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学校に行こう。
しおりを挟む退院からしばらくして、ふと、思い立った。
あ、先生に謝んなきゃ…
そう、私は学校の階段で首を吊ったんだ。
正直覚えてないけど、友達や他の先生を巻き込んだ可能性だってある。
なにより、第1発見者となってしまった担任の高田先生…
私は高田先生にメールを打つことにした。
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お久しぶりです。
先日は多大なご迷惑をお掛けして、本当にすみませんでした。
学校関係の他の方にも迷惑をかけてしまったと思います。
これからはまともに生きようと思います。
来週あたりから、また登校してもいいですか。
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まともに生きようと思います。
自分で打ったのに、とても変な感じがした。
まともに生きるってなんだろう。
私、まともになんて生きられるのかな。
そんなことを考えていたら、高田先生から返信が来た。
--------------------
このメールを、ずっとずっと待っていたよ。
本当に無事でよかった。
学校には、いつでもおいで。
気後れすることなんてない。
--------------------
なんていい先生なんだろう。
私は登校を再開することにした。
久々に登校した日、友達も、先生も、私のことを受け入れてくれた。
何事も無かったかのように普通に。
それがとても嬉しかった。
私は、少しずつ勉強を再開した。
理由なんてない。
ただ、失ったものを取り戻すように。
莫大な時間を埋めるように。
自分で壊した日常を、やっと取り戻した。
自殺未遂なんてもうしない、そう心に決めていた。
模試を解いたり、友達と駅の近くのショッピングモールに遊びに行ったり。
本当に他愛のない事が幸せだった。
それからしばらくはとても平和だった。
体力も順調に回復し、薬も減っていった。
勉強も出来るようになってきた。
だから。
夢ができた。
超名門大学に進学すること。
私は、また勉強がしたくなったのだ。
大丈夫、もう同じ過ちは繰り返さない。
それから私は、朝一番に学校に登校し、夜遅くまで勉強した。
楽しかった。
一日の勉強を終えたあとの爽快感というか、達成感というか。
それがたまらなく好きだから。
周りからは、無理しすぎないでね、って言われた。
でも、私には無理をするって概念がそもそも無いのだ。
楽しいからやってるだけだよ、大丈夫だよ、と答えた。
毎日がまた輝き出した。
目標あるって、楽しい。
人生って、美しい。
私はまた、足を突っ込んでしまった。
まるで、麻薬みたい。
どんなに嫌な思いをしても、離れられないの。
プライドと達成感だけに突き動かされて、私の人生はまた回り出した。
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