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気が緩んで
しおりを挟む用務員のおじさんから貰ったという鍵で易々と屋上の扉を開けていく忍
こいつのコミュ力には日ごろから常々やばいと感じてはいたけど、この高校に入学して三日で「用務員さんと仲良くなったから屋上の鍵貰った!」って聞かされた時はマジでこいつ異常者だと思ったよね
ていうかもう、異常者通り越して異能力者かと思っちゃったよね
人の心でも操ってんの!?ってね
でも忍がそんな能力持ってたらとっくにこの高校はBLとGLの巣窟になってるはずだから、とりあえずその考えは数日頭の中にとどまっただけでいつの間にか消えてくれたから良かった
本来なら立ち入り禁止であるはずの屋上だからこそ、ここなら誰に見られることなくこいつらといれる学校で唯一の場所となった
そのため、ここでならこいつらといてもいいんだと気が緩んでいることは誰にも秘密だ
知られた暁には末代までからかわれるに決まっているもの!
「なあなあ!早く食おうぜ!!」
早速屋上にいる時の定位置に座る忍の元へとルナと一緒に近づいていく
私の冷凍食の詰め合わせ弁当と違って、忍の弁当もルナの弁当も手作りな上に色鮮やかでちゃんと弁当という感じの弁当だ
いつもそれらを密かにいいなあって思っていた私だけど、今日はそんなことを思う必要はないもんね!
「はい、これ、ハルからのお弁当。心して味わいなさいよね」
「もっちろん!ありがとう!」
ハルからのお弁当が嬉しくていつもははいはいと流すルナの態度にも笑顔で応える
かわいらしい手提げから弁当箱を取り出して蓋を開ければ、そこにはザ!栄養バランスが取れている上に見た目からして美味しさが伝わってくる完璧な中身が詰まっていた
す、すごい、、すごすぎるよハル!!
「ハルってばとんでもないね、、もう、もういつでもお嫁に行けるじゃん…!!!」
「当たり前でしょ~?誰の妹だと思ってんのよ」
「うおっ!すげえ!!なんか雑誌に出てきそうだな!」
私と忍がハルのお弁当を褒めれば褒めるほどルナの鼻が高くなっていく
いや、褒めてんのあなたじゃないんだけどって言ってやりたかったけど、シスコンしてるルナは面白いから黙っておくことにした
「ていうか早く食べなさいよね。ハルが味の感想待ってんだから」
「あ、そうだよね!それじゃあ、いただきまーす!」
「いっただきまーっいって!!」
横から伸びてくる忍の手を叩き落としながらミートボールを口の中に入れる
その瞬間溢れ出る肉汁と舌に絡みつく濃厚なソースの旨味がダイレクトに襲い掛かってきた
「おおおおおいしいいいいいい!!!」
たまらず二個目のミートボールも口に入れてその味を堪能する
「ううっ!久々の手料理が身体の芯まで染み渡る~!!」
「トモがなんか悲しいこと言ってる」
ケラケラ笑ってる忍を無視して次は卵焼きを食べる
ああああああ!!流石ハル!私が甘い卵焼きが苦手なのを知ってだし巻き卵にしてくれてる!!
我ながらだらしない顔でお弁当を頬張っていく
そんな私を見ながらルナが得意そうな顔をしているのも忍が羨ましそうに見ているのも目に入らないくらい今の私は幸せだ
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