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Act 6 .迷える小鳥

抱え込んだ秘密※

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 退路を塞がれ抵抗をやめた。下半身をむき出しにされ、急所を握られている状態で逃げ場などあるわけもなかったからだ。
 諦めて斯波の問いかけに答えれば、彼の興味は他に向いてくれて、俺は内心胸を撫で下ろした。

 でも、事実を口に出してしまえば、どこか人事のようだった。

「他の知り合いに会ったのか?」

 斯波の目を見ていれば簡単に見てとれる、好奇心と興味の瞳。

「それなりに」

「生まれ変わりだと、言おうとは思わなかったのか?」

「それは……」

 何度も言いそうになったし、言おうと思った事もあった。でもその度に踏みとどまって、自分を律してきたんだ。
 初めて人に話した。それは斯波は寛人の時には全く関与がない人間だからこそ、話せたのかもしれなかった。今までこんな事を相談しようなんて考えたことがなかったが、知られた以上俺も聞いてみたいことがあった。

「なぁ」

「ん?」

「お前だったら、」

 言いかけて、やめる。聞いてみるべきか否かを逡巡する。

「……お前だったら、死んだ人間が突然現れたら嬉しいか?  姿は違うけど、俺は生まれ変わりです。そう言われて、ほんとに信じる気になるか?」

「……」

 今まで興味に爛々とさせていた斯波の瞳が曇った。
 即答出来ないのは難しいと言っている証拠だ。それがすべての答えのような気がした。

「俺はそう思えない。たとえ信じたとしても、前のように付き合えると思うか?」

 斯波が言葉を発する前に、俺は更に畳み掛けるように言葉を重ねた。

「だから、これは一生抱えて生きていくしかないんだ。ほんとだったら、誰にも言うつもりなんかなかった。伊吹にも。お前にも」

 隆二、兄貴、両親、バスケ部の仲間、友達。寛人の時に交流のあった人達が脳裏に浮かんでは消えた。
 目に溜まっていた涙が瞬きで溢れだし、耳の後ろに流れた。
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