上 下
9 / 12

お弁当

しおりを挟む




ルナから解放されたのは顔面を掴まれてから数分後だった
しかもこいつ人の顔面掴んどいてなんて言ったと思う??

「あーあ、トモのせいで余計な力使っちゃって疲れちゃったんだけどー」

本当にこのガキンチョとんでもないサイコパスだよ…!
しかもこんなかわいい見た目して相変らず力はゴリラだし!!これ以上見れない顔になったら全部ルナのせいなんだから!

それに疲れたのはこっちのセリフだっての!

「もう二人共自分の教室に戻ってよ!忍も教科書借りれたから用は済んだでしょ?ルナも、何しに来たのかは分からないけど散々人のこといじめたんだから教室に戻って!」

「んな冷たいこと言うなよー!ただでさえクラス離れて寂しいってのによー」

口を尖がらせるな口を!
お前がそれやっても私には通用しないからね!?


「トモのくせにルナに命令しないでよね~!だいたい、用がないって一言も言ってないんですけど」

「じゃあ何かあるっていうの?」

「あるからわざわざこうして会いに来てあげたんじゃない」

「まるで感謝しなさいとでも言いたげな口ぶりね」

「感謝しなさいよ」

……そうだよこいつは昔からそういう奴だったわ

「はいはい、わざわざありがとう。それで?用って?」


私が適当にお礼を言ったことに対してちょっとムッとしていたルナだったが、話を長引かせるつもりはないらしく本題に入った


「ハルがトモの分のお弁当を作ったから味の感想を聞かせてほしいんだって~」

「ハルが?」

ハル、もとい真田 陽サナダ ハルはルナの一個下の妹だ
兄の影響を受けたのかルナとは反対にハルはいつも男装をしているが、料理掃除裁縫が大得意なれっきととした乙女だ
小さいときから懐いてくれて私にとってもかわいい妹だ


「え!?ハルお弁当作ったの!?俺は!?俺の分は!?」

「あるわけねえだろすっこんでろ、ってハルからの伝言」

「なんで俺にだけそんな厳しいんだよ!!」


横でぶーぶー言ってる忍を無視してルナに手を差し出す


「?……」

ペチンッ!

「痛っ!何してんの!?」

「いきなり手を出してきたから叩いて欲しかったんじゃないのー?」

「そんなわけないでしょ!?ハルのお弁当を貰うための手だよ!!」

叩かれた手を摩りながらルナに怒る
信じらんないよこの子思考回路バイオレンスすぎでしょ!!


「お弁当はお昼に一緒に食べる時に持ってきてあげる」

「…え、ちょっと待ってよ!一緒に食べるの!?」

「何よ、なんか文句あるわけ?」

「いや…」

そんなの文句しかないに決まってんじゃん!なんのために私があんたらを避けてると思うわけ!?折角クラス離れてもう学校ではそんなに関わらないと思ったのにお昼なんか一緒に食べたらまたややこしくなるじゃん!


「それにハルから直接トモと一緒に食べて感想聞いてきてって言われたしね~」

「うぐっ」

ルナならともかく、ハルにそんな風に言われたら断れない
厄介なのは私がハルに弱いってのを知っててルナがわざわざそういうとこを強調してくるとこだ

「そしたら屋上で食べようぜ!なあなあトモ!俺の弁当のおかず一個とトモのおかず一個交換こしようぜ!」

「何しれっとあんたも混ざってきてんのよ」

「え!?だってトモもルナもいんのにそこに俺がいないのはおかしくない!?仲間はずれは良くねーぞ!!なっ!トモもそう思うだろ!?」

「もう勝手にしろ」


何もかも諦めきった私はやけくそにそう言い捨ててから二人に背を向けた


「トモー、お昼休みにルナのこと迎えに来なかったら吊るすからねー」

「トモー!一緒に行こーなー!!」


後ろからかかる声に返事をすることもなく、私はそそくさと自分の教室に逃げ帰った



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

カジュアルセックスチェンジ

フロイライン
恋愛
一流企業に勤める吉岡智は、ふとした事からニューハーフとして生きることとなり、順風満帆だった人生が大幅に狂い出す。

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

君は今日から美少女だ

恋愛
高校一年生の恵也は友人たちと過ごす時間がずっと続くと思っていた。しかし日常は一瞬にして恵也の考えもしない形で変わることになった。女性になってしまった恵也は戸惑いながらもそのまま過ごすと覚悟を決める。しかしその覚悟の裏で友人たちの今までにない側面が見えてきて……

女子に虐められる僕

大衆娯楽
主人公が女子校生にいじめられて堕ちていく話です。恥辱、強制女装、女性からのいじめなど好きな方どうぞ

僕は絶倫女子大生

五十音 順(いそおと じゅん)
恋愛
僕のコンプレックスは、男らしくないこと…見た目は勿論、声や名前まで男らしくありませんでした…。 大学生になり一人暮らしを始めた僕は、周りから勝手に女だと思われていました。 異性としてのバリアを失った僕に対して、女性たちは下着姿や裸を平気で見せてきました。 そんな僕は何故か女性にモテ始め、ハーレムのような生活をすることに…。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

My Doctor

west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生 病気系ですので、苦手な方は引き返してください。 初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです! 主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな) 妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ) 医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)

処理中です...