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Act 6 .迷える小鳥
嘘つきの代償※
しおりを挟む斯波の手が止まった。俺を見下ろしながら息を飲んだ斯波に、ハッとする。
冷静さを欠如した頭が徐々に冷えていく。
僅かに目を見開く目の前の男を見て、自分が墓穴を掘ったことに気づくのは容易かった。
今の一言がなければ、こいつに確信を与えることはなかったのだ。ただの戯言、狂言として流せた可能性だってあったのに。
冷静さを欠いて、取り乱した。
すべては嘘の代償。
呆然とした視線と数秒交じり合う。
そして、まるで悪戯の対象を見つけた悪魔のごとく、斯波は薄く嗤った。
「じゃあ、お前の転生はなんの為なんだ?」
ドクリ、と心臓が跳ねた。
その答えは俺が一番知りたい。けれど、こいつにそれを聞かれれば、答えなければならないような気がして、背中に妙な汗がうかぶ。
「……人は生きながらそれを探すんだろう」
「人は、ねえ。今更しらばっくれても遅いってわかってる小鳥ちゃん?」
「何を言ってるのか……」
「へえ、今更そんなこと言うんだ」
止まっていた手が怪しく動き出した。ぐっと中にまで指を入れられる。
「っ、やめろっ!!」
「認めるまで絶対にやめてやらない」
ま、認めてもやめないけど。と斯波は続けた。
色濃く脳裏に焼きつく目の前の赤髪は、まるで裏切り者のユダのようだった。
「中、キツイね」
この分だと慣らすの時間かかるな、と斯波はボヤきながら、言葉や予想とは裏腹に酷く優しい手つきで触れてくる。
そのギャップに、困惑した。
いっそ酷くしてくれれば憎めるのに、嫌悪感はいつの間にか与えられる快感に徐々にすり替わってきていて、なんとも言えない気持ちになる。
「んあぁっ、…」
突如、斯波の手が絶妙な場所を掠め、突然の事に声をあげてしまう。
しまった。
そう思った時には遅かった。
「そっか、ココね」
悪戯が成功した子供のように、しかし妖艶に舌を出して唇舐めると、先程よりも的確に良い部分ばかり触ってくる。
「やめっ、ぁあっ、んっ…」
伊吹といい、こいつといい、なんでこんなにも上手いのか。くそっ、と内心舌打ちする。
「感じやすいよね。前世は女の子?」
「馬鹿言うなっ!」
「前世でも男と寝てたのか?」
「んな訳っ!」
「だよねぇ。こんな辺鄙な男子校でもなきゃ、ノンケが男と寝る必要性ないもんね」
「やぁ、やめ、ろっ!」
「認めなよ。小鳥ちゃんは誰の生まれ変わり?」
退路を塞がれた俺に、もう逃げ場などあるわけもなかった。
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