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Act 4. すれ違う鳥達

平和な朝?

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 瞼に差し込む光の眩しさに意識が覚醒する。いつもは寝起きが良いはずなのに、今日は酷く身体が怠い。
 俺は働かない頭を覚ますべく、ベッドから立ち上がった。

「痛っ」

 何処がって?
 下半身全体だ。

 腰が立たず、その場にへにゃんと座り込んでしまう。

 そこで漸く昨日の伊吹との出来事を思い出した。部屋には、伊吹の姿はなかった。中出しだったはずのに、その感覚が無いところをみると、全部綺麗に処理してくれたらしい。身体が汗でベタベタする、なんてこともない。

 兄弟なのに、とか。

 男なのに、とか。

 やってしまった、という想いが俺の中を占領する。

 しかし、それも一瞬。

「それこそ今更か」

 何が今更なのか、細かく聞かれて論述する自信はないが。

 俺は深く考える事を放棄し、立たない腰と足をベッドに手を付きながらなんとか立ち上がることに成功する。
 何度か部屋の中を歩き回り、足腰を慣れさせると、痛みが緩和してくる。制服に着替え、リビングに向かった。

 シャワーを浴び、再びリビングに戻るとテーブルの上に、2人分の朝ご飯がセットしてあった。朝ご飯というより、ブレックファーストって感じだ。

 キッチンにいる薫がこちらに気付くと、「おはよう」と僅かに頬が上がる。

「おはよう。これ全部薫が?」

 トマトとベーコンのサラダに、スクランブルエッグ。テーブルの上は、純和風っぽい薫からは想像出来ない程洋風でセンスが良い。

「ああ。一応伊織の分も用意したんだが、食べるか?」

「勿論!」

「珈琲紅茶どっちが良い?」

「紅茶がいい」

「分かった。今トースト焼くから待っててくれ」

「ありがとう」

 食堂に行くのが少し億劫だった為、薫の図らいは凄く嬉しい。俺は湯気をたてる朝食に、胸までも温かくなってくる。
 薫がウェッジウッドのティーポットで、紅茶を持ってきてくれた。

「あれ?」

「どうした?」

「昨日までは急須しかなかったのに」

「使うだろうと思って、奥から出しておいた」

 気配りが出来るという事も、ここまでいくと器量の良さというやつなのだろう。

「薫は良い婿になれそうだな」

「そうか?」

「うん、俺が女だったら普通に惚れる」

「なら、水無瀬家に嫁入りするか?」

 普通は「嫁じゃないだろ」と笑い飛ばす所なのだろうが、俺は次の句を紡ぐのを躊躇った。
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