29 / 40
第三章 初級フリー討伐
29 感動! 発光スライム
しおりを挟む
来てよかった――目の前に広がる神秘的で美しい光景を見て、俺は心底そう思った。
辿り着いたダンジョンの最奥。
少し開けたその場所には、色とりどりに光り輝くスライムがいた。
赤。青。黄色。ピンク。緑。
暗い洞窟の中。
美しい光の筋を残しながら。
俺と200gのすぐ目の前で。
発光スライムがザッツさんだけを襲っていた。
「えっ! ちょっ!! なんで俺だけ!? ってか、何だ、この数っ。オータ、とにかく数を減らすぞ!」
「えっ。でも200gの前でそんな残酷な……。しかもこんなキレイなのに」
……ぽよん?(……キレイ?)
一緒に見惚れていた200gが何故か俺の言葉に反応し、俺の手の上でぽよんっと二本の突起を生やすとシャドーボクシングを始めた。ん? 攻撃態勢?
なるほど。……やっちまえってことらしい。
今さらだけど、考えてみれば同じスライムの前。
この状況で討伐はどうかと思ったが、本人(?)が気にしてないようなので、お言葉に甘えてやっちまうことにした。
200gを定位置のポケットに戻して。いざ、戦闘開始!!
――が。
まあ、あれだよね。ここ2カ月ほど魚釣りばっかしていたじゃないですか。剣とか持つの久しぶりじゃないですか。
ぶっちゃけ、勘とか鈍るよね!
ダンジョン内とはいえ討伐対象が光っている分、暗くてもすごく見やすいんだけど。ぽよんぽよんと、とにかく避ける。
それでも俺が攻撃を始めても何故か反撃をされることはなかったので、なんとか10匹ほどが討伐できた。インストラクター付きの初級講習では5匹だったから、そのときの倍。新記録だ。ちなみにその間にザッツさんは30匹ほど倒していた。
すげえ! 流石は先輩冒険者。
「はー。あらかた片付いたな。いつもは多くても10匹くらいしかいないのに。でも、今の時期は需要が多いから買取価格もすごいんだ。ツイてるぞ!」
――と、ザッツさんはホクホク顔だった。何でも、今の時期は修道女の引退コンサートで応援に使う携帯型ライトの原材料として発光スライムの需要があるらしい。
……って、アイドルか!!
「でも、こんなに運べますかね?」
「ははは。お前、何も知らねーのな。見てろ」
ザッツさんから言われるがままに眺めていると、討伐したはずの発光スライムたちが突然姿を消した。ダンジョンには飛び散った色とりどりの体液だけが光り輝いている。
「えっ!? 発光スライムが消えた! せっかく倒したのに」
「安心しろ。登録武器での討伐は、たいていがこうやって自動回収されるんだ。これで討伐報酬の他に買取報酬も入る。あとでちゃんとポイントを確認しておけよ。ちなみにお前が使っているレンタル武器もギルドで登録されているから扱いは一緒だ。マジックバッグはレアだから、大物討伐したときにコレがないと困るんだ」
「へー。便利だな」
なるほど。せっかく大きな魔物を仕留めても、持って帰る手段がないと無駄になる。そこから考え出された魔法を使ったシステムらしい。
ちなみに。前回までの魚は自動回収制度はないそうだ。魚は痛みやすいから需要と供給のバランスが難しいんだって。納得。
ぽよぉん~?
『終わった~?』とでも言いたげな200gがポケットから顔を出した。周囲を確認するとぽよん、と飛び降り、身体を丸くしてダンジョンの壁へと転がっていく。
そして。
ぽよ、ぽよ、ぽよ。
(もしゃ、もしゃ、もしゃ)
何か、壁からこそげ落として食べている。不思議に思ってよく見れば、そこだけうっすらと青く光り輝く苔のようなモノが生えていた。そして。
ぽっよ~ん。
ぴっか~ん。と200gが青色に輝きだした。
――えっ! なにコレ!?
辿り着いたダンジョンの最奥。
少し開けたその場所には、色とりどりに光り輝くスライムがいた。
赤。青。黄色。ピンク。緑。
暗い洞窟の中。
美しい光の筋を残しながら。
俺と200gのすぐ目の前で。
発光スライムがザッツさんだけを襲っていた。
「えっ! ちょっ!! なんで俺だけ!? ってか、何だ、この数っ。オータ、とにかく数を減らすぞ!」
「えっ。でも200gの前でそんな残酷な……。しかもこんなキレイなのに」
……ぽよん?(……キレイ?)
一緒に見惚れていた200gが何故か俺の言葉に反応し、俺の手の上でぽよんっと二本の突起を生やすとシャドーボクシングを始めた。ん? 攻撃態勢?
なるほど。……やっちまえってことらしい。
今さらだけど、考えてみれば同じスライムの前。
この状況で討伐はどうかと思ったが、本人(?)が気にしてないようなので、お言葉に甘えてやっちまうことにした。
200gを定位置のポケットに戻して。いざ、戦闘開始!!
――が。
まあ、あれだよね。ここ2カ月ほど魚釣りばっかしていたじゃないですか。剣とか持つの久しぶりじゃないですか。
ぶっちゃけ、勘とか鈍るよね!
ダンジョン内とはいえ討伐対象が光っている分、暗くてもすごく見やすいんだけど。ぽよんぽよんと、とにかく避ける。
それでも俺が攻撃を始めても何故か反撃をされることはなかったので、なんとか10匹ほどが討伐できた。インストラクター付きの初級講習では5匹だったから、そのときの倍。新記録だ。ちなみにその間にザッツさんは30匹ほど倒していた。
すげえ! 流石は先輩冒険者。
「はー。あらかた片付いたな。いつもは多くても10匹くらいしかいないのに。でも、今の時期は需要が多いから買取価格もすごいんだ。ツイてるぞ!」
――と、ザッツさんはホクホク顔だった。何でも、今の時期は修道女の引退コンサートで応援に使う携帯型ライトの原材料として発光スライムの需要があるらしい。
……って、アイドルか!!
「でも、こんなに運べますかね?」
「ははは。お前、何も知らねーのな。見てろ」
ザッツさんから言われるがままに眺めていると、討伐したはずの発光スライムたちが突然姿を消した。ダンジョンには飛び散った色とりどりの体液だけが光り輝いている。
「えっ!? 発光スライムが消えた! せっかく倒したのに」
「安心しろ。登録武器での討伐は、たいていがこうやって自動回収されるんだ。これで討伐報酬の他に買取報酬も入る。あとでちゃんとポイントを確認しておけよ。ちなみにお前が使っているレンタル武器もギルドで登録されているから扱いは一緒だ。マジックバッグはレアだから、大物討伐したときにコレがないと困るんだ」
「へー。便利だな」
なるほど。せっかく大きな魔物を仕留めても、持って帰る手段がないと無駄になる。そこから考え出された魔法を使ったシステムらしい。
ちなみに。前回までの魚は自動回収制度はないそうだ。魚は痛みやすいから需要と供給のバランスが難しいんだって。納得。
ぽよぉん~?
『終わった~?』とでも言いたげな200gがポケットから顔を出した。周囲を確認するとぽよん、と飛び降り、身体を丸くしてダンジョンの壁へと転がっていく。
そして。
ぽよ、ぽよ、ぽよ。
(もしゃ、もしゃ、もしゃ)
何か、壁からこそげ落として食べている。不思議に思ってよく見れば、そこだけうっすらと青く光り輝く苔のようなモノが生えていた。そして。
ぽっよ~ん。
ぴっか~ん。と200gが青色に輝きだした。
――えっ! なにコレ!?
2
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる