飛べない鳥〜転生したら金髪碧眼双子兄でした〜

Act 14.エピローグ

エピローグ

　伊吹との賭けは、伊吹が予想していた通りに終わった。
　隆二とのことを話せば、泣いて喜んでくれた。それに対してびっくりしたっと言ったら、「だから、僕は織に幸せになってもらえれば、自分じゃなくても良いって言ったじゃん」と。その言葉を聞いたら、自分まで泣けてきて、２人で一緒になって泣いた。
　俺も伊吹には幸せになってほしい。
　そう思うのはお互い様だったみたいだった。

　雅人からは電話があった。いつ電話番号を教えていたのかと言うのは、薫の電話から代われ、と言うことをしたから薫に電話があった訳だが。
　雅人からは、「あいつのことを頼むな」と頼まれた。誰から聞いたんだろうと思ったが、どうやら隆二が話したらしかった。
　いつの間に雅人は隆二の保護者になったんだろうか。あの２人が話しているところを聞いたときは険悪だったから、そんなことを頼む仲には思えなかったから、これもまたびっくりした。雅人は雅人で、月命日に毎日お見舞いに来ていた隆二を心配していたらしかった。

　薫にもその電話があった時に、事のあらましを話した。
「伊織と高城さんって考えると少し変な感じだな」と寂しそうに笑った。親の製薬会社とはライバル企業になるから、確かにそこがくっつくのは変な感じだと言うのはすごく納得した。

　あっという間に卒業式がやってきて、３年の神と斯波が卒業した。

　神はこの後アメリカの大学に行くらしい。俺と同じ道を歩みたいと、同じ大学を選んだそうだ。
　自分の人生がそうやって人に辿られると、なんとも気恥ずかしい気もしてくるが、この密度の濃かった１７年間を振り返って少し誇らしくも感じたのは事実だった。
　神の告白は卒業式の前にはきっぱりと断っていた。
「なんとなくそんな気はしていました」と神は寂しそうにそう言ったが、「伊織さんのファンクラブ１号はいつまでも俺ですからね」と訳のわからないことも言っていた。
　神には本当に悪いことをしたと思っていたのは俺だけだったらしく、神は「最初から伊織さんの心に誰かいるのはわかっていましたから」とそれはもう言い切られてしまい、逆に自分が恥ずかしいぐらいだった。

　斯波とは卒業式の日に教会で会った。連絡は向こうから、最後に１回だけ会いたいと言われて、会うことになった。何かあったらいけないと心配した隆二は、卒業式の後忙しいはずなのに懺悔室に隠れていたが、心配していたようなことは起こらず、斯波がこれからは誰にも恥じる事のないようちゃんと生きていくと言う宣言だった。それと、今までの懺悔。傷つけてしまったことへの深いお詫びだった。
　斯波に伝えるか迷ったが、俺は前世の時の人と一緒に生きていくことを伝えれば、斯波は「よかった…」と一言安堵の言葉を漏らした。あんなにトンがっていたように見えた斯波が丸くなった様には、自分でも驚いた。人の成長というのは、何がきっかけでどうなるかわからないな、とも思ったし、関わり方次第でどうにでもなるんだなという風にも思った。

俺と隆二はというと……