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第一章・夢はゲームで叶えよう花梨と芽衣と小百合の冒険譚

*四十七・一難去って再び一難

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 萌衣も戦斧も花梨も自身の大切なものを守る為に絶対に負けられない!

 戦斧は斧を振るうたぶに得体のしれない何かしらの力を、意識的に自身の身体に馴染ませる。戦斧自身の魔力の核を削りながら。
 この勝負に勝てるのなら、後はどうなっても構いやしない。新しく手にした日常ーーいや、瑠璃を守れるのなら。

 戦斧は全力で斧を降ったーー
 リヴァイの振り下ろした巨大な爪を弾き、その腹へクリティカルヒット。
 戦斧はリヴァイの意識を奪うことに成功した。

 萌衣も全力だ。血の力を全解放する。自身の萌えや花梨を守る為に。
 火力が足りないと判断した萌衣は百合真夢剛竜剣を元の形状に戻して、全力で振るったーー
 萌衣はソフィアの意識を奪うことに成功する。

 花梨も全力だ。西尾お兄ちゃんの為にも戦斧や萌衣ちゃんの為にもーー絶対に負けられない!
 花梨は魔力の大剣を全力で振るった。
 花梨はリゼの意識を奪う事に成功する。

 戦斧は安堵あんどの息をもらす。 

「ーー勝つには勝ったが……」

 戦斧の何かしら含んだ表情と声を瑠璃が不思議に思う

「戦斧さんどうしたんですか? 戦斧さんも勝って、皆を守ったんですよ。もっと嬉しそうにしたらいいんじゃないですか」

「まあ……なんでもねぇ~よ」

 覚悟はしていたが、やっぱり魔力を失うと寂しいものがあるな。金はあるが生活にも不自由しそうだ。まあ仕方ねぇーか。

 萌衣と瑠璃と夕維とレレはその表情の理由をさっすることは無理だが、花梨と小春は違った。

 花梨はまさかとは……思う。
 ……西尾お兄ちゃんが魔力の核を分け与えられるのなら、もしかして小春ちゃんも? 駄目……そんなの絶対駄目。

「……小春ちゃん。寿命を削るような真似はしたら駄目だよ」

「……そうしないと西尾先輩が」

「それはそうなんだけど、可能ならわたしの月属性の核を戦斧さんに分けてやるんだけどさぁ。いやまるごとあげてもいい」

 花梨と小春の会話はその本人にしか理解が出来る訳がなかったが、他の人達も最後のところだけはなんとなく理解が出来る。恐らく戦斧が魔力を失ったことも、完全に理解の範囲を越えていたが。

 瑠璃は、戦斧を助けたいがどうすることも出来ない。

 萌衣は実の妹から魔力の核を譲り受けたその方法と感覚は鮮明に覚えている。だけどーー

「花梨あのさぁ。もしかしたらボクなら、花梨の月属性の魔力の核を分け与えることが出来るかもしれない……花梨は魔力の核を失うけど……やっぱりそんなのーー」

「問題ないよ」

 萌衣は一瞬、言葉を失う。

「……即答? 花梨……魔力を失うんだよ。その意味分かるよね?」

「分かるけど、どうしたの萌衣ちゃん?」

「……違う、分かってない。花梨が唯一持っている魔力を失う意味を」

 戦斧が続く。

「萌衣の言う通りだ。魔力がないままこの世界で生きるなんて、自身の手足を失うようなもんだぞ。だから俺はいらねぇ」

 花梨が反論する。

「それは、この世界の魔力を持たない小春ちゃんに失礼じゃないかな? 魔力がなくても、わたしならほとんど不便じゃないよ。それに小春ちゃんは強いじゃん。ほとんど化物か怪獣なみだよ」

「いや、花梨ちゃん。花梨ちゃんの方が失礼だよ。わたしは化物や怪獣とは違うからね」

 ーーそのあとリゼとリヴァイとソフィアは意識を取り戻し事情を知って、皆へあやまった。
 夕維ーードドとレレは恐らく原因はミミにありそうだと思ったが口に出すことは出来なかった。色んな意味で怖いからだ。

 *

 数日後。
 戦斧は魔力がなくとも生きていくだけなら、なんとかなると思っていたが、今はちからを求めていた。
 瑠璃を救う為に。

 瑠璃は拐われた。
 戦斧をが魔力を失ってしまった戦斧は、戦斧を恨む、もしくは良く思わない者逹からしたら絶好の機会。瑠璃は最高の餌。

 戦斧は、瑠璃は関係ないと叫んだがどうにもならなかった。
 戦斧は力をほっした。 
 戦斧は土下座をしている。これでもかというぐらいに地面に頭をこすり付けて。

「花梨! もし数日前に言った魔力がなくてもまったく問題ない、その言葉がなら魔力の核を分けて欲しい……」

 芽衣の表情は良くない。

「今さら何を? もし魔力の核を分けた場合、花梨は魔力の核を失う可能性が高いんだよ。その意味分かるよね」 

「それは分かるが、どうしても今の俺には……金なら可能な限りやる! いや全財産あげてもいい……」
 戦斧は一息置いて腰の袋から黒い首輪を出す。
「なんならこの花梨がこの首輪をはめて
、俺は花梨の奴隷になってもいい……」

 芽衣の表情に変化はない。

「ボクは理由が聞きたいなぁ~」

 その理由を言えば、花梨や芽衣自身が動く可能性がある。瑠璃を傷付けない為にはーーその場へ、戦斧自身が独りで来る要求があった。
 戦斧は答えられない。
 けどミミは黙っていられなかった。

「実は瑠璃が拐われてしまったのです……だから、その……わたしからもお願いしたいのです」

「なんだそうだったんだ。それならそうと早く言ってよ。わたしならOKだよ。いいよ全然問題ないよ」

 芽衣の顔色が明らかに変わる。

「花梨っ! 花梨は本当にいいの! そんなのボク達が助け出せばいいだけの話じゃないか。ボクは反対だ!」

「いやここは、戦斧さんが助け出した方が価値が高いはずだよ。たぶん戦斧さんが一人で行った方が一番安全だと思うし。そういう要求なんでしょう? わたしの魔力なら、西尾お兄ちゃんや早苗さんクラスでもない限りチョチョイのチョイのはずだし」
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