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第二章

人生経験

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「だって、そうでしょ?じゃなきゃ、あなたみたいな子があの方と関わり合いになれるとは思わないもの」

とことん馬鹿にしたような物言いに今度こそ本当に何も言えなかった
言われるがままの私に気を良くしたのかアイシャちゃんの言葉は止まらない
相当色々溜まってたんだな

「ねえ、どうやって取り入ったの?見たところ、あなたにはなんの取り得もなさそうだけど…顔だって私の方がかわいいし、目つきだって悪いし、頭も悪そうだもの。ソフィール殿下があなたの構う要素が一つも見当たらないわ」

ははっ
ほーんっと好き放題言ってくれちゃって


「あっ、それともやっぱりあれかしら?ノワール家の権力ってものに縋ったのかしら?まあ、あなたにはそれくらいしかないものね。いいわねぇ、親の力を誇示して使える子は。でも勘違いなさらないで?それはあなたの力ではないし……ノワール家なんて大したことないわ」


あぁ、これは嫉妬だ

この子はソフィのことが好きで、一度はその婚約者になるという話が持ち上がった私を気に入らなく思ってる
しかも、ソフィが近年私の家によく出入りしているという話も既に出回っているから尚更だろう

好きな人のそういう話を聞くのは確かに嫌だろう、私に対して敵意が湧くのも分かる


だけど





「大したことも何も出来ないくせにでかい顔して…あなたもあなたの家族も本当に恥知らずね。……ノワール家みたいな家が大きくなったのだって、あなたのお父様のあの凶悪な顔で色んな人を脅したからなんじゃないの?」






私の家族を馬鹿にしていい理由にはならない




「そういえば、あなたの家では使用人ですら家族のように接するようね?…ふふっ、お似合いね?結局、下賎な者は下賎な者としか相容れないということかしら?」





ぷっちん





耳元で何かが切れたような音がした

この感覚知ってる
シェリーたち家族を苦しめたあの犯人に向けたものと似たような感じだ





「おい、アイシャ・ウォーレイ。いい加減口を慎め」



ドスの利いた声を出す私にアイシャちゃ…アイシャは目を見張った

あっ、そっか
こんな奴でもお嬢様だもんな
こんな声向けられたことないし、こんな言葉を使われるようなことも当然ないもんな


ははっ、丁度いい!!

…たっぷり味わっていけよ?





人生経験ってやつを





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