目覚めたら天使でした。

momo

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 産まれたのは真っ白で、ふくふくで、それはそれは可愛らしい女の子。
母であるサラに似た薄桃色の混じった淡い金髪に空を移した湖のように透き通った水色の瞳。
ルークは女神が天使を産んだんだと真剣な顔で豪語しているし、双子も天使は本当に居たのだと確信した。
だってこんなに可愛らしい子がただの人間の筈がない。
それにサラは相変わらずコロコロと楽しそうに笑っていたのだが、兎にも角にも希少な女児誕生にアークロード家はお祭り騒ぎ。しかし同時に危惧する事もあった。
何せ女性は貴重な存在。しかもこれほど可愛らしいとあっては攫われてしまうかも知れない。親ばかのようだが、実際にそういう事件も起きている為笑い話には出来ないのである。

女児の居ない家はこぞってどうにか息子に嫁を探してやらねばならない。後継者問題があるからだ。ここで通常であれば息子を選んで貰えるような男に教育するものなのだが・・・。
中にはやはりと言うべきか、手段を選ばない輩も存在する。手っ取り早く嫁を手に入れようとする輩だ。
夫婦は娘の名前を考えると同時にその対策も考える必要がある。双子の兄たちを鍛える事も視野に入れるつもりだ。

「名前はね、実はもう決まってるのよ」

フワフワした笑顔でサラは言う。ルークは軽く瞠目した。少なくとも出産前はそんな事は言っていなかった筈だ。いつの間に決めたのか?そう聞くとやはりフワフワにこにこ笑いながらサラは事も無げに答えた。

「うふふ。夢でね、この子に会ったの」

この子、とご機嫌な娘に頬ずりしながら尚も続ける。

「『お母様初めまして』ってご挨拶してくれたの。とっても可愛らしい女の子だったわ。楽しみねぇ」
「確かにこの子だったのかい?」
「ええ勿論。間違えるはずないわ。確かにこの子よ」

俄には信じ難かったがルークはそれでも信じる事にした。にこにこした妻がとっても可愛かったので。

「この子が名前を教えてくれたの?」
「そうなの。『マリアリールです』って!だからこの子の名前はマリアリールよ」

その名をルークも復唱してみると存外しっくりと馴染むような気がした。本当にこの子の名前なのかも知れない。
名前が決まれば次にする事は戸籍登録だ。これは名前以外に魔法のある世界ならではの測定が必要になる。それが『属性測定』だ。
産まれながらに持っている魔力の属性を調べて名前と共に登録する。その為に専門の魔術師に測定依頼をしなければならない。
ルークはさっそく手配する為に部屋を飛び出した。因みにこの間、双子は愛らしくキャッキャと笑う妹に夢中だった。
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