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第一章
逃がさないぜダディ
しおりを挟むコンコン
「お父様、お話があります」
* * *
「まず自論だけど、親ってのは基本的には自分の子供には甘いと思うんだ」
「ミリアーナさんは甘いの?」
「いや?むしろむっちゃ厳しい」
じゃあ駄目じゃん!!
ジト目でクロスを見れば珍しくちょっと慌てたように続けた
「俺とお前じゃ比べようがないよ。セツは女の子だし、旦那様だって一人娘にキツイ態度は取れないって」
「うーん、そりゃ確かにキツイ態度ではないけど…それでも到底娘に甘い父親には見えないよ?」
「そうか?俺には旦那様がお前と接してる時、幾分か表情が和らいでるように感じるけど」
和らいでる?!あの鉄仮面が!?
「うっそだー!!絶対そんなことないって!!あれが和らいでる顔だったらお父様がキレた顔なんて見ただけで天に召されるレベルなんじゃないの?」
「お前失礼だぞ。でも、本当に嘘じゃねえから。本人はあんま気づかないもんだけど、第三者の目線って結構重要だと思うよ?」
クロスからそう諭されて改めて父について考えた
いつも、顔めちゃんこ綺麗なのに怖ぇとか目つき悪すぎだろとか声低すぎでしょそれ本当に地声?などなど色々思わせてもらってますが…お父様を嫌いって思ったことは一度もないんだよね
むしろもっと知りたいっていうか、無表情が怖い分笑った顔はどんなんだろうとか
……そう言えば、数少ない会話の中、別れ際にお父様は毎回手を出したり引っ込めたりしてたけど、あれってもしかして頭を撫でようとしてくれた…とか?
………ふっ、ふはは
「なんだ、ただの不器用ちゃんか」
「お前ら親子は圧倒的に会話が少ないから、例えどんな結果になったとしても、一回ちゃんと旦那様と話してみたら?」
柔らかい笑みを浮かべるクロスの顔を見ていたら不思議と何でも出来るような気がしてきた
* * *
そして冒頭に戻る
「セツィーリアか、悪いが今は」
「大丈夫ですよお嬢様。ヴァーシス様は今ちょうど手が空きましたので」
「おい、エド」
お父様の親友で代々ノワール家の執事として勤めているスー家の超有能万能執事のエドナルクさんにも協力してもらって、仕事が忙しいからという理由で逃げられないように仕事の調節もしてもらった
万事抜かりはないのである!
渋い表情を浮かべながら私とエドさんを交互に見るお父様
うわあ、すごいよ、あんな顔のお父様初めて見た!
分かりにくいが明らかにいつもと様子が違ってうろたえているであろうお父様とそんなお父様から目を離さない私
「それでは私はこれで。じーっくりゆーっくりと、お話してくださいね?ヴァーシス…様?」
少しだけ声音が変わったエドさんの顔は見えなかったけど、それを見たお父様の顔が一瞬で引き締まったところを見ると…
見なくて良かったのかもしれないと本能で悟った
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