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マリアのデビューが終わってから2年の月日が経った。双子は今年から王立の学園に入学している。邸からは若干遠いので、寮に入っている。
馬車で30分程度の距離であれば邸から通うと言っていた双子だが、1時間の距離なので父親たちがさすがに止めた。ギリギリまで嫌がった双子だが母とマリアの説得で渋々諦めた。
「マリアと離れたくなかったのねぇ」とサラはニッコニコである。マリアは双子の機嫌取りの為たくさんギューっとちゅーを強要されてちょっと大変だった。
また、王家からの婚約打診が当たり前のように来た。しかも第一、第二王子の二人分である。本人たちの意向なのか王命ではなくあくまでも打診であった。
きっぱりすっぱり断れば良いと言う双子を宥めつつマリアがまだ幼いのでという理由で保留中である。その為王子二人は今の所婚約者候補という扱いらしい。
その二人は王子教育の合間を縫って週に3回はアークロード家へ来ている。事前に知らせを寄越してくれるのでまだマシ、とはサラの言であった。
そんな中、マリアは邸にある訓練場に来ていた。ルークの魔道具を動作チェックしたりもする場所なので魔術に対する守りはだいぶ強固にできている。
なのでマリアは自分の魔術を試すのにここを選んだ。2年前の査定で魔力の高さは確認出来たが、以前の魔術が使えるかどうかの確認はまだ出来ていない。
(どうかな。治癒とか今も使えたら良いんだけど)
マリアは自分の左腕を眺めた。そこには細い金鎖のブレスレッドが光を反射してキラリと光っている。
幼い内から高魔力を誇るマリアを心配して、ルークが王宮の魔術師たちと話し合いながら作った魔道具である。
年齢を重ねて体内の魔力巡回が安定するまで外すことが出来なくなっている。今のマリアは同年代の平均よりほんの少し高いだけの魔力しか扱えない。
これを付けるまでは精神も不安定だし、すぐ熱を出す虚弱体質であったので正直助かったとマリアは思う。おかげで今や健康そのもの。身長が断然低いのはもう遺伝だと思ってそこは諦めている。
(ま、まぁそもそも低かったし)
転生前のマリアも周りの誰よりも小柄であったのでそこは気にしてはいけないと思っている。どうせならスラッとした美人になりなかったとちょっとだけ思ってはいるが。
深呼吸をして目を閉じる。そして転生前の感覚を思い出していく。デビューのあの日見付けた仔狼に魔力を与えた時に似た感覚である暖かな光。
ふぅ、と安堵のため息を一つ。どうやら治癒は今も問題なく使えるようだ。魔力を抑えている現状では初期魔術くらいしか使えないだろうが、安定さえすれば問題はない。
ふ、と仔狼を思い出す。結局あの子は王宮で飼育される事になった。はぐれ銀狼かも知れないとの事で、もしかしたら親が迎えにくるかも知れないらしい。
幻獣の成体ともなれば何もしていなくても魔力が漏れているという説があるらしいので、万が一それが真実だった場合にそばにいるマリアが危険との事で一番厳重に対策されている王宮で保護されるらしい。
王妃様とのお茶会のついでにマリアは仔狼に会いに行っていた。そしてついこの間、朝気付いたら居なくなっていたとの事。魔力の残照などを調査した結果親が迎えに来て連れて行ったのだろうという結論に至った。
親銀狼に会ってみたかった、と思ったのはマリアの秘密である。
馬車で30分程度の距離であれば邸から通うと言っていた双子だが、1時間の距離なので父親たちがさすがに止めた。ギリギリまで嫌がった双子だが母とマリアの説得で渋々諦めた。
「マリアと離れたくなかったのねぇ」とサラはニッコニコである。マリアは双子の機嫌取りの為たくさんギューっとちゅーを強要されてちょっと大変だった。
また、王家からの婚約打診が当たり前のように来た。しかも第一、第二王子の二人分である。本人たちの意向なのか王命ではなくあくまでも打診であった。
きっぱりすっぱり断れば良いと言う双子を宥めつつマリアがまだ幼いのでという理由で保留中である。その為王子二人は今の所婚約者候補という扱いらしい。
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なのでマリアは自分の魔術を試すのにここを選んだ。2年前の査定で魔力の高さは確認出来たが、以前の魔術が使えるかどうかの確認はまだ出来ていない。
(どうかな。治癒とか今も使えたら良いんだけど)
マリアは自分の左腕を眺めた。そこには細い金鎖のブレスレッドが光を反射してキラリと光っている。
幼い内から高魔力を誇るマリアを心配して、ルークが王宮の魔術師たちと話し合いながら作った魔道具である。
年齢を重ねて体内の魔力巡回が安定するまで外すことが出来なくなっている。今のマリアは同年代の平均よりほんの少し高いだけの魔力しか扱えない。
これを付けるまでは精神も不安定だし、すぐ熱を出す虚弱体質であったので正直助かったとマリアは思う。おかげで今や健康そのもの。身長が断然低いのはもう遺伝だと思ってそこは諦めている。
(ま、まぁそもそも低かったし)
転生前のマリアも周りの誰よりも小柄であったのでそこは気にしてはいけないと思っている。どうせならスラッとした美人になりなかったとちょっとだけ思ってはいるが。
深呼吸をして目を閉じる。そして転生前の感覚を思い出していく。デビューのあの日見付けた仔狼に魔力を与えた時に似た感覚である暖かな光。
ふぅ、と安堵のため息を一つ。どうやら治癒は今も問題なく使えるようだ。魔力を抑えている現状では初期魔術くらいしか使えないだろうが、安定さえすれば問題はない。
ふ、と仔狼を思い出す。結局あの子は王宮で飼育される事になった。はぐれ銀狼かも知れないとの事で、もしかしたら親が迎えにくるかも知れないらしい。
幻獣の成体ともなれば何もしていなくても魔力が漏れているという説があるらしいので、万が一それが真実だった場合にそばにいるマリアが危険との事で一番厳重に対策されている王宮で保護されるらしい。
王妃様とのお茶会のついでにマリアは仔狼に会いに行っていた。そしてついこの間、朝気付いたら居なくなっていたとの事。魔力の残照などを調査した結果親が迎えに来て連れて行ったのだろうという結論に至った。
親銀狼に会ってみたかった、と思ったのはマリアの秘密である。
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