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Act 3. 学園に入った鳥
曖昧な記憶と涙
しおりを挟むその後、どうやって寮まで帰ったのか曖昧だった。
伊吹と部屋が別になった事を申し訳なさそうに、説明されて、気がついたら部屋のベッドに寝転がっていた。
隆二。隆二。
腕で目を覆う。
涙は後から後から溢れて止まりそうも無かった。
ポケットに入れていた携帯が振動する。ディスプレイを確認すると、伊吹だった。
涙を拭って、大きく深呼吸をする。今泣いているのが伊吹にバレたら、新しい学園に来ての不安だと思われるだろう。無駄な心配をかけたくない。
気丈を装って、電話に出た。
「もしもし?」
――あ、もしもし、織? さっき元気無かったけど、ちゃんと同室者の人に挨拶出来た?
「同室者……」
――やっぱり。部屋に帰って、研究資料読んでたんでしょ?
「あ、うん、そうなんだ。ちゃんと同室者に挨拶してくるよ」
――これから一緒に生活していくんだから、最初は大事だよ?
「分かってるって」
伊吹はいつから、俺のお母さん化したんだっけ。
――……やっぱり、織元気ない。熱は計った?
「大丈夫。ちょっと、急に思いついた研究議題があって」
そう言うと、電話口の伊吹は納得したようだった。
――あまり無理しないでね。理事長さんも言ってたけど、学生生活を楽しむ為にこの学園に来たんだからね。
「ああ、分かってる」
その後適当に相づちを打って、電話を切った。
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