上 下
80 / 130
第二章

救いよう

しおりを挟む




「ああ!!うちのプリンセスはなんていい子なんだぁ!こんな奴らに対しても気遣いを欠かさないとは流石私の娘だ!」

「やだわお父様、これくらい当然ですわ」

フリーズしてる私達をよそに目の前の親子は呆れるくらいの親馬鹿ぶりとファザコンぶりを発揮していた
この親子、揃いも揃って話にならない

ていうか、百歩譲って私だけの時ならまだいいよ、冗談で済ませられるんだから
でも、うちの親に対してあの口の利き方はない
いくらまだ子供だからと言って一家の令嬢だ
しかもウォーレイ家はそんじょそこらの家じゃない
この親子はそんなことにも気づかないのか……それか気づいてて敢えてやったことだと言うなら


「「救いようがない」」


タイミング良くお父様と声が被った

どうたら同じ事を考えていたみたいだ


救いようがない、確かに今のままじゃそうだ
でも、アイシャちゃんならまだなんとかなるかもしれない

子は親を見て育つって言うからな、ギーベルのおっさんはどうでもいいが、アイシャちゃんの方はもしかしたら言えば目を覚ましてくれない
何より、こんなかわいい子が無礼なままだと思われるのが勿体無い!!

よし!!ここはまず私がアイシャちゃんと仲良くなって両家の間にある何かしらの誤解を解くとしようじゃないか!!そしてよくよくはアイシャちゃんとちゃんとしたお友達に…あわよくば、し、親友にも…!!


「ギーベル様、少しアイシャ様とお話してもよろしいかしら?」

「は?」

「え?」

言うや否や、私はアイシャちゃんの手を引いて小走りを始めた

後ろからあのおっさんの声が聞こえるけどそんなん知ったことか
ここだけは同い年の女の子と話したい子どもを演じさせてもらうぜ!ってことで、ダディとマミー
よ!後は任せた!!


小さくて柔らかい手を握ってたどり着いたのはバルコニーだった
ここなら喧騒から離れられるし、今は誰もいないから好都合だと思った



繋いでいた手を離してアイシャちゃんと向き合えば、彼女は不機嫌そうな顔を隠そうともしていなかった


「急に失礼ではないかしら?」

「ごめんごめん、ちょっとアイシャちゃんと話したいことがあってさ」

「……奇遇ですわね、丁度私もあなたに聞きたいことがありましたの」

「そうなんだ!なんでも聞いてよ!私で答えられる範囲ならなんでも答えるよ!」

これは予想外!向こうの方から接点を持ってきてくれるとは!
ワクワクしたままアイシャちゃんの言葉を待つ

この時、私は本当に舞い上がっていた
最初から彼女がなぜか初対面である私を嫌っていたことも忘れて





「一体どんな汚い手を使ってソフィール殿下に取り入ったのかしら?」






聞こえてきたのは、今までと比べ物にならないくらいの棘があって憎悪と嫌悪が込められているような声だった




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます

葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。 しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。 お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。 二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。 「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」 アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。 「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」 「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」 「どんな約束でも守るわ」 「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」 これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。 ※タイトル通りのご都合主義なお話です。 ※他サイトにも投稿しています。

婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。

白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?  *6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」 *外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

貴方といると、お茶が不味い

わらびもち
恋愛
貴方の婚約者は私。 なのに貴方は私との逢瀬に別の女性を同伴する。 王太子殿下の婚約者である令嬢を―――。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と

鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。 令嬢から。子息から。婚約者の王子から。 それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。 そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。 「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」 その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。 「ああ、気持ち悪い」 「お黙りなさい! この泥棒猫が!」 「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」 飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。 謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。 ――出てくる令嬢、全員悪人。 ※小説家になろう様でも掲載しております。

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

処理中です...