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5 黒猫との生活
しおりを挟む清潔な乾いた布で洗った王子様を拭きあげてお日様で乾かせば、思っていた以上に美人な猫ちゃんだったことに驚いた。まあ、猫だから美猫……というか、オスだからこの場合イケ猫かしら?
食事は私の分を二人で分けた。量が減った分お腹は空いたけど、キレイに洗った王子様を抱っこして眠ると暖かいし、お日様のいいニオイがしてよく眠れた。二週間もすると王子様のケガはすっかり良くなった。
いたずらっ子らしく、たまに厨房に忍び込んで食べ物をくすねてきてくれたのでありがたく二人で食べた。
段々と生活のリズムが出来てきて、王子様がいる生活が当たり前になった。
頭が良い王子様は近くに人がいる時には絶対に鳴かないし、頼めばベッドの中やクローゼットの中に隠れて大人しくしていてくれる。そのお陰で義母や妹に見つかることなく楽しい毎日が過ごせていた。
そう。私は楽しかったのだ。
たまに王子様が食べ物をとってきてくれたりはするけれど、足りない一人分のご飯を二人で分ければ当然その分お腹は減る。
それでも話を聞いてくれたり相槌を打ってくれたり一緒に眠ってくれる相手のいる生活は新鮮で楽しかった。
そんな幸せな生活はある日突然終わりを迎えることになる。
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