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Act 3. 学園に入った鳥
的中した悪い予想
しおりを挟むまじめに授業を受けている人に悪い事をしてしまった。
そう思っていたが、この教師はこういう事がよくあるらしく、あまり最後まで授業が続いた事が無いそうだ。
生徒達はそれが当たり前の様で、そのまま自習を続けたり、カフェテリアや図書館で時間を潰すらしい。
そんなこんなで、あっという間に午前中の授業が終わりを告げた。
他の授業も軽い自己紹介をさせられたが、どの先生も良い授業をしていて、知っている知識でも、先生達の雑学を聞くのはとても楽しかった。
昼食に、日下と薫で俺の希望のカフェテリアに向かった俺たちは、窓に近い席についた。本館にあるカフェテリアだったが、ガラス張りの明るい室内で、木を基調としたお洒落なカフェスペースが拡がっていた。
チラチラとこちらを伺う様な視線。背の高い男前な薫と、派手な日下がいれば、視線を集める訳も頷ける。
食堂とは違い、昼間はウエイターが注文をとりにきてくれるらしく、3人共本日のランチと珈琲を注文した。
「それにしても、伊織ちゃん格好良かったなぁ。帰国子女って聞いてたけど、ほんま綺麗な発音やんなぁ?」
「実は祖母がイギリス人なんだ」
「そやってんなぁ。ってことは、クォーターにやんねやな? その美麗な容姿も納得やわぁ」
「美麗って男に使う言葉じゃないだろ。日下もイケメンだし、かなりモテそうじゃないか」
俺の外人的な容姿は、日本人ウケは良い。
整ってるとは良く言われるが、日下も薫も綺麗な顔している。
「俺? 俺は、まぁ……、おいおい話したるわ」
言葉を濁した日下に、俺もそれ以上の追求をやめた。
急にカフェテリアが騒がしくなった。
段々と近づいてくるような喧騒と、男の野太い歓声と、男かと疑うような悲鳴が聞こえてくる。
「何が起こった?」
「生徒会だ」
「生徒会?」
「校内の抱きたい抱かれたいランキング上位者の集まりだから、それだけファンも多い」
「まぁ、関わらんかったら害はないから、安心してええで」
「ちょっと、待て。抱きたい抱かれたいランキングって何?」
生徒会とは、行事の雑用と生徒代表の言葉を壇上で話す、地味メガネと勉強オタク、もしくは演説オタクが集まる所ではなかったか。
「あれ? その辺の説明は全く聞いてへんの?」
「初耳だ」
「そらあかんわ。腰抜かしたらあかんで、伊織ちゃん。この学校ってな、幼稚園から高校までの一貫の男子校やねんか? 思春期に山奥で、男に囲まれた生活してるとどうなるか分かる?」
「雄猿の理論とか言わないよな?」
ちらっと浮かんだこの環境が引き起こすであろう悪い予想。
どうやら、的中していたらしい。
「その通りだ。押し込められた雄の欲の矛先は、同じ檻の中にいる雄に向く」
「せやから、単純に言うと、この学校のほぼ85%以上がバイかホモってことや」
耳を抑えるような歓声と、妬けた様な熱狂が、今の説明の全てを物語っていた。
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