに住み込むことになって、姫さんリカルルにまた恨うらまれる。

　剣剣剣剣けんけんけんけん、普通ふつうの甲冑かっちゅう、細身ほそみの剣けん、素早すばやさが上がる革鎧かわよろい、金槌かなづち、軽かるくて硬かたい盾たて、斧おの、鉄てつの根こん――この根こんは、ぼくがいつか育そだったときに是非ぜひ、使つかいたい。
　金剛力こんごうりきで使つかうなら、錫杖しゃくじょうで良いけど――迅雷ジンライ、この根こんの情報じょうほうを覚おぼえておいてよ。

「――ブクマしましタ。急いソいでクださい。もうジき夜が明けマす――」

　ふぉん♪
『一時的強化による破壊度　【大】
　時間切れまでの最小残り時間　００：２４：１３』

　つぎの机つくえは、剣けんや防具ぼうぐだけじゃなくて、布ぬのや護符ごふみたいなのも混じってた。

　ええと、この布ぬのは――身にまとウと『素早すバやさが上ガり、敵てキの攻撃こウげきを引きつケる効果こウか』があるようデす――それなら、こんな感かんじでどうかなぁ？

　ポォウ――♪
　一瞬いっしゅんひかる布ぬの。
　強化しすぎないように、スキルの使つかい方かたを、すこしだけ工夫くふうする。

　縦糸たていとには『敵てきの攻撃こうげきを引きつける効果こうか』をくっつけて、横糸よこいとには『素早すばやさを上げる効果こうか』をくっつけた。
　これなら二ふたつの効果こうかを同時どうじに掛けたわけじゃないから、ソコソコのこうかで済むんじゃないかな。
　突然とつぜんなんでか思おもいいついたから、これもひょっとしたら伝説でんせつの職人しょくにんスキルのおかげかもしれない。

　すたすたすたた。
　はぁひぃ。すこし疲つかれた。
「やっと、最後さいごの机つくえだ」

　ふぉん♪
『一時的強化による破壊度　【特大】
　時間切れまでの最小残り時間　００：１４：４３』

「――のこりハすべて一点物いっテんもの。めズらしい装備そウびや道具アイテムだけにナります。シガみーの……〝首紐くびヒも〟のよウに、固有コゆうスキルや効果こウかが付与ふヨされてイる場合ばアいにハ、そレを遵守そンしゅ、保持ほジするこトを優先ゆウせんしてくだサい――」

　迅雷ジンライが、まとめて見せてくれていた情報じょうほうが――ふぉふふふぉぉん♪
　三枚さんまいに分かれた。

「――特とクにレア度の高タかいものは、こノ三点さンてんになりマす――」

『ルードホルドの魔法杖【無限属性】
　魔法攻撃力１３００（＋７００）。全属性使用可能な魔法杖（アーティファクト）。
　追加効果／ＳＴＲ－２０／ＶＩＴー２０／ＩＮＴ＋８５
　条件効果１／【付け焼き刃】上級職人による一時的な性能強化中。
　　　　　ただし、効果が切れる際に破壊される可能性あり。
　　　　　その確率はアイテムのレア度に比例。
　　　　　【強化残り時間　００：１６：０２】
　条件効果２／【球軸術数】一日に一度、ＭＰ消費１で、
　　　　　　現存する魔法の中でも最大級の魔法を放つ事が可能。
　　　　　　魔法属性は選べるが、同じ魔法は二度と放てない。
　装備条件／ＳＴＲ２１、ＶＩＴ２１』

　伸び過ぎちゃった羊ひつじの角つのが三本さんぼん――まとめた山菜ぜんまいみたいな形かたち。
　柄つかの部分ぶぶんには、こまかな彫刻ちょうこくが彫られていて、角つのの先端さきには、いくつもの宝石ほうせきがちりばめられている。

「これは、立派りっぱな杖つえだねー。この町まちでは有名ゆうめいな杖つえなのかい？」
「はじめて見たコン」
「はじめて見たニャ」
「はじめて見ましたよぉう」
　聞いてみたけど、有名ゆうめいなものではないらしい。

「そちらは、コントゥル伯爵夫人はくしゃくふじんの持ち物ものです。ふだんは宝物庫ほうもつこに収おさめられています」

「リカルルさまの、母上ははうえかぁ――（下手へたなことをすると、下手へたなことに……なりかねないヤツだねコレは）」
　娘リカルルの窮地きゅうちに、コレでカチ込みかけるつもりだったんだな。

　姫さんリカルルが、あのまま年月としつきを重かさねた姿すがたを想像そうぞうすれば、人ひととなりは想像そうぞうがつく。
　想像そうぞうするに――離はなれて見てる分ぶんには、きっと悪わるくないんじゃないかなと。
　なんと言っても〝華はな〟がある。

　ただ、実際じっさいに手とか足あしとか魔法まほうの杖つえなんかが――〝届とどく距離きょりには〟――近ちかづきたくない。
　ヘマをして詫わびに出向でむく、なんてことになってもたまらない――慎重しんちょうにやるぞ。