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第四章

私は?

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場所は変わって私たちはシェリーが学園から与えられた研究室にいた

うちの学校は教科一つにつき一つ研究室が設けられている
歴史学の先生は新任のシェリーの他には今入院中のバルクン先生しかいないから、誰かに二人でいる所を見られる心配もないとのことからここに来たのである

別にやましいことなんてこれっぽっちもないけど、流石に新任の美人先生とある意味有名人のノワール家のお嬢様が二人でいる所を見られたらミーハーな子たちが黙ってないだろう
それであらぬ疑いをかけられたらめんどくさいことこの上ない


「今日散々されてきた質問だと思うけど、どう?この学園は」

「ふふ、先生方も皆さん優秀な方ばかりで優しくしてくれてますよ。生徒の皆さんも意欲的な子ばかりで教え甲斐があります!」

本当にそう思っているんだろうな
緩んだ顔からシェリーの楽しいという気持ちが伝わってくる

この微笑みだけを見るとなんて色っぽいお姉さまなんだ!って思うけど



「セツィーリア様、どうかしました?」



さっきのシェリーと今こうして顔を覗き込んでくるシェリーが重なって思わず顔を背ける


8年のブランクというのを舐めていた…!
耐性がついていると思っていたのに、あの声で話しかけられた時心臓止まるかと思ったわ…!!

あのまま固まってもおかしくなかったけど廊下ということもあり、他の生徒たちに誤解を与えないようにその場から離れることだけを考えていたら否が応でも我を保つことが出来た

にしても、生徒の私がこんなに色々考えてるってのに


「あっ、セツィーリア様、ユーリ様とクロスくんは元気ですか?」


こののほほん美人は呑気なこった


「二人とも元気だし、すっごい成長したよ、…アーレス先生もびっくりすると思う」

「……男の子ですもんね、きっと二人ともすごくかっこよくなってるんでしょうね」

「そうだねえ、クロスとはずっと一緒にいるから大きな変化とかにはあんまり気づけなかったりするけど、ユーリは少し見ない間に本当に大人になってて、もう子ども扱い出来ないなって思ったもん」

研究室にある本棚を流し見しながら今朝のことを振り返る
つい昨日のことのように思い出せるあの小さくて憎たらしくもかわいいユーリが、今じゃもうみんなを虜にするようなかっこいい男の子になるなんて

いやあ、月日が経つのは早いね~


しみじみと実感しながら一人で勝手に頷いていればシェリーの声がしないなと思い、顔をそっちに向ければ


「え、どうしたの!?」


なぜか少し悲しそうに顔を歪めているシェリーがいた


慌ててシェリーに駆け寄る
私何か傷つけるようなこと言った!?


「セツィーリア様…」

「うん!どうしたの?大丈夫?」

「私は?」

「え?」

「今の私はセツィーリア様の中ではどう変わりました?」


気づけば手を取られていた

寄せていた顔を下から覗き込まれて至近距離でシェリーの濡れた瞳に見つめられる

やばい
こんな風に見つめられたら
目を逸らしたくても逸らせない



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