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いい加減待てなくなったアルフレッドにぺりりと剥がされた三人は会場に繋がる扉の前で王子二人と別れた。王族として入場しなければならない為である。
その時の離れがたい雰囲気を醸し出しながらマリアを振り返りつつ離れていく王子たちを見て色々な事を悟った双子はお互いの顔を見合わせてため息をつく。
「ほら見ろやっぱりハマった」とでも言うように肩をすくめてみせるとマリアの肩を優しく抱いて会場の中へ誘導する。
「マリア、甘いものまだ食べ足りないだろう?」
「美味しそうなマカロンもあったぞ」
「本当に?マカロン大好き!イチゴ!」
天界で甘いものと言えば果物とそれを使った果実水くらいだったので、マリアは地上界に生まれてお菓子が大好きになっていた。特にマカロンは色味も豊富で目にも楽しくマリアは大好きだ。
さきほど座っていたテーブルに戻ってアベルが取りに行ったマカロンをワクワクしながら待っていると、目の前に果実水を置いたカインに微笑みかけられた。
「マリア、冒険は楽しかったかい?」
「え、」
「ふふ、僕たちが友達と話せるように離れたんじゃないの?」
「カイン兄様、分かってたの?」
「最初は分かってなかった。でも途中で気づいた」
マリアが席を外して少ししてから、双子のテーブルによく王宮で話す子息たちが遠慮がちに近づいてきた。マリアが居ればそれほど相手にしようとは思っていなかったが、今は別に良いかと話しをしていた時。
『もっと早くに話しかけたかったんだけど、妹さんが居ただろう?遠慮してたんだ』
そう言われて、そういえばと思い出す。女性と共に居る時は他の男に話しかけないようにするという事。その女性を見初められたり、逆に女性が相手を見初めてしまったりしては困る時なんかはそうする。
それを気にしない時は女性と共に居る方が話しかければ良いのだが、双子はマリアを見初められたくないので自分たちから話しかけはしなかった。
(もしかしてマリアは)
双子が友人と話しやすくなるようにワザと離れたのでは?そう考えるも、だが5歳の女の子がそこまで気を使えるのかどうか?
答えは『可』である。マリアならそれが出来る。双子はそれを信じられてしまう。あの優しく聡明な天使はきっとそれが出来るのだと。
それを指摘されてマリアは悪戯が見つかった時のような居心地の悪さを感じていた。確かに気を使ったがそれに関して感謝されたいわけではなかったからだ。
でもやっぱり「ありがとう」なんて微笑まれると嬉しい。マリアは頬を染めて恥ずかしそうに俯いてしまった。
その愛らしい仕草にカインが内心悶えている事など気付くわけもなく、そんな甘い空気に包まれながらアベルが戻るのを待っていた。
やがて戻ったアベルも交えて美味しい菓子に舌鼓を打っていたマリアの耳に軽やかな音色が届いた。とうとう王族の入場である。
その時の離れがたい雰囲気を醸し出しながらマリアを振り返りつつ離れていく王子たちを見て色々な事を悟った双子はお互いの顔を見合わせてため息をつく。
「ほら見ろやっぱりハマった」とでも言うように肩をすくめてみせるとマリアの肩を優しく抱いて会場の中へ誘導する。
「マリア、甘いものまだ食べ足りないだろう?」
「美味しそうなマカロンもあったぞ」
「本当に?マカロン大好き!イチゴ!」
天界で甘いものと言えば果物とそれを使った果実水くらいだったので、マリアは地上界に生まれてお菓子が大好きになっていた。特にマカロンは色味も豊富で目にも楽しくマリアは大好きだ。
さきほど座っていたテーブルに戻ってアベルが取りに行ったマカロンをワクワクしながら待っていると、目の前に果実水を置いたカインに微笑みかけられた。
「マリア、冒険は楽しかったかい?」
「え、」
「ふふ、僕たちが友達と話せるように離れたんじゃないの?」
「カイン兄様、分かってたの?」
「最初は分かってなかった。でも途中で気づいた」
マリアが席を外して少ししてから、双子のテーブルによく王宮で話す子息たちが遠慮がちに近づいてきた。マリアが居ればそれほど相手にしようとは思っていなかったが、今は別に良いかと話しをしていた時。
『もっと早くに話しかけたかったんだけど、妹さんが居ただろう?遠慮してたんだ』
そう言われて、そういえばと思い出す。女性と共に居る時は他の男に話しかけないようにするという事。その女性を見初められたり、逆に女性が相手を見初めてしまったりしては困る時なんかはそうする。
それを気にしない時は女性と共に居る方が話しかければ良いのだが、双子はマリアを見初められたくないので自分たちから話しかけはしなかった。
(もしかしてマリアは)
双子が友人と話しやすくなるようにワザと離れたのでは?そう考えるも、だが5歳の女の子がそこまで気を使えるのかどうか?
答えは『可』である。マリアならそれが出来る。双子はそれを信じられてしまう。あの優しく聡明な天使はきっとそれが出来るのだと。
それを指摘されてマリアは悪戯が見つかった時のような居心地の悪さを感じていた。確かに気を使ったがそれに関して感謝されたいわけではなかったからだ。
でもやっぱり「ありがとう」なんて微笑まれると嬉しい。マリアは頬を染めて恥ずかしそうに俯いてしまった。
その愛らしい仕草にカインが内心悶えている事など気付くわけもなく、そんな甘い空気に包まれながらアベルが戻るのを待っていた。
やがて戻ったアベルも交えて美味しい菓子に舌鼓を打っていたマリアの耳に軽やかな音色が届いた。とうとう王族の入場である。
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