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5 嘘から出たまこと

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 正式な婚約は結んでいなかったけれど、付き合っているお芝居の為に頻繁にお互いの家を行き来して、パーティーの際はパートナーとして出席をして。周囲からもそう思われるように仕向けて、全てが上手くいっていた。

 周囲に二人の関係が誤解されればされるほどお母様は機嫌が良くなった。

 お母様の態度は不思議で仕方がなかったけれど、それで全てが丸く収まっていた。


 二人でこっそりと契約を結んだのが10歳くらい。


 一年。二年。三年。四年……そのままの状態が学園に入学しても続き。

 自分の中で何かが成長して段々と『ソレ』が感じ取れるようになって。


 まさに嘘から出たまこと。


 成人する頃には幼馴染のファンゲンから自分の番の気配を感じるようになった。


 嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。


 ずっと一緒に居られたのが。
 そして誰も傷つけずに済んだのが。

 ファンゲンとの付き合いを薦めてくれたのはお母様。
 だからお母様も喜んでくれると思って報告したのに――。

 まさか、こんな風に頭ごなしに反対をされるだなんて。




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