滅せよ！ ジリ貧クエスト～悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番（金髪幼女）に!?～

１：輪廻転生、おいでませガムラン町

１０２：烏天狗（シガミー）、スキルおばけ再び

「（迅雷ジンライクン――あの帽子ぼうしを直なおせるスキルは、ないかな？）」
　たまごを手に入れた、ぼくたちはひとまず城塞都市となりまちへ向かっている。
　二首大鷲ふたくびおおわしたちは、散り散りに逃げていったから、もう襲おそわれる心配しんぱいはない――

「ぐすぐすん、こ、怖こわいコォン」
　帽子ぼうしの穴あなをいくらみつめても、直なおるものではない。
　風かぜになびく黒くろい狐耳みみが左右さゆうに流ながされ、しおれている。

「――〝上級じょうキゅう〟の付イたクラフト系スキルが何個なんコかあレば、一瞬いっしゅんで修復しゅうフくガ可能かノうでス――」
「（じゃあ、それたのむよ。見てられない）」
「――了解りょうかイしマした――）」

　ふぉふぉふぉぉぉん♪
『シガミー　ＬＶ：１００　☆：０
　薬草師★★★★★　／状態異常無効／生産数最大／女神に加護／七天抜刀根術免許皆伝／星間陸路開拓者
　追加スキル　／遅延回収／自動回収／即死回避／自動回復／体力増強／上級鑑定／自爆耐性／上級解体／スキル隠蔽／ＬＶ詐称／人名詐称
　――所属：シガミー御一行様』
　これはぼくが、いま持ってるスキルの一覧いちらんだ。

　ふぉん♪
『ＳＰのこり　１４６，７０７』
　なんか、もう一列いちれつでた。

「（これ、間違まちがってない……？）」
　桁けたがひとつ増えてるよね。

「――〝女神めがミに加護かご〟スキル由来ゆラいの特別とくべツクエスト達成たっせイ……ならビにパーフェクトボーナスによル加算かサん……レベルアップ時のボーナスにくわエて……ＬＶレベル１００に到達とウたつしたとキの、追加ボーナス……カタカタカタ、チーン♪　ＳＰスキルポイントの収支しゅウしに誤算ごサんありマせん――」

「（わかったよ。けどさー、これだけのＳＰスキルポイントがあったら、もう手当てあたり次第しだいにスキルを、あるだけぜんぶ取れるんじゃー？）」

「――現在げんざイ、開示かイじされテいるスキルは４００強きょウ。イオノファラーの持つ攻略本こうりゃくボんの該当がいトうページ数すウかラ、類推るいすイでキる総そウスキル数すウは……約やク１８，０００。そノうち追加ついかスキルとシて収得しゅうとくできルのは約やク１２，０００――」

「（――わかったよ。こんなにあっても、ぜんぜんたりないのか……）」
　五百乃大角いおのはらがごはんを食べるだけにしては、ちゃんとしてるんだよなぁー、この世界らいせは。

　　　§

「――収得しゅうトくシた追加つイかスキルを表示ヒょうじしマす――」
　とおくの方ほうに、建物たてものみたいなのが見えてきたころ――

　ふぉふぉふぉふぉふぉぉぉん♪
『〝防具修復〟〝高速修復〟〝上級修復〟〝頭部防具強化〟〝防具筋力強化付与〟〝防具体力強化付与〟〝防具攻撃力強化付与〟〝防具知恵強化付与〟〝防具防御力付与〟〝幸運効果付与〟〝幸運効果永続〟〝幸運効果増大〟〝幸運倍化〟〝幸運リミットブレイク〟〝強運行使〟〝防具幸運強化付与〟〝耐性強化付与〟〝耐性強化永続〟〝耐性強化〟〝耐性倍化〟〝伝説の職人〟〝不壊付与〟〝不壊永続〟』

