【完結】お前を愛することはないとも言い切れない――そう言われ続けたキープの番は本物を見限り国を出る

「お前を愛することはない」
「お前を愛することはない」
「お前を愛することはない」

 デビュタントを迎えた令嬢達との対面の後。一人一人にそう告げていく若き竜王――ヴァール。

 彼は新興国である新獣人国の国王だ。

 新獣人国で毎年行われるデビュタントを兼ねた成人の儀。貴族、平民を問わず年頃になると新獣人国の未婚の娘は集められ、国王に番の判定をしてもらう。国王の番ではないというお墨付きを貰えて、ようやく新獣人国の娘たちは成人と認められ、結婚をすることができるのだ。
 過去、国の為に人間との政略結婚を強いられてきた王族は番感知能力が弱いため、この制度が取り入れられた。
 しかし、他種族国家である新獣人国。500年を生きると言われる竜人の国王を始めとして、種族によって寿命も違うし体の成長には個人差がある。成長が遅く、判別がつかない者は特例として翌年の判別に再び回される。それが、キープの者達だ。大抵は翌年のデビュタントで判別がつくのだが――一人だけ、十年近く保留の者がいた。
 先祖返りの竜人であるリベルタ・アシュランス伯爵令嬢。
 新獣人国の成人年齢は16歳。既に25歳を過ぎているのに、リベルタはいわゆるキープのままだった。
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