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26 あ、そっちはどうでもいいです

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「彼が魔石採掘を……そうですか。わざわざ教えて下さって、ありがとうございます」

 魔石採掘は給料が高いが、その分危険な仕事だ。掘り出す際に魔石に込められている魔力が漏れ出して、作業員はその影響を受けてしまう。
 それでも魔石採掘現場で真面目に働けば被害金額は20年ほどで完済できる。幼馴染には安全管理を徹底して、ぜひしっかりと罪を償ってもらいたい……のだが。

 侯爵家出身の、しかも前世持ちの彼に務まる仕事とは思えない。彼の気性を考えるとすぐに逃げ出してしまいそうな気がする――。


「その……大丈夫か? ソネット嬢も元婚約者として色々と思うところはあるのだろうが……捕縛前に彼との婚約は破棄されている。しかも君は事件には無関係なのだから、あまり思い悩まない方がいい」

「あ……ええ。お気遣いありがとうございます」


 彼の裁判結果に曇った私の顔色を見て。副騎士団長様がそう言ってくれた。いや、彼の心配というよりは、詐欺被害者への賠償の心配をしていたんですけどね。

 元婚約者が犯人だと気が付いてすぐ。少しでも被害額の返済に充てられるようにと思い、婚約破棄の慰謝料は受け取らなかった。

 それに愛人だか本命だか知らんけど、運命の恋人とやらに宝石なんか買われた日にはやはり被害者への返済ができなくなる。なので、あの日はもてなしてでも彼を引き止めた。
 ……それで、あんな誤解を受けるとは思わなかったけど。



 元婚約者に抱きしめられた時のことを思い出すと今でもゾッとする。




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