「（おー、結構けっこうとれたなー）」
　ふぉん♪
『ＳＰのこり　１４５，３５７』
　けど、そのわりに全然ぜんぜんＳＰのこりが減ってないよね。

「――使用しよウシたＳＰスキルポイントハ１，３５０でス――」
　そうなの？　まあいいや、さっそく直なおしてあげよう。

「ねぇ、その帽子ぼうしなおせるかもしれないから、ちょっと貸してくれる？」
　キュキキキキィィィィィ――――!!
　ドッガッ――痛いって！
　鉄下駄てつげたの横向き・・・で急きゅうに止まるのは、まだ難むずしい――肩かたをシコタマ打ちつけた！

「それ、ほんと？　うそじゃないコォン!?」
　急停止きゅうていしした椅子いすを、とびおりる狐耳ルコル。
　むぎゅむぎゅむぎゅ――帽子ぼうしをグイグイと、押しつけてくる。

「うそじゃないよ、多分たぶんだいじょうぶ」
　受けとった帽子ぼうしに、スキルをつかう。
　ええっと、やり方かたは――なんでか知ってた。

　ポォウ――♪
　一瞬いっしゅんひかる帽子ぼうし。帽子ぼうしの中なかがふくらんで、開いた穴あなから魔法の神髄ひかりのすじがニュルンと生えた。
　破やぶけた境目さかいめを縫いあわせるように、光の筋それがものすごいはやさで蠢うごめく。

　帽子ぼうしの穴あながふさがれ、元もとどおりの狐耳きつねみみの形かたちの帽子ぼうしになった。

「やったコォン！　ありがとぉうコォォン♪」
　なおった帽子ぼうしを、うれしそうにあたまに乗せる。

「あれ、おかしぃコォン？」
　乗せた帽子ぼうしが、あたまから落ちた。
　ルコルの瞳ひとみがみひらかれ――チーン♪

「――おヤ、ルコラコルは〝上級鑑定じょうきゅウかんてい〟をもっているよウですね――」
　上級鑑定じょうきゅうかんていは、めずらしいスキルじゃなかったのか？
　ギルド長ちょうにリオレイニア、ぼくも入れたら知り合いだけで四人よにんも持ってる。

　鑑定かんていをつかってみる――しめしめ、ニヤリ。
　わるい顔かお……品定しなさだめをするような顔かおをして、穴あなが塞ふさがった帽子ぼうしを見た。

　――――ぽこん♪
　空中ちゅうに文字もじが書かれた板いたが、あらわれた。

『狐の帽子【くすんだ濃黄色】
　防御力６２。狐型獣人向けの頭部防具。
　伝説の職人による補強がされており、人の手で破壊される事がない。
　追加効果／ＳＴＲ＋１０／ＡＴＫ＋１０／ＶＩＴ＋１０
　／ＩＮＴ＋１０／ＤＥＦ＋１０／ＬＵＫ＋１００
　装備条件／ＳＴＲ３０』

「こんなのは、見たことも聞いたこともないコォォォォン？」
「――ルコラコルがひトりで卵たまゴをとりニ来た場合ばあイに、まタ大鷲おおわしにさらわれなイように、幸運ラッくをおおめに付与ふヨでキるスキル構成こウせいにしたのでスが――」

「えっと、なんか駄目だめだったかな？　この細こまかな数字すうじを、もっと増やせば・・・・良いのかい？」
　ルコルの口くちが、開ひらいて閉じてを繰りかえしている。
　ご不満ふまんらしい。

　迅雷ジンライクン。これじゃ足りないみたいだからさ――この数字コレ、もっと増やせる？
「――はい、可能かのうと思おもわれます。さらなる追加ついかスキル習得しゅうとくのための精査せいさに、時間じかんが必要ひつようですが――」

「――ごめんね。すこし時間じかんがかかるけど、その……三倍さんばいくらいまでなら、できる……できそうな気がするよ？」
　ぱかーん――ルコルの顎あごが落ちたまま、もとに戻もどらなくなった。